ホワイト500認定企業:大塚製薬株式会社 事例紹介(後編)
前編では、健康管理室や特徴的な施策などについてお伺いしました。後編となる本記事では、大塚製薬ならではの健康イベントや自社製品の取り入れなどについてお話しいただきます。
目次
5.健康イベント「ポカリフレッシュ」「徳島健康プロジェクト」
─ ホワイト500に認定されてからも継続されている施策や、新たに取り組まれた施策などはありますか?
田中さん:継続している施策は、2007年に始めた「ポカリフレッシュ」です。これは、オフィスでできる運動をたった8分間だけ行うというもの。健康意識が高い人は、自分でウォーキングをしたり、スポーツクラブに通ったりしますが、健康意識がそこまで高くない人にどう運動してもらうか、という課題から立ち上げた施策です。体を動かすことは気持ちのいいことだということをわかってもらいたくて、10年前から続けています。毎週木曜日だけですが、社員にとっていい運動機会の提供になっていると思います。
─ このポカリフレッシュは、東京と徳島でやっているんですか?
田中さん:あと大阪でもやっています。他の地域まではできていないのですが。各オフィスにインストラクターが訪ねてきて、就業時間中に体を動かします。例えば東京だと、14時~15時半の間ですね。今までパソコンに向かっていた人が、インストラクターが来ると同時にスッと立ち上がって運動をする感じです。たった8分なので、やりたい人はすぐやれる。あまり気が乗らない人は、そのまま仕事を続けられる。
─ これはいいですね。気軽に参加できるので、やる人も多いのでは?
田中さん:はい。ポカリフレッシュを始めたばかりの頃に社員アンケートを実施したのですが、「今後も続けてほしい」という回答が8割ありました。また、ポカリフレッシュで年に1回特別イベントも行っています。オフィス内の一つの部屋に希望者に集まってもらって、さまざまなメニューのなかから自分に合った運動を選んでもらうかたちです。ここで実施したアンケートでは「当イベントを通じて運動をしよう、続けようと思った人」が96%でした。やはり特別イベントの場合は運動をしたいと思っている方が集まっているので、高い評価をいただいています。
─ 一般的に運動習慣がある人は全体の1割といわれていますが、御社ではどうでしょう?
田中さん:弊社の健康診断問診票の結果によると、「30分以上の運動習慣がある人」が2割強、「身体活動を1日1時間以上している人」が3割強、「歩行速度が同性同年齢比較で速い人」が4割強でした。
─ やはり、数値が高いですね! どこの企業も、運動無関心層にどうアプローチするか悩んでいます。健康ポイントの導入以外でも、こういうやり方があるといういい事例だと思います。すばらしいですね。
田中さん:ありがとうございます。まだ支店まで手が回らないというところが改善点だと思っています。ただ、支店は支店独自で地域のスポーツ大会に参加する率がとても高いようです。マラソン大会や駅伝、新人テニス大会やゴルフ大会まで、さまざまです。
─ さすが、引き出しが多いですね。
田中さん:やはり企業として、健康というものが根付いているんだと思います。社員の健康に対する意識が高いですね。
─ 徳島で9月から始められているという、「徳島健康プロジェクト」についてはどうですか?
