健康経営 中小企業の事例:株式会社セルメスタ(ダイエットウィーク編)

1.ダイエットウィークとは

- 健康経営を推進する中で「ダイエットウィーク」という取り組みをされているそうですが、どのような経緯で始めることになったのですか?



佐藤 琢也さん(以下佐藤さん):弊社では、加入している東京薬業健康保険組合から返ってきた健康診断結果が芳しくなかったことを受けて、健康経営を目指し、2018年に健康経営優良法人の認定をいただきました。一般的に働く世代の運動習慣は5人に1人と言われています。一方、食事はみんなが毎日、2回ないし3回するもの。従業員の健康管理において、毎日の食習慣を見直すことは、運動以上に効果が高いと考えています。健康経営施策としても食育を推進しており、その中の1つが、当社代表の熊倉が講師となって従業員向けに行う食育セミナーでした。当社ではその食育セミナーに参加した者を対象に2つのダイエットプログラムを用意しました。


― 食育セミナーで、食事に関心を持った従業員をダイエットウィークに誘導する仕組みですね。

佐藤さん:その通りです。食育セミナーで、食事に関する知識を得ることはできますが、それを実践するとなると、もう一段ハードルが上がります。当社では、従業員が少しでも実行しやすいよう、食育セミナーの後にダイエットウィークという実践型のイベントを用意しています。

- ダイエットプログラムの内容を教えてください。

佐藤さん:ダイエットというと、ジョギングや筋トレで痩せるというのが一般的なイメージかと思いますが、当社のダイエットウィークは運動でダイエットするのではく、食育の一環として、食事を見直すことでダイエットしていきます。ダイエットメニューとしては二種類用意しており、基本的には参加者の希望でどちらかを選び、参加者同士で励ましあってダイエットに挑戦してもらいます。
具体的に1つは「食べる断食」というもので、若玄米と雑穀を混ぜたご飯とお味噌汁だけを毎日3食、10日間続けるものです。もう1つはいわゆる普通の食べない断食、「ミネラルファスティング」です。酵素ジュースと、1日2Lのお水だけで3~7日間過ごすプログラムです。断食期間中に一切口にしない水断食は、空腹感が強く、体重の落ち方も大きい一方で基礎体力も落ちてしまいます。断食期間中に酵素ジュースを摂取する「ミネラルファスティング」は空腹感が非常に軽く、基礎体力も維持できるので普段通り働きながら実践できます。基本的には「食べる断食」、「ミネラルファスティング」どちらも余計なものを入れずに、中から体を変えていくので、ダイエット効果だけでなく、コレステロールなどの血液の状態や肝機能などの改善、デトックス効果なども見込めます。

- 一般的には断食というと苦行のようなイメージがあると思います。従業員が働きながら断食を実践し、それを会社で推進しているとは大変ユニークな取り組みですね。

佐藤さん:はい。当社代表は食事に関する全般的な知識を問われる一般社団法人日本健康食育協会のシニアマスターと、断食に関しての専門的な資格である一般社団法人分子整合医学美容食育協会のプロフェッショナルファスティングマイスターという資格を持って、食生活のカウンセラーとしても活動しています。社長自らが講師となりセミナーを開催し、ダイエットウィーク参加者には個別に面談を行い適切な指導、アフターフォローを行っていますので、従業員も安心して参加できています。

- 社長が先頭に立っていらっしゃることは従業員の方にとって心強い後ろ盾となっているのでしょうね。ファスティング中は酵素ジュースとお水だけで過ごせるのですか?

佐藤さん:断食中に塩分が不足しがちになるので、それを補うためのヒマラヤソルトと、筋力を落とさないためのサプリメントもお渡ししています。「食べる断食」も、「ミネラルファスティング」も、どちらのコースの参加費用は会社が一部補助を出すので参加者は少ない自己負担で取り組むことができます。

- 至れり尽くせりですね。参加者は何人くらいいるのでしょうか?

佐藤さん:現時点で延べ20名ほどが参加しています。新規の参加者もいますが、リピーターの方が多いように感じています。

2.体験者の声

- それでは実際に参加した方にお話を伺いたいと思います。ダイエットウィークに参加するにあたり、不安な点はありましたか?

竹本 文子さん(以下、竹本さん):私はダイエット効果を期待して、初めに「ミネラルファスティング」から挑戦しました。「食べる断食」については、お腹から痩せるという話を聞き、『まさか…どういうこと?!』という半信半疑な思いで参加しました。

伊藤 朝実さん(正社員):私は実家暮らしでお米の種類を一人だけ分けることが難しかったので、「ミネラルファスティング」のみ挑戦しました。花粉症がひどく、体質改善を狙っての参加です。ご飯を食べないので仕事中にフラフラしないのかなという思いは少しありました。しかしすでに参加している他の方の体験談があったので、そこまで大きな不安はありませんでした。

伊藤 佳子さん(パート):事前に参加した食育セミナーの内容がストンと入ってきたので、不安はなかったです。自分の健康法にもマッチしていたので、期待しかありませんでした。「食べる断食」に関しては、日頃玄米を食べているので、若玄米や雑穀がどんなものなのかという興味がありました。

- 不安などもある一方で、その効果に期待する気持ちも大きかったということですね。実際にダイエットウィークを体験してみた感想はいかがでしょうか?

