遠隔保健指導に新メソッドを加え劇的変化!データヘルス見本市セミナーレポート

1.高い実施率を誇るオンライン特定保健指導

熊倉利和(以下、熊倉):今回は株式会社セルメスタと株式会社リンケージ様、日本健康食育協会様とで、遠隔で保健指導を行う方法をご案内します。

遠隔保健指導のプラットフォームになる部分というのは、セルメスタでご提供している健康ポータルサイト「健やか」になります。リンケージ様のオンライン特定保健指導をこちらの「健やか」の中でご利用いただくことができますので、その方法も併せてご案内させていただきます。

そして劇的な変化を与えるメソッドを、日本健康食育協会の柏原様よりお話しいただくという流れになっております。

熊倉:今回セルメスタが特定保健指導を取り上げた理由といたしましては、皆様ご承知のようになかなか特定保健指導の実施率が上がってきていない中で、厚生労働省の方も後期高齢者への支援金の加算金といったペナルティを課してきており、いよいよ健康保険組合様も本腰を入れてこの課題に取り組まなければいけなくなってきているという状況を踏まえてのことであります。

そして現状は特定保健指導の実施率をどうやって上げていくのかという部分が健康保険組合の皆様のお悩みではあると思うのですが、せっかく特定保健指導をやるのであれば、劇的に改善率も上げていただければと考え、この度のご案内をすることになりました。

株式会社リンケージ 白田千佳子氏(以下、白田さん):株式会社リンケージで保健師をしております、白田と申します。特定保健指導は保健師、管理栄養士によって面談を受けることが可能ですが、それを弊社はスマホ・タブレットを用いてオンラインで実施しております。

私共は、面談実施率、支援終了率共に高い数値を誇っております。その要因といたしまして、契約先は健保様ではありますが、健保様と企業様とのコラボヘルスにも関わっているため、よりスムーズに進むようなサービスをご提供しております。

白田さん:スマホをご利用の方もかなり増えてきていると思いますので、ちょっとした時間で、自分が選んだ場所で利用出来るということ、また会社の人事総務の方の取りまとめの手間が軽減されるということで、大変ご好評いただいております。

昨年度の実績について、いくつかの健保様の平均ではございますが、特定保健指導対象者数のうち、9割以上の方で初回面談を実施しております。更に、初回面談を実施させていただいた方々のうち、最後の実績評価まで終了した方については、95%以上の数値を誇っております。この理由といたしましては、システムで進捗管理をしておりまして、タイムリーに督促の電話とメールをしているからだと考えております。

2.メタボに対する誤った認識

熊倉:日本健康食育協会の柏原先生はこれまで、20年以上に渡って管理栄養士として色々な食育、保健指導をされていてその実績の数が4万人以上。また、出版にも力を入れていらっしゃり、最近の本ですと「疲れない体をつくる疲れない食事」という本が出ているのですけれども、これまで出された著書は計7冊で累計10万部超えの人気です。特定保健指導の話が出る前からこのようにプログラムに取り組んでいらっしゃいまして、メソッドも大変興味深いです。

最近ですと、脂質、糖質、たんぱく質、の中で積極的に摂取して良いのはたんぱく質だけというような話がありますが、そういったメソッドとは真っ向対立していると言いますか、対極にいるようなメソッドであります。

一般社団法人日本健康食育協会 柏原ゆきよ氏(以下、柏原さん):今回は保健指導を劇的に変える遠隔の保健指導の新たなメソッドとしまして、私たち日本健康食育協会が提唱している理論をリンケージさんのプログラムに、サービスにご提供するという形でスタートいたします。

保健指導は継続しやすい環境づくりというのがすごく重要になるかと思います。そこについては遠隔指導ということでリンケージさんのサービスがとても優れていますけれども、もう一つの観点は、ただ実施率を見るだけでなく、改善率、つまりどれくらいその人たちが変わったのか、メタボが改善したのか、という観点だと考えております。

柏原さん:保健指導がスタートして10年程経ち、様々なところで色々な取り組みが行われていますが、私自身20年以上現場を見ていて思うのは、改善率が低い傾向があるということ、そして改善したと思ったら元に戻ってしまう人がとても多いということです。戻ってしまうのは、やった分無駄になってしまうということですので、このあたりをどう変えていくのか、保健指導の成果があがることが本当に社会を変えるポイントになるのではないかと考えております。

まず、そもそもメタボのことを食事の観点からどうアプローチするか、ということについてお話しします。メタボ=食べ過ぎというイメージがあって、現場では、多く食べ過ぎない指導、控えなさいというアドバイスが主流だと思います。ですが、現場でメタボの方たちを見ていて明確な傾向は、メタボの人ほど食べ過ぎが少ない、むしろ食べる量が足りていない人が多い、というのが現状です。太っている=食べ過ぎと言う概念を、今変更することが難しくなっているというギャップがあるのではないかなと思っています。

