「ホワイト500」認定企業:日本たばこ産業株式会社 お取組み事例(後編)

「ホワイト500」認定企業:日本たばこ産業株式会社 お取組み事例(後編)

2017年2月に、「健康経営優良法人〜ホワイト500〜」に認定された、日本たばこ産業株式会社。人事サポート室 次長の平山 剛さん、同 課長代理の横山 剛さん、同 主任の岡田 貢さんにお話を伺いました。インタビュアー:株式会社セルメスタ 代表 熊倉 利和


前編はこちら

前編では、ホワイト500申請の経緯や人事サポート室と産業保健スタッフについてお伺いしました。後編となる本記事では、健康経営の取り組みや今後の展開などについてお話しいただきます。

3.健康経営の取り組みについて

─ 御社の主な健康経営の取り組みについて教えてください。

平山さん:主な取り組みとしては2点あります。まずは「健康支援体制の強化」です。弊社の社長が願う「従業員一人ひとりの健康でありたいとの思いと具体的な行動に寄り添うようなサポート」を目指し、人事担当役員を統括責任者とした従業員の健康支援体制を構築しています。先ほど申し上げた内容と重複しますが、人事サポート室の設置はもちろん、全国に多くの産業保健スタッフを配置し、全社員を対象に健康診断結果に関する面談を実施するなどきめ細かに対応しています。

─ 2点目は何でしょうか?

平山さん:「心と体の健康増進に向けた取り組み」です。生活習慣改善に向け、ウォークラリーや内臓脂肪測定会、講話会など、全国の各事業所の健康課題に応じたさまざまな啓発イベントを展開しています。メンタル疾病の予防に向けては、医療専門職スタッフが日常的に受け付けていますし、会社のなかの相談窓口は利用しにくいと考える方には社外の相談窓口に行ってもらうなど、事業場外支援によるケアや連携も行っています。セミナーは主にラインケアについて積極的に行っており、セルフケアについてはストレスチェックの結果を見て本人に認識してもらうことが重要と考えています。今後は、ストレス耐性をいかに高めるかなど、さらに充実させていければと思っています。いずれも、ホワイト500認定のために始めた施策ではなく、弊社の長い歴史のなかで構築された取り組みです。

─ 2点以外でほかに特徴的な取り組みや施策などはありますか?

平山さん:最近の特徴的な取り組みとして、「健康みっけプロジェクト」というものがあります。従業員一人ひとりが、「自分らしい健康って何だろう?」と考えるきっかけを提供するプロジェクトです。与えられたものを義務的にやるのではなく、自分に見合った無理なく続けていけそうな運動を見つけるきっかけになればと全国の事業所にヨガ等のインストラクターを派遣し、オフィス内で従業員にスポーツを楽しんでもらう健康づくり活動「オフィスポ」を導入・展開しています。また、社内イントラに「健康みっけパーク」を設置し、そこで健康にまつわるさまざまな情報を発信しています。

岡田 貢さん(以下、岡田さん):ほかにも、健康診断の結果を入力すると個人のミュージックビデオが自動的に作成されるコンテンツを用意するなど、従業員にとって「わかりやすく・楽しく」をコンセプトに社内コミュニケーションを充実させています。自身の結果を入れることで、自分の健康状態を楽しく把握することができます。

─ これはおもしろい取り組みですね! 多様性という部分で、たくさんの人にきっかけを提供していることが伺えます。

岡田さん:はい、オフィスポについても、初心者でも取り組めるヨガやストレッチだけではなく、激しい運動が好きな人たちのレベルに合わせたものも用意しています。さまざまな人がいるなかで、多様性に合わせたメニューを取り揃えています。

─ オフィスポは、1年で何回くらい開催しているんですか?

平山さん:オフィスポの開催数は飛躍的に伸びていて、今年は10月時点で100回を超えています。実際の企画・実施にあたっては、地域駐在保健担当や事業所の担当者の方々が主体となって取り組んでくれています。

─ 現時点で100回とのことですが、ここまで増やすのに何年くらいかかったんでしょう?

岡田さん:おととしトライアルでやってみて評判がよかったので、去年から本格的に導入しました。去年は年間で30回ほどでした。事業所同士で、「あの事業所がこんなオフィスポをやっていたのでうちでもやってみよう」という動きがあるようです。また、衛生委員会の企画としてオフィスポを実施することもあります。

─ ちなみにトータルでの参加人数はどのくらいですか?

