健康経営の取組み事例:オリンパス株式会社(前編)

1.ホワイト500申請の経緯

─ 御社の考える優良な健康管理について、またホワイト500に申請されることになったきっかけや経緯などを教えてください。

大橋 宏樹さん(以下、大橋さん):わたしは健康支援チームに入ってまだ4年ですが、それより前から健康管理に関する取り組みは行われていました。自社の健康管理の取り組みが、世間水準と比較してどのくらいのレベルなのか、改善項目はなにかを把握する機会と捉え、ホワイト500に申請しました。

─ 以前から取り組まれていたとのことですが、始まりからの歴史や健康管理において、御社の特徴はどういったところでしょうか。

大橋さん:1998年に本社の人事内に「健康管理センター」ができて、健康管理や安全衛生の領域を統括し始めたのがキッカケです。現在は専属の産業医が7名、看護師が全体で25、6名いて、各事業所に常勤してもらっています。わたしは人事部の所属ですが、オリンパス健康保険組合を兼務しています。健康増進の取り組みは健保主導ではなかなか進まないので、会社側のレポートラインも活用しています。会社と健保が健康管理の取り組みに関して、一緒に動いているということがオリンパスの特徴だと思います。

─ ホワイト500に申請するにあたり、なにか紆余曲折などはありましたか。

大橋さん:最初にホワイト500の存在を知ったときは、私個人はそんなに積極的に申請しようとは考えていませんでした。人事や健保がいくら旗振りをしても、従業員がついてこなければ意味がないですからね。

─ そうだったんですね。それでも自社の健康管理のレベルを見定めるために申請に踏み切ったと。

大橋さん:はい。世間と比較してオリンパスがどの位置にいるのかなどフィードバックももらえるので。実際申請してみて、世間のホワイト500や健康経営銘柄に対する注目度の高さも実感しましたし、ほかの企業がどのように取り組んでいるのかもわかったので、乗り遅れないでよかったと思っています。

2.ホワイト500認定後、社内外の反応は

─ ホワイト500に認定されてから、社内外の様子に変化はありましたか。

大橋さん:社内はそこまで大きな反応はありませんでした。逆に社外から「ホワイト500とったんですね」といった声をいただくことが多いです。実は昨年「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」で東京都から奨励賞をいただきまして、セミナーなどでの事例紹介のお話もいただくようになってきました。今回ホワイト500を取得し、わたくしどもの取り組みが少しずつ認知されてきているように感じます。

─ ホワイト500につながるような賞ですね。具体的には、会社の健診メニューが充実しているなどが評価ポイントだったのでしょうか。

大橋さん:はい。がん検診は力を入れて実施してきていますが、就労支援という観点では、産業医を中心に関係者と協力しながら、復職支援にあたっています。復職後、通院が続く場合などは、勤務地変更を検討したり、体調に配慮した業務を考えたりするなど、そんなに特別なことをやっている意識はありませんが、結果的に就労支援につながっていると思います。

─ 先ほどセミナーなどで事例紹介をされたとおっしゃっていましたが、具体的にどんなアドバイスをされているのですか。

大橋さん:一気に仕組みを整備することはなかなか難しく、時間も要するので、ある程度できるところから動かしていくことが大切、とお伝えしています。中小企業ですと代替要員がいないという問題もありますから。幅広い議論が必要だと思います。

─ がんで代替要員が必要になる、といった事態が想定できず、準備が間に合っていない企業は本当に多いですね。

大橋さん:その点、オリンパスは事業として医療に携わっていることも背景にあって、従業員の病気、特にがんに対する知識と理解が比較的進んでいると思います。がんは早期発見・早期治療すれば職場復帰もできる病気であることへの理解が、就労支援につながっているのかもしれません。

企業データ

会社名:オリンパス株式会社(Olympus Corporation)
事業内容:精密機械器具の製造販売
所在地:〒163-0914 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス
資本金:1,245億円
連結従業員数:約35,000人

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