国民健康栄養調査という、厚生労働省のデータからご紹介します。こちらは、国民一人が一日にどれくらいのカロリーを摂っているのかというのをグラフにしております。戦後すぐから、現代にかけて、1946年から2010年にかけての推移なのですけれども、戦後少なかったカロリーは、高度成長期でピークに達しています。

柏原さん:摂取カロリーが一番多かったのは、もう今から40年以上前になっております。そこから現代にかけて、一人当たりの摂取カロリーは、急激に落ちております。これだけカロリー摂取量が落ちているのに、肥満やメタボ、生活習慣病が増えているというのは単に食べ過ぎだけが原因ではない、ということなのです。

一番右側の2010年の数字は戦後よりも摂取カロリーが少なくなっているという状況を示しています。摂取カロリーがどんどん少なくなっている現代人に対し、カロリーを制限する、食べる量を控えるというアドバイスは、実は現状を改善しにくいということなのです。

皆さん自身も経験ないでしょうか。食べる量を減らしたのに思ったより体重が減らない。いっぱい食べているのにスリムな人がいる。大柄な人、太っている人がたくさん食べているイメージだけど意外と小食だったりする。こんな世の中のカロリーに対するイメージは、実際現場で起こっていることとの大きなギャップがあります。

ですけれども、未だに栄養士さんたちも保健指導の現場では、「食べ過ぎないでください」ということが基本のアドバイスになってしまっていることで、結果が出にくくなっていると考えられます。

柏原さん:そもそも、メタボリックシンドロームというのは、代謝に異常が起こっている状態です。代謝異常症候群です。体内の代謝がうまくいかないことが原因であって、食べ過ぎが原因ではないということです。

なぜ代謝が悪くなるのか、というのは色々な理由がありますけれども、ひとつ、現代人に共通している特徴が、ストレスから自律神経のバランスが崩れていること、自律神経が代謝に大きく影響しています。ですので、代謝を改善するためには、自律神経を整えるということがすごく大切です。

同じ食事をしていても太りやすい人と太りにくい人がいる。これはなぜなのかと言うと、食べ方の癖ということが非常に大きく影響しています。ですから、単に食事を減らす、食べる量を控えるという発想ではなく、消費を増やそう、ということなのです。食べる量を増やしても、消費が増えれば改善するのです。そもそも消費と言うのが、イコール代謝です。代謝が落ちているからメタボになるわけですけれども、代謝が落ちている人は消費が少ないのです。

ではどうしたら消費が増やせるのか。使うためには入れないといけないのが基本ですので、きちんと食べて、消費をする体づくり、体のメカニズムづくりをするということが重要です。

3.効果の出る特定保健指導とは

柏原さん:私たちが特に重視しているは、効果を出すためのアプローチ法というところで、これには二つ考え方があります。

今まで、ほとんどの現場で行われてきているのがリスク・リダクションという方法です。体に良くない、健康に害をもたらすと考えられる危険因子を減らすことで改善させよう、という方法です。カロリー制限、糖質制限、脂質制限、塩分制限、こういったものもすべて、リスク・リダクションになります。これを私たちはネガティブアプローチと呼んでいます。

柏原さん:一方で、ヘルスプロモーションと呼ばれるの方法がこれから重要だと言われています。これからと言っても、もう20年以上も前にWHOが、ヘルスプロモーションの方が有効であるということをエビデンスで証明し、推奨しています。この観点から言うと日本は少し遅れていると言えます。

ヘルスプロモーションというのは、前向きな要素、増やした方がいい要素にアプローチをするという方法です。これは明確に、リスク・リダクションは効果が出にくいということがはっきりしています。なぜなのかというと、制限をかけられたり禁止をされたりすると人はストレスを感じます。このストレスを与える考え方というのが、非常に結果を悪くするのです。同じ食事内容だとしても、ポジティブな方が改善しやすいというのが明確なのです。

そういったところから、私たちはヘルスプロモーションでアプローチするというプログラムで徹底して行っています。

食事の結果を高めるポイントは、ストレスをいかに与えないのか、ということになります。私たちが重視している3つの指導方針というのが、禁止、制限、我慢なし、です。食事に関する禁止事項、制限すること、我慢することをさせないということなのです。これがストレスを与えないポイントで、むしろしっかり食べた方が代謝や消費が上がりメタボの改善率が高くなります。

柏原さん:また、いかにストレスを外し、実践度を高くするか、という点においては、楽しく食べる提案を行っています。ここもどうやって楽しく食べるかという提案の仕方にノウハウがあります。きちんと食べることで代謝を高めることがメタボの改善率を劇的に高くする、そんなところがポイントです。

先ほど、カロリー摂取の推移のグラフをご紹介しましたが、こちらは更に詳しく栄養素の内訳を示したものになります。カロリーと言うのは、炭水化物、脂質、たんぱく質と言う3つの栄養素を合計したものです。この3つの栄養素のうち、どの栄養素から摂っているカロリーなのかと、いうことがメタボを改善するときにとても重要な要素です。カロリーの大きさではなく、3つの栄養素のバランスを見る、ということです。

