ストレスチェックの流れと手順(厚生労働省 導入ガイド準拠)

ストレスチェックの実施手順、全体の流れ

平成27年から施工された「ストレスチェック制度」によって、従業員50人以上の事業場では、法律で定められたストレスチェックの実施が義務づけられています。

本記事では導入前の準備から高ストレス者への面接指導までのおおまかな流れを、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」「ストレスチェック制度導入ガイド」に基づいて解説します。

出典:「ストレスチェック制度 導入マニュアル – 厚生労働省」

ストレスチェック導入前の準備

経営者によるストレスチェック実施の方針表明

ストレスチェックは、会社として「メンタルヘルス不調の未然防止のためにストレスチェック制度を実施する」旨を表明することからはじまります。
導入初年度は、会社の全体会議等の場で経営者が宣言する機会を設けるとよいでしょう。

衛生委員会等による、ストレスチェック実施方法等の話し合い

企業の衛生委員会等によって、ストレスチェックの実施方法等について話し合い、決まったことは社内規定として明文化、全ての労働者に知らせます。

ストレスチェック制度に関する社内規定には、特定の形式・書式はありません。厚生労働省が作成した「ストレスチェック制度実施規定(例)」を参考に、各社の実情に即して作成します。

話し合う必要がある項目(主なもの)
① ストレスチェックは誰に実施させるのか
② ストレスチェックはいつ実施するのか
③ どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか
④ どんな基準でストレスの高い人を選ぶのか
⑤ 面接指導の申出は誰にすればよいのか
⑥ 面接指導はどの医師に依頼して実施するのか
⑦ 集団分析はどんな方法で行うのか
⑧ ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか

出典 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf

<引用>厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」

ストレスチェックの実施

ストレスチェック調査票を配布、記入

ストレスチェックは「質問票」を用いて、用紙もしくはオンラインで従業員本人が回答します。一般健康診断で精神面について問診を行ったことをもって、ストレスチェックに代えることはできません。

“「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト”では、ストレスチェック実施プログラムを無料で配布しています。

質問票は厚生労働省が提供する「職業性ストレス簡易質問票(57項目)」の利用が推奨されています。独自で作成する場合には、以下の3つの事項に関する質問を必ず含む必要があります。

①仕事のストレス要因:ストレスの原因に関する質問項目
②心身のストレス反応:ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
③周囲のサポート:労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目

ストレスチェックによるストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定

回収した質問票をもとに、ストレスの程度を評価します。
ストレスチェック結果の評価方法、基準は、実施者の提案・助言、衛生委員会における調査審議を経て、事業者が決定します。

第三者や人事権を持つ職員が、記入・入力の終わった質問票の内容を閲覧することはできません。

自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者を高ストレス者として選びます。(ストレスチェック制度 導入マニュアル – 厚生労働省 より)

高ストレス者の選定は、下記2つの方法があります
① 質問票「心身のストレス反応」の点数が高い者
② 「心身のストレス反応」の点数が一定以上で、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い者

詳しくは厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」の「ストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定方法・基準(P38)」が参考になるでしょう。

本人にストレスチェック結果を通知

受検者にストレスチェックの結果を、封書または電子メールで通知します。また、高ストレス者には、面接指導の必要があることも連絡します。

原則として、個人の結果を事業者(企業)も把握したい場合には、各人への結果通知後に、個別に同意を得ておく必要があります。実施前や実施時での同意の取得、ならびに受検者全員にまとめて同意を取得することは禁止されています。

ストレスチェックの結果をもとに、高ストレス者に医師による面接指導

本人から面接指導の申し出

ストレスチェックの結果から、高ストレスと評価された受検者に対しては、医師等の実施者が面接の申し出の勧奨を行います。

受検者が事業者の窓口に面接を申し入れることで、医師による面接が行われます。面接指導を受けるかどうかは、勧奨を受けた受検者によるため、すべての対象者から面接の申し入れがあるわけではありません。

医師による面接指導の実施

面接指導を行う医師は精神科等の専門医である必要はなく、その事業場の産業医等が望ましいとされています。面接指導は申し出があってからおおむね1カ月以内に実施する必要があり、日時設定については対象者が指導を受けやすくなるよう配慮が必要です。

面接時に、医師は以下を確認した上で保健指導を行い、必要に応じて精神科・心療内科への受診の勧め、紹介等を行います。
① 当該従業員の勤務の状況
② 心理的な負担の状況
③ その他の心身の状況の確認

内容について医師から意見聴取、必要な就業上の措置を実施

高ストレス者の面接指導後、面談をした医師から就業上の措置に関する意見を、遅くとも1ヶ月以内に聴取します。事業者は、医師の意見を踏まえて、必要な就業上の措置を講じます。
必要に応じて、職場環境の改善に関する意見も求めるとよいでしょう。

ストレスチェックの集団分析(努力義務)

ストレスチェックの結果を職場や部署単位のグループで集計・分析することは、高ストレス者が多い部署を明らかにし、業務環境を改善するヒントになります。

集団ごとの集計・分析結果は、労働者の同意を取らなくても差し支えありません。ただし、単位が10人を下回る場合は個人特定につながりかねないため、労働者全員の同意が必要です。

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