【シリーズ:健康×マーケティング ピッチコンペティション2023】⑥学生が聞く!「地域創生」と「働きやすさ」が融合した企業での「働きがい」とは?〔安成工務店〕

「健康×マーケティング ピッチコンペティション2023」(社会的健康戦略研究所主催)のIKIGAI WORKS部門にエントリーしてくれた九州産業大学・脇ゼミの学生たち。ピッチコンペに向けて、山口県下関市に本社を置くIKIGAI企業・安成工務店さんにインタビューを行いました。「職場の環境って、実際はどう?」「働きがいって、どんなときに感じるもの?」など、学生たちのリアルな質問で、IKIGAI企業の実際の職場環境を明らかにしていきました。

〔株式会社安成工務店〕

青柳慎一(総務部 主任)

安永碧生(商業開発部 営業)

〔九州産業大学 脇ゼミ〕

岩本彩花 濱本美樹

〔IKIGAI WORKS〕

熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)

1.「自然と共生する街」を地元に誕生させる

熊倉:彼女たちは、9月8日、「健康×マーケティング ピッチコンペティション2023」に出場します。IKIGAI WORKSが出したコンペの課題は「学生によるIKIGAI企業の採用ブランディング戦略の入口」。各出場チームの学生たちは、どんな企業で働きたいのかを表す「マイモノサシ」をそれぞれ作成して、IKIGAI企業さんにインタビューを行っていきます。その結果をもとにIKIGAI企業のPR方法を企画します。九州産業大学のこのチームは、同大学卒業の先輩たちが多く働いている安成工務店さんにインタビューをしたいと、今回、オンラインにてこのような機会をつくっていただきました。

では、九州産業大学のみなさん、インタビューを始めていきましょう。

岩本さん:はい。どうぞよろしくお願いします。まず、安成工務店さんの事業内容を教えてください。

青柳さん:私たち安成工務店は、住宅と一般建築、そして土地活用の商業開発という3つの事業を行う建設会社です。まず、住宅事業は、「自然とともに生きる」ことをコンセプトに環境共生住宅をフルオーダーで建てています。一般建築事業では、賃貸住宅や医療施設、商業ビルなど住宅以外の中小規模の事業建築物をつくっています。そして商業開発事業は、主に土地開発ですね。土地活用の提案から企画開発、テナント工事やその管理なども行っています。

この3つの事業は、企画から開発、設計、施工、アフターサービスまで、一貫して行う社内体制を築いています。ここが当社の強みとなっています。

濱本さん:企業理念も教えていただけますか。

青柳さん:企業理念は、「お客様・地域・時代のニーズに高いレベルで応えられる社会をつくります。」です。当社の社長の思いは、一貫して「地域創生」にあります。日本では都市部に人が集中して発展していますが、地方がもっと盛り上ってこそ、人の暮らしは豊かになっていきます。そのためにはどうしたらよいのか。まずは、自分たちの地元を盛り上げていくことです。過ごしやすく、豊かで、環境と共生できる魅力的な建物を建て、地元に人を呼び込んでいこう、ということをコンセプトに、私たちは事業を行っています。

濱本さん:「地域創生」。改めて素敵な言葉だなと感じました。実際には、どのような取り組みをされているのですか。

青柳さん:住宅、一般建築、そして商業開発。この3つの事業を統合すると、1つの街ができ上がります。人口の少ない地域であっても、豊かで魅力的な街をつくっていければ、人を呼び込むことができます。この地域の再開発に、昔も今もそして未来も、注力していくことが安成工務店の目標の一つです。

そのために現在行っているのが、PFI(Private-Finance-Initiative)という事業です。国や県や市が建て、運営する公共施設に、民間のノウハウを持ち込んでもっと素晴らしい公共サービスを行っていく事業の手法のこと。当社は、下関市のPFI事業に採択されました。「図書館を建ててください」という市からの課題に、どのような図書館にするかプランを詳細に立て、入札した結果、当社が選ばれたのです。図書館があり、素敵なカフェがあり、医療モールがあって、環境共生住宅が建ち並ぶ。安成工務店のノウハウを存分に活かしたプロジェクトになっています。

濱本さん:私は下関出身です。自分が生まれ育った大好きな地元が、地域創生の舞台となって、自然環境と共生する一つの魅力的な街ができると聞いて、ワクワクした気持ちになりました。次の帰省の際、その新たな街に行ってみたいです。

2.会社の中でサークル活動ですか?