田中さん:はい、こちらは徳島の大塚製薬を中心に、大塚製薬工場や大塚食品など、トータルで6,000名ほどの社員を対象としています。大きく「改善アプローチ」と「エリアアプローチ」の二つに分けて活動しています。前者は、徳島地域において、メタボあるいは予備軍の人に対して改善を促すもの。後者はエリアの人すべてに対して、健康意識の向上を試みるものです。運動会やウォーキング大会はもちろん、グループのサッカーチーム「徳島ヴォルティス」のコーチを招いて、親子サッカー教室を開いています。ほかにも、ウォーキングにちょっと負荷を高めたスロージョギングなど、さまざまなイベントを用意して、興味があるものに参加できるというかたちです。
─ 週末に家族と一緒に参加できるイベントがあると、被扶養者の特定保健指導などの数字を上げるきっかけにもなりそうですね。
田中さん:そうですね。健保としても、イベントには家族も含めて参加してくださいと勧めていますので。被扶養者の特定保健指導について、弊社はまだ低いと思いますので、そこを上げていくためにいい機会であると考えています。参加率が上がり、全体的な意識が上がっていけば、PDCAを回して理想的なかたちになると思っています。今は徳島エリア限定になっていますが、全国に広げたいと考えています。
6.自社製品の取り入れ
─ 御社は、「賢者の食卓 ダブルサポート」という、Wトクホの製品を販売されています。ホワイト500や健康経営の注目度が上がってきている今、これらの食品を自社で取り入れて、さらに水平展開し、ビジネスに繋げる……といったビジョンも描けると思うのですが。
田中さん:実は2014年9月から、有料ではありますが、社員食堂に賢者の食卓を置くようにしています。健康経営と自社製品を結びつけるという活動の一環です。あと、低GI食品として弊社では「SOYJOY」も出しています。
─ いいですね。甘いものをつまむ代わりに、SOYJOYをいただくと。血糖値も急激に上がらないし、食後に眠くなりにくいし。
田中さん:はい。産業医の先生もSOYJOYを勧められていました。自社製品を他の事業部を含め社員自身によく知ってもらうことは大切なので、新製品が出たときは、社内でパンフレットと共にサンプルを配って紹介することもあります。
7.これからの目標、およびホワイト500認定を目指す企業へアドバイス
─ ホワイト500に認定された企業として、これからの目標を教えてください。
田中さん:やはり社外にやっているように、社員にももっと啓発していかなければならないということが1番ですね。今は広報部と連携して進めているかたちです。広報部は、社外にも社内にもさまざまな情報を発信しているので。やはり地道にコツコツやっていくしかない部分が多いですが、広報を通じてうまく対応してもらっています。
─ 社内報でも積極的に情報提供されているそうですね。健康経営を社員に広げるために、社内報がしっかり役割を果たしているというのは、御社のすごい強みだと思います。
田中さん:広報部から活動の推進や情報提供を急かされてしまうこともたくさんあります(笑)。社内報はもちろん、リリースであったり、Webサイトであったり、さまざまな媒体で活動を発信していきたいと考えています。社内に発信する情報はたくさんあるので、社内報が活動記録の一部にもなるわけです。
─ では最後に、これからホワイト500の認定を目指す企業にアドバイスをお願いします。
田中さん:アドバイスといえるほどのことではないのですが、ホワイト500の認定をいただいたことは、とても意味のあることだったと振り返っています。今まで自社でやってきた取り組みが、ホワイト500というかたちで認められるということは、会社に対するロイヤリティはもちろん、我々担当者にとってもありがたいことですし、社員にとっても健康への意識が高まるきっかけになると思います。ですから、ぜひホワイト500の認定を取得するための施策を始めていただきたいです。また、就職活動中の学生さんからも質問をいただくこともあるので、世間からの注目度も高いのではと考えています。
─ ブラック企業に対して、ホワイト500ですからね。ネーミングのインパクトが違います。
田中さん:はい。学生さんから、働き方についての大きな枠での質問は多かったです。会社としては、ホワイト500という言葉を出すことで、健康経営にしっかり取り組んでいることを説明しやすくなりました。また、認定されたからにはしっかり継続していかなければならない、といういい意味でのプレッシャーにもなります。
─ これからも、先陣を切ってさまざまな健康施策を進めてください。本日はありがとうございました。
<企業データ>
会社名:大塚製薬株式会社
事業内容:医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、販売、輸出ならびに輸入
本社所在地:〒101-8535 東京都千代田区神田司町2-9
資本金:200億円
従業員数:5,634名(2017年12月31日現在)