竹本さん:「食べる断食」に参加した結果、腹囲が△3.5センチになりました。また、これまでは花粉症で肌がボロボロになっていたのですが肌の不調がなくなりました。私は「ミネラルファスティング」も「食べる断食」も両方体験していますが、比較すると「食べる断食」をしている間の方が肌ツヤはよりよかったように感じます。

- 事前に聞いていた「食べる断食」を実践するとお腹から痩せる、ということが正に検証できたのですね。食生活には何か変化はありましたか?

竹本さん:食育セミナーを受けるまでは玄米などに興味はなく、白米やパンばかり食べていました。また、食生活では流行りの低糖質を意識していたのですが、逆に今はおかずやパン(小麦粉)を減らしてご飯を増やしています。たんぱく質の摂取が減ったことで、体臭が以前より減ったような気がします。

<参考データ 「食べる断食」参加者 結果例>

- 食育セミナーとダイエットウィークを経て、食に対する意識が大きく変わったことが伺えます。伊藤佳子さんはいかがでしょうか?

伊藤 佳子さん:「食べる断食」については特に目的はなく、ただ興味のあった若玄米が食べられる、という程度の気持ちで、正直に言うと特別な効果は期待していませんでした。ご飯は1日2合が目安の量なので、いつも以上に食べることになりました。お味噌汁はおかわりしてよいですし、具をたくさん入れてよいので、豚汁にしたり粕汁にしたりと食事を楽しんでいました。これだけお腹いっぱい食べても最終的には腹囲が△4センチとなり、コレステロール値も下がりました。本当にびっくりしました。お腹いっぱい食べて痩せられて、良いことしかありませんでした。

- 本当にすごいですね。玄米は食物繊維が多いので腸の中を綺麗にしてくれたということですね。甘いものやおやつを食べたいということはなかったですか?

伊藤 佳子さん:なかったですね。とにかくお腹がいっぱいになっているので(笑)。

竹本さん:私は週末に晩酌をするので、ダイエットウィーク中は飲酒が禁止だったことに不安がありました。しかし、主人のお酒を一口試したところ、くらくらっとして体が受け付けなかったので、結果的に禁酒もストレスにはなりませんでした。

- そんな効果もあったのですね。「食べる断食」をしたことによって腸が敏感になったということなのでしょうか。続いて「ミネラルファスティング」についての体験談もお聞かせいただけますか。

伊藤 佳子さん:「ミネラルファスティング」については、デトックスに興味があったので挑戦しました。自分は食べられないのに家族の食事を用意したり、一緒に食べたりできなかったのが少し苦痛ではありました。しかし酵素ジュースを1日6回飲んでいたのでお腹はまったくすきませんでした。

伊藤 朝実さん:私も思っていたより空腹を感じなかったことが印象的でした。酵素ジュースは3食のご飯の代わりと、1日2~3回口さみしいと感じた時に飲んでいました。5日間コースに挑戦して、初日は食べ物ばかりが目について大変でしたが、2日目以降は落ち着いて安定して過ごせました。もともとおやつをよく食べる方だったので、「ミネラルファスティング」をすると頭痛が出る可能性があると聞いていましたが、私は頭痛もなく過ごすことができました。

- 1日目はやはり辛かったですか?

伊藤 朝実さん:その日だけは本当に辛かったですね。テレビや道を歩いていても食べ物や飲食店ばかりが目に入ってきました。母に協力してもらって食べ物を隠してもらったりしました。「ミネラルファスティング」参加者同士のグループLINEがあるのですが、そこで近況報告をしたり励まし合ったりしたおかげでモチベーションが維持できました。

- 周りの協力とSNSの活用が効果的だったのですね。「ミネラルファスティング」では断食の前後に準備期と復食期があるそうですね。その期間はどのように過ごされましたか?

伊藤 朝実さん:普段の食事から安全に断食期間に入れるよう準備期があり、リバウンドしにくい体調にするために復食期があるそうです。準備期はご飯、お味噌汁、納豆で過ごし、復食期は煮た大根から始めました。思ったより量は食べられないなと思いました。そしておかゆから徐々に固形のご飯にうつしていきました。私の場合は特にダイエット目的ではなかったのですが、「ミネラルファスティング」期間中は体重が3~4キロ減りました。

- 気にされていた花粉症や、その後の食生活について変化はありましたか?

伊藤 朝実さん:花粉症は残念ながら完全にはなくなっていませんが、参加する前より軽くなったと感じています。「ミネラルファスティング」後体重は△2キロくらいをキープしていて、内臓脂肪は10%も減ったので驚きました。リバウンドをしないようにご飯を多くしておかずを少なくするという食生活に変わりましたし、玄米も取り入れるようになりました。

<参考データ:「ミネラルファスティング」参加者 体重の推移>

<参考データ:「ミネラルファスティング」参加者 総コレステロールの推移>

-コレステロールなどの変化のグラフをお見せいただいておりますが、これらの数値はどのように測定したのですか?