岩本さん:今回、私たちは「自分がやりがいを感じられる仕事とは、どのようなものだろうか」というマイモノサシをつくり、そのモノサシを使って安成工務店さんに質問したいことをいくつか考えてきました。まずお尋ねしたいのは、私は従業員を大切にする会社で働きたいという思いがありますが、安成工務店さんにとって従業員とは、どのような位置づけですか?

青柳さん:そうですね。私は6~7年前に転職してきたので、社歴はそれほど長くないのですが、前職と比較しても、当社の社長は、従業員をとても大事に考えていることがよくわかります。健康経営を熱心に行っているのも、社員の心身の健康を大切に思っている現れです。今年の1月には給与改定もありました。

社長は何より、社内の雰囲気を重視していますね。とくに住宅事業部は、契約からお引渡しまで、お客様に対して1人の社員が担当します。通常は、契約を営業が取ってきたら、設計部門の人間が図面を描き、あとは工事の人にお願いするという分業制になることが多いのですが、当社では、担当者を1人置き、各部門の従業員と互いに連絡を密に取りながら1棟を大切に建てていきます。それには、横のつながりが非常に重要となります。部署間の隔たりをつくらないためにも、歓送迎会、納涼会、忘年会、新年会などの懇親会もよくやります。その際には、上限がありますが、会社から補助が出ます。社員旅行などもあるんですよ。

岩本さん:すごい! 懇親会の補助が出るのは嬉しいですね。福利厚生は充実していますか?

青柳さん:はい。充実していると思います。たとえば、建設業に関する資格であれば、合格すれば全額費用を出してくれる、資格支援制度もあります。

岩本さん:今のお話から、安成工務店さんには、働きやすい環境が整っていることがよくわかりました。私は、演劇部に所属しているのですが、部活で想像力の高い人たちと出会えたことで、多様な考え方に触れ、視野を広げる素晴らしさを知りました。この経験から、「社員どうしでコミュニケーションをとれる場があること」「社員が意見を出しやすい職場環境」をマイモノサシとしています。そこでお聞きしたいのですが、部署間を超えて、社員さんどうしがコミュニケーションを図る場所や機会は、懇親会の他にもありますか? 

青柳さん:あります。たとえば、サークル活動があります。活動には年間で補助が出るのですが、それには社内規定があります。5人以上の部員がいることに加え、なんと別の部署の社員を集めることです。現在、ボルダリングやボーリング、バトミントンなどのサークルが活動していますね。また、建設業ならではの「建物を見に行こう」というサークルもあります。そうやって楽しみながら、他部署間と交流を行っています。

岩本さん:意外な答えが返ってきて、驚きました。野球チームがある会社はよく聞きますが、サークル活動がある会社は初めて知りました。

青柳さん:ここにいる安永君は、バトミントン部だったね? 何人くらい所属しているの?

安永さん: 13人です。部署が違うと、なかなか全員で集まることはできないものの、それでも毎回、半分は参加しています。私はまだ入社間もないのですが、部長を務めています。部長といっても、「集合!」と声をかけるくらいですが(笑)。

濱本さん:楽しそうですね! サークル活動は自分たちで発足するのですか?

青柳さん:はい。人数が集まれば、自分がやりたいサークルを立ち上げられます。その際、活動計画をつくり、最終的に社長の承認をもらえれば、補助金をもらえる仕組みです。私はバイクが好きなので、ツーリング同好会を立ち上げたいと目論んでいるところです。

3.「オンとオフの切り替えができる」をマイモノサシに

濱本さん:私のマイモノサシの1つは、「自分にあった仕事ができる」です。幼い頃からピアノや習字などに熱中してきた経験から「自分のペースでコツコツ取り組むことが好き」という価値観を発見したことが背景にあります。仕事の中で、得意分野を伸ばしたり、自信をつけたりできる機会はありますか。

安永さん:そうですね。私は商業開発部に所属しています。みなさんと同じ九州産業大学の出身で、新卒で安成工務店に就職しました。大学では観光学を学び、安成社長が力を入れている地方創生の勉強もしてきました。大学で学んだことを実際に仕事で活かせることは、自信につながっていると感じています。