平山さん:現状3,000人ほど参加してもらっています。開催数と合わせて参加人数も上がってきています。

─ 一般的に運動習慣は10人に1人くらいしかないと言われているなかで、オフィスポの参加人数が3,000人とは本当にすごいですね。人気のオフィスポの種目はどんなものですか?

岡田さん:ビズヨガが1番ですね。1番激しいのはキックサイズで、会場は興奮状態になります。

4.ホワイト500認定後、社内外の反応は

─ ホワイト500に認定されてから、社内外で何か反応や変化はありましたか?

平山さん:特段大きな変化は感じていません。目に見えるところとしては、やはり健康支援の取り組みを地道に支えて取り組んできた産業保健スタッフにとっては、これまでの取り組みが評価されたことでモチベーションの向上につながっています。先ほどお話したオフィスポの開催ニーズも飛躍的に高まってきていますし。

5.今後の目標について

─ ホワイト500に認定された企業として、これからどのようなことに力を入れていきたいとお考えですか?

平山さん:弊社の特徴は、多様性に根ざした健康支援だと思っています。従業員の健康支援についても、人財の多様性という切り口を尊重して、個々人の生活環境や価値観に基づいた、自分に合った自分らしい健康づくりができるよう、引き続き支援をしていきたいです。重点課題である生活習慣病予防、メンタルヘルスの取り組みについても、着実に取り組んでいきたいです。オフィスポについても、自分に見合った運動を見つけて無理なく楽しんで続けられる……という部分が、弊社の多様性に根ざした健康支援という考えに合っていると思います。

6.これからホワイト500を目指す企業にアドバイス

─ これから健康経営の実現やホワイト500の認定を目指す企業にアドバイスをお願いします。

平山さん:弊社の健康支援に派手さはありません。アドバイスと言えるほどの持ち合わせはありませんが、健康経営は一朝一夕でできるものではないと思っています。全社員を対象とした健診結果に基づく保健師の面談など、継続的にこつこつやっていくことが大切なのではないでしょうか。このような取り組みが健康保持、増進、安心感につながりますので。やはり日々の地道な取り組みをしっかり積み重ねていくということが重要だと思っています。

前編はこちら

<企業データ>

会社名:日本たばこ産業株式会社
事業内容:たばこ事業、医薬事業、加工食品事業
本社所在地:〒105-8422 東京都港区虎ノ門2-2-1
資本金:1,000億円
連結従業員数:44,667人(2016年12月31日現在)

取材・講演の依頼はこちら

関連するキーワード


健康経営 事例 ホワイト500

関連する投稿


ウェルビーイング経営とは?健康で幸せな働き方をするためのポイント

ウェルビーイング経営とは?健康で幸せな働き方をするためのポイント

2019年12月4日(水)、ベルサール神田にて開催された「健康経営フォーラム2019 in東京」。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、研究科委員長・教授である前野隆司氏が登壇され、「幸福経営学」について語りました。働き方改革が進む中、より一層重要度の増すウェルビーイング経営に関して、詳しく学ぶことができました。


健康経営のその先へ。人と組織を活性化し、社会の「しあわせ」を創る丸井グループのウェルネス経営

健康経営のその先へ。人と組織を活性化し、社会の「しあわせ」を創る丸井グループのウェルネス経営

丸井グループが取り組んでいる「ウェルネス経営」は、人と組織、社会を活性化させ、すべてのステークホルダーの「しあわせ」を実現するというもの。その中核として推進してきたのが産業医の小島玲子先生(丸井グループ専属産業医 執行役員健康推進部長)。健康経営を社員の単なる健康管理ではなく、企業や社会に利益をもたらす経営戦略として捉え、企業風土をも変革していきました。(インタビュアー:株式会社セルメスタ 代表 熊倉 利和)


まさにお手本!ビックカメラの健康経営の進め方

まさにお手本!ビックカメラの健康経営の進め方

コジマ、ソフマップというグループ企業を合わせると、約14,000もの従業員がいるビックカメラ 。そんな大企業が、いかに健康経営を推し進めていったのでしょうか。まず誰かがやりたい と声をあげ、専門家や社内各部署の協力を仰ぎながら進めていく姿は、まさに健康経営推 進の理想型。今回は推進の中核を担った『いきいき働く推進チーム』のリーダーを務める 根本さんにお聞きしました。(インタビュアー:株式会社セルメスタ 代表 熊倉 利和)