佐藤さん:ダイエットウィークを開催した当初は、会社側でもその効果の有無を確認するため、参加者に対してダイエットウィーク期間の開始前と終了後に生活習慣病健診を会社の費用負担で受診していただきました。



- 生活習慣病健診を会社の費用負担で実施なさったとは驚きました。参加者にダイエットウィークの前後に健診センターに行ってもらうというのもアイディアですね。



佐藤さん:さすがにダイエットウィークのために、仕事を2回も休んでもらうことは厳しいです。幸い、弊社は郵送検診という事業を展開しています。郵送検診とは、お申込みいただいた方にがんや生活習慣病などの検査のためのキットをご自宅に郵送でお届けし、そのキットを使って、便や尿、血液などの検体を採取して郵送で送り返していただくものです。検査結果も郵便で返ってきますので、自宅にいながら検査ができて結果が分かるというサービスです。(郵送検診の詳しい内容については、コチラ)ダイエットウィークではこの郵送検診の中の生活習慣病を検査するメニューを活用しました。



- 自宅にいながら検査ができるなら、会社側にとっても参加者にとっても負担が少なく、成果が確認できていいですね。



佐藤さん:はい。体重やウェストといった外見上の成果だけでなく、血糖値や中性脂肪、コレステロールなどの数値からも改善の度合いが実際に確認でき、「食べる断食」、「ミネラルファスティング」ともにイベントとして継続していくことになりました。



- ダイエットウィークというイベントを郵送検診というサービスで効果検証する、PDCAサイクルがいい形で回っていますね。

3.今後の展開について

- ダイエットウィークに参加された方皆さんが、数値でも効果が表れていて、確実に変化があることが分かりました。この経験を踏まえて今後どのように取り組まれていきたいかお話しいただけますか?

伊藤 佳子さん:今までやってきた玄米を基本とした食生活は今後も継続していきたいと思っています。「ミネラルファスティング」をすれば確実に3キロ落ちるということが分かったので、着たい服がきつくなったときなど、必要に応じて上手に活用していきたいです。

-周りの方にはどのように伝えていきたいと思われていますか?

伊藤 佳子さん:ダイエットのためにご飯を減らした方がいいかなと悩む友人には、ご飯はクリーンエネルギーだから消えてなくなるけど、たんぱく質やおかずの方が油やお砂糖があってむしろ残りやすいということを教えてあげています。安全で誰にでも勧められる健康法なので、自信をもってこれからもこのダイエットウィークをお薦めしていきます!

竹本さん:私も普段はご飯・玄米をメインとした食事にして、長く継続していきたいです。年に一回くらいのペースで「ミネラルファスティング」もしていきたいと思っています。周りに広めることはなかなか難しいと感じていますが、まずは自分が継続して実体験を伝えていけたらと思っています。

伊藤 朝実さん:皆さんのお話を聞いていて、次は「食べる断食」をぜひやってみたいと思いました。体験談を友人から聞かれることも多いので、社内のみならず広く広めていけたらいいなと思っています。

-早速ここでも口コミ効果が表れているようですね。最後に会社として今後の課題や展開はどのようにお考えでしょうか?

佐藤さん:社内では健康経営推進プロジェクトチームを立ち上げていますので、今後もこの食育セミナー→ダイエットウィークという流れを継続し、定着するようにサポートしていきたいと考えています。すでに活用しているグループLINEなどを用いて参加者同士励まし合い、「食べる断食」と「ミネラルファスティング」を両方実施してリバウンドしない体づくりをみんなでしていけたらよいと考えています。

- まずはこのダイエットウィークの良さを理解して、その内容が響いた方から実践に移し、継続していってくれるといいですね。本日はありがとうございました。

<企業データ>

会社名:株式会社 セルメスタ(Selmesta CO.,LTD.)
事業内容:1.一般用医薬品、救急医薬品セット、介護用品、防災用品、健康食品の販売
     2.郵送検診事業の受託
     3.郵送検診キットの販売
     4.インターネットを利用した各種情報提供サービス及び販売
     5.医療費抑制事業
     6.不動産管理事務の受託
所在地:〒130-8671 東京都墨田区石原4丁目25番12号
資本金:9,900万円
従業員数:約60名

会社名:アスマン株式会社 代表 藤澤市郎
プロフィール:経営コンサルタント/健康管理士/ファスティングマイスター/足利5S学校正会員
政府系金融機関出身。人材育成の視点から企業の3つの健康~1.社員の健康(食事、生活習慣)、2.現場の健康(5S、カイゼン)、3.組織の健康(感謝と改革の風土つくり)~を独自の手法でサポートしている。
所在地:〒103-0027 東京都中央区日本橋3-2-14日本橋KNビル ウィズスクエア内

健康経営を支援する会員制度