また、得意分野といってよいかわかりませんが、私は人と話すのが大好きです。人との会話を通して事業を進めていく営業の仕事は、自分に向いていると考えています。

濱本さん:私も大学で学んだことを活かせる仕事に就きたいと考えています。それを実現されている先輩のお話を聞き、勇気がわきました。

岩本さん:では、長く働き続けるためには何が必要と考えますか。私たちは、長く続けられる会社に就職したいと思っています。

安永さん:学生のみなさんと年齢が近い僕からお答えしますね。第一には、職場の環境だと思います。一言で言えば、先輩や上司との関係性ですね。それには、お互いの人柄が大事になってきます。福利厚生も大切なポイントです。あとはそうですね、青柳さん、補足をお願いします。

青柳さん:おっ、先輩に振ったな!(笑) なんて、こんなことを言いあえる関係性が築ける職場環境は、安永君もいっていましたが、楽しく仕事をしていくうえで大切ですよね。

あとは、私が転職の際に重視した点は、労働環境です。とくに大事なのは、自分の時間を持てるかどうか。昔は、残業するのが当たり前とみんなが捉えていた時代がありました。ですが、今は違います。オンとオフの切り替えができる職場のほうが、仕事の意欲を高められますし、ダラダラせずにすみます。遊ぶ、やりたいことをやる、というオフの時間があるから、仕事をがんばろう! と思える。これが仕事を長く続ける秘訣だと感じています。

濱本さん:ありがとうございます。「オンとオフの切り替えができる環境」ですね。就活の際、企業さんを測るマイモノサシがもう一つ増えました。最後の質問をさせてください。大変だからこそ、やりがいを感じられる瞬間はありますか?

安永さん:今、これから新しく店舗を出すお客様を担当していて、まもなくオープンを向かえます。入社したばかりで、ゼロ知識からのスタートで日々大変ですが、お店がオープンした暁には「がんばってよかった」とやりがいを感じられるのだろうと今からワクワクしています。

また、過去を振り返れば、私は幼稚園の頃からずっとサッカーに熱中し、継続力を身に着けてきました。今、アクセル全開で仕事をがんばれているのは、その経験があったからとも感じています。また、サッカーはチームワークが大事ですが、これは仕事でも同じです。そんなサッカーで培った経験を、今度は仕事で発揮していきたい。こんなところからも、やりがいは生まれてくると感じています。

青柳さん:総務部の私の仕事は、バックオフィスから従業員をサポートしていくことです。従業員がストレスなく働き続けられる環境を整え、それに対して「ありがとう」といってもらえることがやりがいの一つになっています。

また、総務部は社長や役員と同じフロアにあるため、よくも悪くもレスポンスが早い。40歳になっても、仕事で注意されることはあるんですよ。ただ、それを恐れてチャレンジしなくなっては、仕事がおもしろくなくなります。ダメなときには「ダメ」といわれます。仕事ですから、これは当然のこと。でも、それは1回きりです。学生のみなさんには、恐れず、萎縮せず、やってみたい、面白そうと感じることにチャレンジしていってほしいなと願っています。このチャレンジ精神も、働きがいの源になるはずです。

濱本さん:今回、初めて企業インタビューの機会を頂戴し、とても緊張したのですが、仕事への思いを直接お聞きでき、社会に出ていくことに希望を持てました。ありがとうございました。

岩本さん:今日は、職場の環境や雰囲気、そして仕事のやりがいなど、ホワイト企業で実際に働かれているお二人に話を聞け、私もこんなふうに楽しく意欲を持って仕事をしたいと実感できました。コンペでもこの思いをしっかり伝えられるようがんばります。

【取材後記】

最初は表情も硬く、言葉がなかなか出てこない様子の学生たち。しかし、安成工務店のお二人が、彼女たちの質問に丁寧かつなごやかに答えてくれたことで、だんだんと表情がほぐれ、笑顔あふれるインタビューとなりました。学生時に、社会人の先輩から「仕事とは」「働きがいとは」という生の声を、自分たちの質問から引き出せた経験は、就活でも、就職してからもきっと役立つことでしょう。そして、「有名か無名か」あるいは「大手か中小企業か」という二元的な狭い枠組みではなく、今回のインタビューで手に入れた「働きやすさ」「働きがいを実感できる仕事」という新たなマイモノサシを大事な軸として、就活に向かっていってほしいと願っています。

〈企業データ〉

会社名:株式会社安成工務店

事業内容:建設業

所在地:〒751⁻0865 山口県下関市綾羅木新町3丁目7-1

URL: https://www.yasunari-komuten.com/

資本金:7,200万円

従業員数:184人(2023年6月時点)

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