企業としての差別化を図るために“健康経営”が必要となる

企業としての差別化を図るために“健康経営”が必要となる

尾畑長硝子は100年を超える歴史を持つ老舗企業。長い歴史を持ちながら、日々企業としての質を高めるための施策を行っており、現在その中核を担っているのが『健康経営』でした。革新的な健康経営に取り組み、社外からの評価も高い尾畑長硝子の健康経営はどういったものなのか。その中身を覗いてみましょう。

1.ふと気になった「健康経営」 協会けんぽからの表彰もきっかけに

--尾畑長硝子の概要を教えて頂けますか?

尾畑さん:弊社は大正10年創業、おかげさまで100周年を迎えました。現在は愛知・岐阜・三重の東海3県で活動しています。街のガラス屋さんやサッシ屋さんに卸す仕事がメインで、工務店や建築会社の施工も引き受けるようになりました。この仕事は30年くらい前のバブル時代にどっと増えました。

--営業の方は『商品』と『施工の知識』がないと厳しそうですね。

尾畑さん:そうですね、現場の知識(施工)もないと厳しくなってきています。どうやって商品が納まるのか、どのような流れでモノがたどり着くのかを色々と見て、自分自身の経験値を上げるように取り組んでもらっています。やる方は難しいと思いますが。

--では、「健康経営優良法人」の取得を志したきっかけは何だったのでしょうか?

尾畑さん:Facebookで同業者の社長さんが認定を取得された、というのを知ったのがきっかけです。ふと気になって調べてみると、経産省が認定しており「色々な意味でアピールになりそう。採用でも有利になるのではないか。」と考えました。また、ほぼ同タイミングで協会けんぽ愛知支部から「健康宣言優良事象所表彰(銀賞)」を受賞したのも動機に繋がりました。こちらは総務が積極的に動いて取得したもので、その後は活動を全社に広げて金賞を受賞することもできました。

2.独立した立場の“産業看護師”を導入 さまざまな仕事ができる人材をピックアップ

--尾畑長硝子さんの特徴的な取り組みを教えて頂けますでしょうか?

林さん:まず、『健康診断が受けっぱなし』になってしまうという問題があり、そこに私が産業看護師として入って面談を始めました。私は看護師で、保健師ではないので”保健指導”はできません。しかし、逆に寄り添える、身近に相談できるような”存在”としていられるのはメリットかなと思っています。また、医療機関で働いていた経験をもとに、お医者さんに行くタイミングを適切にアドバイスできているかなと思います。

--”寄り添う”というのがいいですね。

尾畑さん:昨年までは、お医者さんに行ったか行っていないかまでの確認止まりでしたので、その点では健康管理レベルが上がったと思っています。”産業看護師”を導入するにあたり、独立した立場で動いてもらいたいという思いがありました。面談も総務との絡みなしで、ひとりで調整しながらやってもらうことによって、言いたいことが言える立場でいられる形を取りました。現在は産業看護師とその他の業務(WEB系も得意)を、時期によって色々と行っていただいています。1年を通して言えば、ちょうど半々くらいの割合ですね。産業看護師としてだけでは会社としてはやはりなかなか採用しづらいので、色々なスキルを持っている素晴らしい人材だからこそ採用ができました。

--素晴らしいですね。

尾畑さん:ただ、社員の”意識”はまだまだかなと思っています。まだまだ本質を理解している人は少ないかなと。たとえば営業であれば、やっぱり目の前の数字が一番大切になってしまいます。そこにどうやって”健康”をねじ込んでいくかが重要だと考えています。健康経営のレベルは一気に上がってしまったので、従業員がまだ追いついてきていないですね。

3.企業としての”差別化”を図るのは人 『健康経営』=『経営戦略』

--従業員が疑問を持っていても、それでも進めたいと思う理由は何でしょうか?

尾畑さん:仕事をする上で最も大切なのは、商品の善し悪しではないと思っています。弊社が最後に売り込みたいのは“人”で、「この人から買いたい!」と思ってもらうことを目標にしています。正直、今の時代”商品の差別化”は難しく、差別化するならば人で差別化を図るのが重要だと思っています。買う側もどうせなら「健康な人」や「元気な人」から買いたいですよね。こうして商売をする上で大前提となるのが”健康”だと思っています。

--尾畑さんからすれば、『健康経営』=『経営戦略』ということですよね。

尾畑さん:そうです。差別化するべきは”人”だと思っています。それに尽きますね。

--素晴らしいお考えですね。では、社内外での変化はありましたか?

尾畑さん:産業看護師を導入しましたが、一気に変化が現れることはもちろんなく。”健康経営”の理解を得るのは難しいなと感じています。やはり現場は短期目線、経営者側は長期目線で物事を考えますので、そのギャップはまだ埋められていません。ただ、最終的に「健康って大事なものなんだ」と従業員が気づくまで”発信”を続けていきたいなと思っています。意識はすぐにでも変えられるものだと思うので、寝ても覚めても「健康」と考えてもらうのが目標ですね(笑)

--本当にそうですよね。

尾畑さん:社外としては、物珍しさもあるのか「すごいね」と言ってもらうことが多いですね。世間の流れにアンテナを張っている人たちから特に良い反応をいただいています。また、愛知県や名古屋市からも連絡が入るようになり、少しずつ弊社の取り組みが認知されつつあると感じています。

理想の状態は、会社のやりたいこと=個人のやりたいこと それが一番強い

--今後どのようなところに力を入れていきたいですか?

尾畑さん:2017年に私が社長を引き継いでから「利益最優先、売上最重要」と定義付けをしました。ただ、どうしても利益を取りに行くと「健康」には目がいかなくなってしまいます。私は利益=価値だと思っていて、その価値は差別化できた分で決まり、差別化するためには”人”が重要と考えています。本人達が「自分なら差別化できる」と考えられるまで、続けていきたいですね。

--では、営業の方々をマーケティング的にどう巻き込んでいくかがポイントになりそうですね。

尾畑さん:はい、人が一人で出来ることはたかが知れていると思っていて、個人で得意不得意がありますよね。たとえば私のように健康経営を推進するのが得意な人、林のように看護師の技術を持っているもの、そして売るのが得意な営業の方たち。つまり、役割分担をして、私や林が”人”の価値を高める環境を作り、営業の方たちにその高まった”価値”を上手くお客様に提供してもらう。そういう流れを作っていきたいなと思っています。そうなれば必然と健康経営が「利益・売上」に繋がっていくと思います。

--営業の戦略と組織デザインが上手く統合されて、”健康経営”のベースになっていますよね。

尾畑さん:そうですね。企業としてさらに上にいくためにそれぞれの得意分野を生かして、やりがいや生きがいに繋げていきたいです。そういった状況であれば楽しく、素敵だなと思いますね。会社のやりたいこと=個人のやりたいこととなった時が一番強いと思うんです。この業界の中で自分がやりたいことを、やってもらえるような環境を目指しています。そうなれば精神的に健康、付加価値をあげてお客様から対価をいただいて社会的に健康、そして身体が健康であれば完璧ですよね。

--本当にそうだと思います。素晴らしいです。

<インタビュー後記>

尾畑長硝子の経営戦略のベースは”人の価値を高める”ということ。「商品で差別化を図るのが難しい今の時代、人で差別化を図るのが企業の利益に通じる」というのは、どのような企業でも当てはまる考え方ではないでしょうか。今回はしっかりとしたビジョンで経営戦略と健康経営が繋がっている尾畑長硝子の取り組みを肌で感じ、改めて健康経営のあり方を考えさせられました。

 

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