ヘルスケア意識? 食生活の変化? 食育基本法が生まれた背景とは

ヘルスケア意識? 食生活の変化? 食育基本法が生まれた背景とは

食育基本法の背景のひとつは、日本人の食生活が変化し、ヘルスケアに直結する食事のとり方から日本古来の食文化継承まで、さまざまな問題が生まれてきたこと。そしてもうひとつは、医療など諸分野の研究が進み、ヘルスケアに対する意識や知識が育ってきたことにあります。


食育基本法制定の背景、7つのポイント

食育基本法が成立した背景について、農林水産省「食育の推進に向けて~食育基本法が制定されました~」では次のように解説されています。

 食育基本法が制定された背景は、この法律の中で具体的に述べられています。私たちにとって毎日欠かせない「食」をめぐる様々な問題について日頃から気になっている人も多いのではないでしょうか。主なものを挙げると次のとおりです。
 このような状況は、私たち個人の問題というだけでなく、我が国の社会全体の問題として放置しておくわけにはいきませんね。
 そこで、これらに対する抜本的な対策として、国民運動として食育を強力に推進するための法律が制定されたわけです。

① 「食」を大切にする心の欠如
② 栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加
③ 肥満や生活習慣病(がん、糖尿病など)の増加
④ 過度の痩身志向
⑤ 「食」の安全上の問題の発生
⑥ 「食」の海外への依存
⑦ 伝統ある食文化の喪失

<引用>農林水産省:食育の推進に向けて~食育基本法が制定されました~

では「主なもの」として挙げられた7つの項目について、それぞれ見ていきましょう。

食生活の乱れを招く ①「食」を大切にする心の欠如

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食育基本法施行(平成17年)前後の朝食欠食率について、下記のような結果が出ています。

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、現在の国民の朝食の欠食率は平成11年以降、全体的に男女とも増加しています。特に20代で最も高く、平成17年の調査では、男性で33.1%、女性で23.5%が「朝食を食べていない」と回答しています。

<引用>厚生労働省:e-ヘルスネット:朝食欠食率

親元を離れ独立する人も多い20代に朝食欠食が多いという傾向からも、食への関心の低さ、食を軽視する意識が垣間見えます。
ちなみに食育基本法施行から10年経った平成27年の調査で「朝食を食べていない」と回答した20代は男性で24.0%、女性で25.3%。男性では改善が見られますが、女性は欠食率がやや高まっています。

②偏った食事や不規則な食事の増加、③肥満や生活習慣病の増加

食育基本法施行(平成17年)前後の食生活や体型、生活習慣病の傾向について、下記のような結果が出ています。

エネルギー摂取量の平均値は、男女共に漸減傾向。
脂肪からのエネルギー摂取が30%以上の者の割合は、
成人の男性で約2割、女性で約3割

食塩を目標量を超えて摂取している者の割合は、男性で約6割、女性で約7割
成人の60%以上の者が、食塩を目標量以上摂取していた。

男性では、いずれの年齢階級においても、肥満者の割合が20年前(昭和60年)、10年前(平成7年)と比べて増加しており、40歳代が最も高い。

40~74歳でみると、男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者又は予備群と考えられる者

<引用>「厚生労働省:平成17年 国民健康・栄養調査結果の概要」(各項目の抜粋)

脂肪や食塩を摂り過ぎる人が多い傾向や、生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームのリスクを抱えた人が多い傾向がうかがえます。

女性の美意識も時代によって変化 ④過度の痩身志向

食育基本法施行(平成17年)前後の女性の体型について、下記のような分析が出ています。

若い女性で「やせ」が多いことは厚生労働省が毎年全国レベルで実施している国民健康・栄養調査で示されています。平成17年(2005年)に行われた調査によると、20年前(昭和60年)と比べて、肥満度(BMI)が18.5未満の「やせ(低体重)」が20代女性では5.8%・30代では14.2%・40代では4.2%増であることが分かりました。

女性の「やせ」が増えている背景には、食生活や生活スタイルの多様化・各種メディアに露出しているタレントがやせているため「やせているほうがいい」という価値観の普及・氾濫した様々なダイエット法など種々の因子が影響を及ぼしていると考えられています。そして誤ったダイエットなどによる偏った食生活は、鉄欠乏など潜在的な栄養不良のリスクを高めます。

<引用>厚生労働省:e-ヘルスネット:若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題

「食べられればOK」ではない ⑤「食」の安全上の問題の発生

<引用>農林水産省:食育の推進に向けて~食育基本法が制定されました~

食育基本法施行(平成17年)前後の食の安全性に関する意識について、図のような調査結果が出ています。
汚染物質が「非常に不安である」人は半数以上、農薬などにも高い関心が示されているのが分かります。

食生活だけでなく食材も多様化 ⑥「食」の海外への依存

<引用>農林水産省:平成18年度食料自給率 をめぐる事情

食育基本法施行(平成17年)前後の食料自給率について、図のような調査結果が出ています。数年単位では横ばいに近い状況ですが、緩やかに下がり続けていることが分かります。

食の多様化に押されて ⑦伝統ある食文化の喪失

<引用>農林水産省:aff(あふ) 2014年14年2月号目次特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(2)

食育基本法施行(平成17年)前後の食材消費について、図のような調査結果が出ています。

世界から注目を集めている「和食」ですが、国内では、外食の増加や食生活の欧米化により、「和食」離れが進んでいるとも言えそうです。国民1人当たりが食べる米の量は、50年で半減。その一方で、牛乳・乳製品や肉類は増加(図1)。さらに、世帯当たりの穀類支出額を見てみると、昭和37年には8割を占めていた米への支出が平成22年にはパンや麺にとって代わられました(図2)。

<引用>農林水産省:aff(あふ) 2014年14年2月号目次特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(2)

こうした和食離れによって、伝統的な和食文化が継承されにくくなっていることは想像に難くありません。

食もヘルスケアや文化の一部だという意識を「食育」で

このように生活スタイル、食事内容、食文化など、さまざまな面での問題解決を担っている「食育」の推進。「食育基本法」の制定された背景を踏まえ、まずはご自身やご家族の食生活、食への意識から見直してみてはいかがでしょうか。

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