グラフの一番左側の戦後ですが、カロリーのうち、水色が中心です。水色は炭水化物です。黄色は脂質なのですけれども、脂質は7%から27%へと急増しています。それに対して水色の炭水化物は8割ぐらいあったものが56%と、こちらは激減しています。同じカロリーの大きさであったとしても、この内訳の変化がメタボの改善に非常に大きな差をもたらすのです。

4.炭水化物は悪者ではない

柏原さん:シンプルに言うと、炭水化物はエネルギー源として燃やして消費してしまえば、消えるものです。それに対して、脂質もエネルギー源になるのですが、脂質は非常に燃焼しにくいという性質があります。ですので、同じエネルギー源を摂るなら、炭水化物を主体にした方が、代謝が上がるわけです。

もうひとつたんぱく質に関しては、エネルギー源として消費するよりも筋肉や骨など体の材料にするべきものですので、ここをあまり多くしすぎると今度は代謝したあと腎臓や肝臓に負担がかかって、かえって代謝を落としてしまうということになります。

私たちの身体の機能として、炭水化物をメインにすることがメタボを改善するうえで非常に重要なのですが、今の日本人の食事の傾向としては炭水化物の比率が激減していることでこれがすごく難しくなっている、そんな背景があるのです。

でも、世の中では、炭水化物が悪い、糖質を減らした方がいい、そんな発想が中心です。実際に糖質を制限しますと、一時的に体重はすごく落ちる傾向にあります。ですけれども、同時に代謝も落ちるのです。代謝が落ちますと、一時的に体重が落ちたとしても、高い確率でリバウンドします。このリバウンドをさせないことが、すごく重要です。

柏原さん:保健指導は大体3か月ですとか6か月というように期間限定でサポートします。この着地点で改善したかどうか、ではなく、その後もその人たちがリバウンドしていないかどうか、ということを見ていかないと、保健指導をやってもやっても、焼け石に水、どんどんメタボは増えてくるし、改善したはずの人も戻ってくると、そんなことが起こってきますので、一時的な結果を求めない、ということです。

最近、ご飯になんとなく悪いイメージを持って控える傾向がありますが、それがかえって色々な状況を悪くしているということがあります。私たちはご飯を中心とした食生活の提案をしていて、それを効果的にできる実践方法をアドバイスするというプログラムなのですけれども、それを実証するために色々なエビデンスづくり、リサーチを行っております。

こちらのデータは昨年全国14万人の働く世代にアンケート調査を実施した結果の一部なのですけれども、ご飯を日常的に食べている人と、食べる量が少ない人たちにはストレスをどのくらい感じるか、という点で明確な差があります。

柏原さん:ご飯をしっかり食べることは、先ほど咀嚼のところでもお話ししましたが、脳に対する影響が非常に大きく、ストレスを緩和するということがあります。体がストレスを感じにくい食事の実践、そしてストレスを感じないアドバイスのサポート、そして継続しやすいシステムのフォロー、こういったところをトータルして実施率を高め、改善率を上げていく、そんなプログラムのご提案になります。

熊倉:柏原さんのメソッドは過去セルメスタ経由で健康保険組合様向けにセミナーで伝えさせていただいているのですが、毎回好評な一方で健康保険組合様にご検討いただいた際、これを自社の保健師さん、もしくは健康保険組合の産業医の方々とコラボしてやっていくときにけっこうハードルが高いというようなお話があって、どうしたらいいのだろうかと考えました。

そこで、リンケージさんと日本健康食育協会さんで実際にそういったメソッドを保健指導の中に組み込んでみようということを実現したのが今回のサービスのご提案でございました。

<企業データ>

【株式会社セルメスタ】
 セルメスタは、1971年に創業し、企業健康保険組合を通じた家庭用常備薬等斡旋、疾病予防対策、郵送検診、医療費抑制プログラム等のサービスを提供しています。また、企業健康保険組合員向けの健康ポータルサイト「健やか」を運営し、サイト内での様々な情報発信を行っています。近年はセルフメディケーションの浸透にも注力しICTを用いた様々なサービス拡充を積極的に進めています。

【株式会社リンケージ】
 株式会社リンケージは、時代に合った求められる仕組みを繋ぎ、テクノロジーを駆使しながら利用者の健康の質を高めるサービスを展開しているヘルステック・ベンチャーです。「すべての人が、与えられた寿命を最期まで健康に全うできる仕組み創り」を理念に掲げ、ICTを使った禁煙サービス、保健指導サービスを提供しております。

【一般社団法人日本健康食育協会】
 日本健康食育協会は、「食から課題を解決し、元氣な社会を創造する」という理念のもと、「健康食育」を軸に、資格講座「健康食育マスター講座」を主宰し、指導者育成や、健康経営教育プログラムの開発、地域住民の健康サポートを通じた地域の活性化など、20年以上にわたり、保健指導や健康経営の課題解決を図り、成果を上げるコンサルティングを行っています。