ストレスチェックにおける、勘違いしやすいポイント・方法

定期検診と一緒ではない! ストレスチェックの対象者はどこまで?

ストレスチェックの対象者は、正社員だけではありません。また、当初の方針では「一般定期健康診断と同様」とされていましたが、現行では変更されているので注意が必要です。

厚生労働省が出している「ストレスチェック制度関係Q&A」では、ストレスチェックの対象者を下記のように定めています。

Q0-13
ストレスチェックの実施義務の対象は、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」とされていますが、この50人は、どこまで含めてカウントする必要があるのでしょうか。アルバイトやパート労働者も含めるのでしょうか。

出典 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf


労働安全衛生法第66条の10に基づくストレスチェックは、労働安全衛生法施行令第5条に示す「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に実施義務が課されています。この場合の「常時使用している労働者が50人以上いるかどうか」の判断は、ストレスチェックの対象者のように、契約期間(1年以上)や週の労働時間(通常の労働者の4分の3以上)をもとに判断するのではなく、常態として使用しているかどうかで判断することになります。
したがって、例えば週1回しか出勤しないようなアルバイトやパート労働者であっても、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用している労働者として50人のカウントに含めていただく必要があります。

出典 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf

<引用>厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A」

ストレスチェックの対象者は「常時使用している労働者」で、「常時使用している労働者」とは、週1回でも月1回でも「継続して雇用し、状態として使用している」者を指します。
社長や役員は労働者ではなく使用者であるため、対象には含まれません。

派遣労働者の受検について

派遣労働者については、

派遣労働者に対するストレスチェック、医師による面接指導、就業上の措置等については、派遣元事業者に実施義務があります。一方、派遣労働者を含めた集団ごとの集計・分析は、派遣先事業者が実施すべきとされています。

出典 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

<引用>厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」

となっており、ストレスチェックを実施するのは派遣元で、受検した派遣労働者を含めた集計・分析は派遣先と責務が分かれています。

ストレスチェックの「受検」は義務ではない

ストレスチェックは「常時 50 人以上の労働者を使用する事業場」に実施義務がありますが、ストレスチェックを受検する・しない、面接指導を受ける・受けないは、従業員の任意です。

企業は「左遷や解雇の理由にされるのではないか」「プライバシーが守られるか不安」など、従業員の心配事を払拭し、また同時に、受検しないことや面接指導を受けないことについても、不利益が生じないことを正しく伝える必要があります。

従業員が安心して受検できる環境づくりの指針としては、厚生労働省の「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」が参考になるでしょう。

ストレスチェックは性格検査やうつ病検査ではない

ストレスチェックの目的は、メンタル不調を未然に防ぐ「一次予防」です。したがって、ストレスチェックは「性格検査」や「適性検査」、うつ病などのいわゆる「病気のあぶり出し」に使用することは不適当とされます。

ストレスチェックで使用する検査項目は、メンタルヘルス不調の一次予防という目的に適した項目を設定するべきです。厚生労働省では「職業性簡易ストレス調査票(57項目)」を提供し、使用を推奨しています。まずはこちらを使用することが実際的です。

ストレスチェックの個人結果を従事者が把握するには?

ストレスチェックの結果は、実施者(※)から受検者本人に通知されます。原則として個人のストレスチェック結果を事業者(企業)が把握したい場合は、受検者に結果が通知された後に、個別に同意をとる必要があります。

ここで留意したいのが、ストレスチェック実施前や、実施時のタイミングで同意を得ることはできないという点です。
ストレスチェックの基本的な流れはこちらの記事が参考になるでしょう。

また、受検者全員にまとめて同意を得ることや、同意した労働者だけを対象にストレスチェックを行うことは禁止されています。

ただし、面接指導の対象者が面接指導を受ける申し出をした場合には、個人のストレスチェック結果を企業へ提供することに同意したものとみなされます。

※ 実施者…医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(労働安全衛生法第66条10第1項)

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