大塚製薬2019年健康経営実践セミナー 事例紹介編

大塚製薬2019年健康経営実践セミナー 事例紹介編

2019年10月10日(水)、ライブオン形式(都内のスタジオから生中継)で全国48会場を結び、約800名が参加して行われた健康経営®︎実践セミナー。事例発表として登場したのが、株式会社井上蒲鉾店 代表取締役の牧田知江子氏と『セイムス』を始め、ドラッグストアを1337店展開する株式会社富士薬品。前者は、食を扱う老舗としてのモノづくりのこだわり、中小企業の健康経営で大切なことなどについて。後者は管理栄養士のマネジメントや店舗での相談会などを担当する鎌田梨菜氏が、『ドラッグストアの地域貢献 〜働く人の健康づくり〜』というテーマで事例を発表してくれました。


シリーズ『私の生きがい組織』(第二回) 仕事が生きがいになる時、強い会社が生まれる

シリーズ『私の生きがい組織』(第二回) 仕事が生きがいになる時、強い会社が生まれる

赤字が続く中、会社の経営を引き継いだ大橋運輸株式会社 代表取締役 鍋嶋洋行氏。業界の競争も激化する中、事業方針を大きく転換。規模ではなく、付加価値の高い仕事に注力。社員の働きがいと利益率を重視しながら、会社の立て直しに成功。地域貢献にも力を入れ、地元になくてはならない会社となるとともに、国内外から求人応募が届くなど、今、熱い視線が向けられています。(インタビュアー:株式会社セルメスタ 代表取締役社長 熊倉利和)


最新の投稿


ウェルビーイング経営とは?健康で幸せな働き方をするためのポイント

ウェルビーイング経営とは?健康で幸せな働き方をするためのポイント

2019年12月4日(水)、ベルサール神田にて開催された「健康経営フォーラム2019 in東京」。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、研究科委員長・教授である前野隆司氏が登壇され、「幸福経営学」について語りました。働き方改革が進む中、より一層重要度の増すウェルビーイング経営に関して、詳しく学ぶことができました。


【講演&ディスカッション】健康づくりの未来 ~2040年に向けた挑戦~

【講演&ディスカッション】健康づくりの未来 ~2040年に向けた挑戦~

2019年11月26〜27日にプリズムホール(東京都文京区)で開催された『データヘルス・予防サービス見本市2019』。津下一代氏(あいち健康の森健康科学総合センターセンター長)がコーディネーターとなって開かれた講演&ディスカッションでは、経済産業省、スポーツ庁、厚生労働省の課長というまさに最前線で日本の課題に取り組む人たちによる大変示唆に富むお話が聞けました。


【講演】社会課題で“熱狂”をうむ方法 ~注文をまちがえる料理 店のつくりかた~

【講演】社会課題で“熱狂”をうむ方法 ~注文をまちがえる料理 店のつくりかた~

2019年11月26〜27日にプリズムホール(東京都文京区)で開催された『データヘルス・予防サービス見本市2019』。小国士朗氏(『注文をまちがえる料理店』発起人)の講演テーマは、『社会課題で“熱狂”をうむ方法 ~注文をまちがえる料理店のつくりかた~』。認知症の方々が働くレストランを開いた理由、そして、そこから感じ取ったことについて話してくれました。


【講演】“暮せば健康になるまち”松本の実現へ

【講演】“暮せば健康になるまち”松本の実現へ

2019年11月26〜27日にプリズムホール(東京都文京区)で開催された『データヘルス・予防サービス見本市2019』。小林浩之氏(松本市商工観光部健康産業・企業立地担当部長)の講演のテーマは、「“暮せば健康になるまち”松本の実現へ」。長野県松本市の様々な取り組みについて話してくれました。


【講演】健康経営における食生活改善の推進

【講演】健康経営における食生活改善の推進

2019年11月26〜27日にプリズムホール(東京都文京区)で開催された『データヘルス・予防サービス見本市2019』。武見ゆかり先生(女子栄養大学・大学院教授〔食生態学研究室〕)の講演テーマは、『健康経営における食生活改善の推進』。健康寿命を延ばすための食事や、その食事を提供していくための環境づくりについて話してくれました。