【レポート】従業員のコミュニケーション能力UPと生産性向上のためのマインドフルネスセミナー

1. 中川正心氏による優位感覚のチェック

「NLP」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
心理学の一分野で、1970年代にアメリカの研究者によって体系化されたものですが、今でも発展・成長を続けている学問です。

家庭、仕事、人間関係。どんな場面を切り取っても人は他者と関わらずに生きていくことは難しいものです。しかし他者と関わる際に重要な「コミュニケーション」が、うまくいかないという時も決して少なくはないのではないでしょうか。

講師の中川氏は、「他者と自分を同一視していませんか?」と穏やか声で参加者に問いかけます。分かってはいても、本当に自分と違うものとして相手を尊重しているでしょうか。価値観や性格を自分の延長と捉えたり、自分が思っていることを他者に投影してしまっていたりしないでしょうか。

これらは自分では案外気付きにくいものですが、今回「NLP」を用いて他者と自分を同一視していないかどうかを改めて振り返る機会にしてみてほしいと中川氏は言います。

「NLP」を用いる上で、まず人には優位感覚というものがあることを知る必要があります。優位感覚というのは、利き腕ならぬ利き感覚のようなものです。人が何かを認識したり想像したり表現する時には、視覚(Visual)、聴覚(Auditory)、触覚(Kinesthetic)、嗅覚(Olfactory)、味覚(Gustatory)の5つの感覚を使います。

このことをそれぞれの頭文字を取って「VAKOG」、或いは触覚・嗅覚・味覚を身体感覚(K)としてまとめて「VAK」と呼びます。これら五感には優位感覚があり、それが人それぞれ異なることを知ることが、他者と自分を同一視しないための方法の一つになります。

優位感覚が違うことを知る簡易チェックとして、中川氏はセミナーの参加者に対して「海、と言われると何を感じますか?」という問いかけをしました。参加者からは「きれい」「広い」「青い」「風景」「波の音」「しょっぱい」といった様々な回答が出ました。
視覚的な情報に重きを置いた人はV(視覚優位)、音を感じた人はA(聴覚優位)、塩の塩辛さを感じた人はG(味覚優位)ということになります。

このように海という言葉から想起するものが人によって異なる結果が出たことで、優位感覚は人それぞれであるということが、ご理解いただけるのではないでしょうか。

それぞれの優位感覚について、ほんの一例ではありますが特徴を挙げると、一般的にV(視覚優位)の人は早口になりやすいそうです。本人の頭の中には話したい内容・イメージが浮かんでいるので、情報量が多くなり、結果として口調が早くなりやすいのだそうです。

K(身体感覚優位)の人は、海の例でいうと「熱い砂の感触」などのような肌触りをイメージするそうで、「腹落ち」「腑に落ちる」という言葉を好む方が多いそうです。また、スキンシップを大切にする傾向にあるのだそうです。

A(聴覚優位)は単純な音だけではなく、評判や噂を気にしたり、家電製品であればスペックといったエビデンスを求めがちであったりするそうです。

自分を知り、そして相手の優位感覚を考えてみると、傾向を踏まえて接することができるのでコミュニケーションが円滑に進むようになったと中川氏は話します。

2.ストレスの連続性の断ち切り方

ところで今回のセミナーは、「NLP」と瞑想を使ってコミュニケーション不全とストレスの専属性を解消する、ということがテーマですが、そもそもストレスは悪なのでしょうか。

中川氏は、それを乗り越えることが成長の糧になるので、ストレスそのものはある程度は必要なものであると説明します。ただ問題になるのは、一度乗り越えれば消えてなくなる一時的なストレスではなく、ストレスが連続する場合なのだそうです。

少し極端な例ですが、山で熊に会ったと仮定した場合、遭遇したら恐怖心を覚え、ストレスを感じます。そこで逃げ切ることが出来ればその場を乗り越えられた(生き延びる術を身に付け自己の成長に繋がった)と解釈することが出来ますが、逃げても逃げても逃げきれずに追いかけられ続けると、人は疲れ切ってしまい、最終的には力尽きて熊に捕まってしまうことになりかねません。ストレスは一度で乗り越えることが出来ればそれは成長の糧になりますが、連続性があるとストレスフルな状態となってしまい、人は壊れてしまうのです。

ストレスが連続している場合は、リセットすればよいのだと中川氏は話します。リセットすることが出来れば脳はそれまでのストレスとは別の物と捉えることができて、ストレスの連続性を断ち切ることができるのだそうです。

世の中にはストレスフルの人も、ストレスフリーの人もいますが、両者を比較するとストレスフリーの人が成果を出していることが多いそうです。彼らももちろんストレスは感じているそうですが、ストレスフルの人と違う点は、リセットすることが上手だということです。
一方でストレスが断ち切れない人は同じところをぐるぐる繰り返していくことで心身ともに疲弊していってしまうのだそうです。

