健康経営の取組み事例:内田洋行健康保険組合(前編)

健康経営の取組み事例:内田洋行健康保険組合(前編)

内田洋行グループの健康保険組合である、内田洋行健康保険組合。常務理事の松井さん、事務長の中家さん、課長代理の山本さん、保健師の舟久保さんにお話を伺いました。インタビュアー:株式会社セルメスタ 代表 熊倉 利和


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健康経営を推進することになったきっかけ・経緯

─ 健康経営は一般的に事業所が主体となって行うものですが、内田洋行グループの場合は御組合が主導になっていると伺いました。

中家 良夫さん(以下、中家さん): はい、当組合が各事業所に呼びかけをして実践しているケースになります。

─ なるほど、めずらしいですね。そもそも、健康保険組合が内田洋行グループの健康経営推進を支援するきっかけはなんだったのでしょう?

中家さん:まず2011年に財政改革に取り掛かり、保健事業を本格的に見直し始めたのが2012年です。その年に株式会社ミナケアの山本先生に出会い、国の制度に2年先駆けてデータヘルス計画の経年分析にチャレンジしました。2013年には、私と当健保の同志であります山本が一期生として安倍塾に参加し、徹底的に健康経営を学びました。

─ 安倍塾とはどのようなものですか?

中家さん:NPO法人健康経営研究会副理事長の安倍孝治さんが主催した、健康経営を学ぶ塾です。ほかの健保組合や事業所の方々も一緒になって学べる場です。特に一期生の中では、健康経営に熱心な株式会社フジクラ人事部の浅野先生のプレゼン内容に強烈な刺激を受け、王陽明の「知行合一」の考え方で切磋琢磨しました。

─ データヘルスは山本先生に学び、安倍塾で健康経営について学ばれたのですね。

中家さん:はい。おかげさまで2014年から3年連続で厚生労働省の公募事業のデータヘルス計画モデル・推進事業に選ばれ、国の事業に参画しました。データヘルスにより事業所別の健康リスクの見える化が実現し、メタボ健診の結果のうち高緊急度リスク者の多さにも気付かされました。高緊急度リスクから卒業させることを課題に、保健師も一緒になって立ち上げたのが「チーム109」作戦です。

─ 3年連続で厚生労働省のモデル事業に選定され続けているとは、恐れ入りました。この「チーム109」作戦とはどのような内容ですか?

中家さん:高緊急度リスク者(上記図の赤色部分)が109名いたことから名付けました。保健師が介入したところ、109名のうち見事72名が卒業でき、脂質リスク者100%減、血圧リスク者95%減、透析リスク者60%減、血糖リスク者44%減という素晴らしい改善ができました。ところが、今度は予備軍が同年度に顔を出してきて、差し引くと結局109名が94名になっただけ。これではリスク保有者数がいつまで経っても減らないイタチごっこ状態です。

そこで、このようなメタボ健診の結果、リスクの高い方々への対策(ハイリスクアプローチ)は継続しつつ、メタボ健診の結果にかかわらず多くの組合員に対して実施する健康施策(ポピュレーションアプローチ)もしないと新規のメタボ参入者を減らすことできず、チーム109の願いが成就できないと考え、新戦略をとることにしました。

─ どこの健保組合さんもポピュレーションアプローチの実践には苦労していますが、御組合ではいかがでしょうか?

山本 さゆりさん(以下、山本さん):当組合は少人数のため、健康診断の外部委託を考えました。これにより保健師に時間的な余裕が生まれて、保健指導に集中できるようになりました。また、外部委託をする際に健診項目の見直しも併せて実施しました。予算は決まっていて増やせないので、ただ削除するだけでなく必要な項目を増やす方法を選び、新たに最適化した内田洋行ドックの実施を開始しました。追加した検査項目で、実際に病気を早期発見できた加入者の方から「元気になりました」という報告は本当に嬉しかったです。また、受診できるクリニックも増やしましたが、結果的に費用削減が実現しました。

中家さん:医療に対する世界の常識は「予防+診療」なのに、日本の医療の常識は「治療」であり、「病人」が前提になっているのですよね。ゴールは「健康人」なのに。そこで当組合は、健康の大切さの風土づくりを推し進めようと考えました。先ほど山本が申し上げましたとおり、当組合のチームは保健師を含めて5名と少人数です。外部事業者の方には「あれもやってこれもやって」ではなく、積極的に動いていただきたいという意味を込め、必ず経営トップや現場責任者の方にご来訪いただき握手を交わしています。

─ 少人数をカバーするために、外部事業者を積極的に活用されているのですね。健診を外部委託する際に併せて健診項目を見直すことで、医療費削減も実現するところが抜け目ないですね。体制の見直しによって生まれた余力からポピュレーションアプローチを10施策も走らせるとは、バイタリティーがあると感じました。

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中編では、特徴的な健康経営施策についてお話しいただきます。

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後編では、健康経営施策に注力してからの社内外の変化や今後の展望についてお話しいただきます。

このたび、内田洋行健康保険組合のお取り計らいにより、自社の健康経営などの目的で活用をご希望の方に、取材時に使用したスライド資料をご提供できる運びとなりました。
ご希望の方は下記よりご連絡ください。

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<企業データ>

名称:内田洋行健康保険組合
所在地:〒104-0033 東京都中央区新川2丁目12番15号 ヒューリック八丁堀ビル
加入事業所数:(株)内田洋行グループ22事業所
被保険者数:3,510人(平均年齢44.44歳)
被扶養者数:3,463人
(平成29年4月1日現在)

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