今回はそのストレスの連続性を断ち切る方法として、先ほど学んだ「VAK」を用いたVAK瞑想を体験します。なかなか時間がとれない方、瞑想のやり方が分からない方も多いと思いますが、VAK瞑想は短時間で取り組めてどこでも実行できるため、大変取り入れやすく経験の無い方にもお薦めできる方法ですので是非一緒に体験してみてください。

3. 菊池裕子氏による瞑想 ~A(聴覚)~

ここからは具体的に瞑想の方法をお伝えしていきます。

(以下、実際の講師の方の発言内容を元にご紹介します。)

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まず、3つのパートを使った瞑想を行っていきます。まずは聴覚の瞑想に取り組みます。
始めに体を伸ばしてリラックスします。大勢の方と同時に行う場合や、人がたくさんいる部屋で取り組む場合は、前の方の頭が目の前にこないよう、視界が開けるような位置に移動してください。

椅子には浅めに腰かけます。座る姿勢は堅苦しくピシッとしなくても構いませんが、足元がしっかり床について、座骨が椅子にしっかりついている感覚があって、自分が楽に呼吸できるところに座ってください。

一度大きく息を吸いながら大きく伸びをしてください。そして息を吐きながら脱力します。じわーっと力がとれてるのが感じられるでしょうか。もう一度息を吸いながら伸びをして、息を吐いて脱力します。

目を閉じて、呼吸は楽に自然に行ってください。ご自分に聞こえてくる音、ひとつひとつを追いかけます。自然に聞こえてくる音、自分から聞きに行く音、周囲の話し声、エアコンの音、色々な音が聞こえると思います。ひとつ音が見つかったら、別の音を探しにいってください。

(しばらく間をおきます)

目を開けてください。いくつくらいの音が見つかったでしょうか。3つ、4つ。もっとたくさん見つけた方もいるかもしれません。

それでは、もう一度目を閉じていただきます
今度は今聞こえている音の他に、部屋の外にも感覚を広げていきます。道路、空の上、今いる建物の上の階……。

(しばらく間をおきます)

今度は自分の身体の中の方に耳をすませてみます。自分の呼吸の音、心臓の音、感覚的に伝わってくる音。

(しばらく間をおきます)

色々な音を見つけたら、ゆっくりと目を開けてください。

自分で音を探しにいく、音に集中する、ということが先ほどお伝えしたストレスをリセットする方法の一つになります。

4. 菊池裕子氏による瞑想 ~V(視覚)~

次は視覚の瞑想です。自分の視線を前方のどこか一点に定めてください。目の玉を動かさず、視点を定めます。首の位置も動かさないでください。

次に右手の人差し指を視線の高さくらいの位置に上げて手を前に伸ばします。視点は定めたところから変えずに、指だけをゆっくりと右方向に動かしていきます。視野の中で指が動いているのがなんとなく見えると思います。この時視界にある指が見えなくなるところで指を止めます。この状態が今のご自分の右側の視野、ということになります。

続いて、同じように視点は前方の一点に定めたまま、今度は左手の人差し指を視線の高さくらいの位置に上げて手を前に伸ばします。視点は定めたところから変えずに、指だけをゆっくりと左方向に動かしていき、視界にある指が見えなくなるところで指を止め、ご自分の左側の視野を確認します。

次は上方向です。今度は手を使わず、視点は前方の一点に定めたまま、視野だけ天井方向に意識を向けて、視野を広げます。天井の模様、照明の数など、色々なものが見えてくるはずです。確認出来たら、ゆっくりと視界を正面に戻していきます。

同じように前方に視点を定めたまま、今度は下の方に意識を向けて視野を広げていきます。下方向の視野が確認出来たら、またゆっくりと視界を正面に戻します。

その後は、首を動かしてよいので上下左右、ご自分の周りをぐるりと見回してください。先ほど見えなかった部分も実際に見えると思います。

それでは、もう一度視点を前方に定めて、今瞑想を行った上下左右、全部に意識を広げてください。呼吸は続けてください。瞬きもしてください。たっぷりと時間をとって、ゆっくりと意識を広げてください。

(しばらく間をおきます)

5. 菊池裕子氏による瞑想 ~K(触覚)~

今度は触覚を使った瞑想を行います。
まず掌を合わせてください。この中に息を吹きかけます。寒い手を温めるようなイメージです。すると手のひらの中に温かい空気が入っているのが感じられると思います。もう一度同じことを繰り返してください。

普段、掌の感触を味わうことはあまりないかもしれませんが、自分の身体の一部、どこでも構わないので、そこに意識を集中することも瞑想の一つにすることができるのです。

掌をしっかりくっつけて、掌の感触を味わいます。右と左の手のどこがくっついているかを確認してください。指先に特に集中してください。指先は意外とでこぼこしています。溝があるような感じがするかもしれません。指紋には意外と凹凸があることにも気付くかもしれません。汗ばんでくる人、かさかさしている人もいるでしょう。

日常よく働いてくれている手ですが、あまり観察や体感をすることがないと思います。掌の感触をじっくり味わってください。

(しばらく間をおきます)

もう一度息を吸いながら伸びをします。息を吐いて、脱力してください。
瞑想を行う前よりも少し変わっているかもしれない体の感覚、感じ方を味わってみてください。

6. 菊池裕子氏による瞑想 ~VAK~

では、ここまで行った3つ(VAK)を一度に使って瞑想を行っていきます。
視点は一か所に定めて、視界は広げたまま、音を拾いにいき、体の感覚を味わいます。手をお腹にあてて熱を感じる、ということでも結構です。好きな姿勢で、1分間行ってください。この時、呼吸と瞬きをやめないでください。

(1分間行います)

これだけのことですが、この短時間で脳の状態は一部リセットされています。これを繰り返すことを日々重ねていくことで、ご自分の気付かないうちに瞑想ができるようになっていきます。

普段私たちの脳は、色々なもの・情報が入らないようにすることで脳が働き過ぎないように守っているのです。それを短時間開放することで、リセットや、ストレスのコントロールをすることに繋がっていくのです。

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例えば車の運転をしている時はフルに感覚を活用しています。都会の中は音に溢れていて、色々なものが目に入ってくるので、この3つの瞑想をするのにちょうど良いのです。講師の菊池氏は、電車の中は瞑想の時間と決めているのだそうです。例えば電車が揺れているときに振動はどのように伝わってくるか、ぶつかっているものは何か、などを考えるとストレスの緩和になるそうです。

見ているようで見ていないこと、気付いていないことが日常には溢れているものです。普段目につかないことが目に入ることになり、案外生活が楽しくなることもあるかもしれません。

リセットすることができるようになるとどんなメリットがあるかというと、起きていることをそのままに見る練習になるのです。これから起きてくるかもしれないことに対する不安や恐怖(=ストレス)を抱えるよりも、今現在起きていることをそのまま見る、ということがストレスのコントロールに繋がるのだと菊池氏は語ります。

今の3つの瞑想、全部でもよいですし、そのうちの取り組みやすかった1つだけでも構わないので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

7. 株式会社セルメスタのマインドフルネスについての取り組み

いかがだったでしょうか。マインドフルネスのやり方を体験してみて、効果が少し実感できたでしょうか。

本セミナーでは講師の佐藤今日子氏によるコンパッション(慈悲)瞑想というものも体験する時間がありました。自分と他者の幸せを心の中で願ったり声に出して言ってみたりするという方法の瞑想です。参加者からは、気持ちが温かくなった、元気が出た、といった感想が挙がりました。

また、セミナー終盤では、先行して「マインドフルネスルーム」(詳細は後述)の参加経験がある社員による体験談の発表もありました。「程度の大小はあれど、瞑想を行う数分間だけは仕事を含めて全てのことから一旦開放される感じがあり、会社の中とはいえ全く違うことを考えていられたのでリラックス効果が非常に大きかった」とのことでした。

中川氏のおっしゃる通り、日常業務を行っているとストレスの連続で、なかなかストレスを断ち切ることが難しいのが現状です。株式会社セルメスタでは、このようにセミナーで瞑想やマインドフルネスに関心を持った従業員に対してマインドフルネスを継続して実践できる機会を提供して、1年以上が経過しています。毎週水曜日の午後30分を会議室を「マインドフルネスルーム」として、講師とともにVAK瞑想だけでなく、様々なマインドフルネスを実践しています。

株式会社セルメスタの「マインドフルネスルーム」では、受講前と受講後にCOCOLOLOというアプリを用いてストレスとリラックスのバランスを測定して、その変化と感想を記録しています。講師から後日返信をもらえるといったフィードバックもあり、セミナー受講者からは好評の声が挙がっているようです。

↓↓本セミナーの様子を動画でチェック↓↓

<企業データ>

会社名:株式会社 セルメスタ(Selmesta CO.,LTD.)
事業内容:1.一般用医薬品、救急医薬品セット、介護用品、防災用品、健康食品の販売
2.郵送検診事業の受託
3.郵送検診キットの販売
4.インターネットを利用した各種情報提供サービス及び販売
5.医療費抑制事業
6.不動産管理事務の受託
所在地:〒130-8671 東京都墨田区石原4丁目25番12号
資本金:5000万円
従業員数:約60名

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