コロナ禍でも増収を記録したトップランナーの健康経営とは
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コロナ禍でも増収を記録したトップランナーの健康経営とは
日本の健康経営のトップランナーといえる、株式会社キタセツ。オリジナティあふれるユニークな取組みは、以前から健康経営界の注目の的でした。今回初のインタビューですが、主にコロナ時の影響や取り組みについてお伺いしました。コロナ禍でも「さすがキタセツさん!」と思わず言ってしまう取り組みは必見です!
1.社員のことを考えたコロナ対策を実施 「キタセツランチ」は健在!
樋口さん:本日はどうぞよろしくお願いいたします。ではまず、コロナの影響はありましたか?
北川さん:よろしくお願いします。そうですね、最初は「どう対処したらいいかわからない」といった状態で、まずは営業をやめるかどうかが問題になりました。弊社は住宅リフォームに特化した会社ですので、コロナでお客様の困りごとが無くなる訳ではありません。一方で社員の健康のことを考えると非常に悩む選択でしたが、やはりお客様のことを考えて営業することに致しました。そうと決めたら、対策をしっかりと練らなければなりません。まずは公共交通機関を使用禁止にし、会社の車(工事車両、営業車両)で通勤をお願いしました。それでも通勤ができない社員は、IT環境を用意してテレワークを実施しました。
樋口さん:どういった業務がテレワークに移行できましたか?
北川さん:電話受付がある業務は交代で出勤とテレワークを実施しました。一方で営業、工事チームは、原則テレワーク+現場作業(直行直帰)で対応してもらいました。しかし、弊社のお客様は近所の方が多く、仕事の環境も会社のほうが整っているため、オフィスを利用する社員は多かったですね。そのためマスクを大量購入して、消毒液も各フロアに設置しました。外回りをする営業や工事チームには携帯用消毒液を持たせ、お客様の元へ訪問するときの消毒を徹底してもらいました。
樋口さん:キタセツさんといえば社長が作る「キタセツランチ」だと思いますが、さすがに一時中止されましたよね……。
北川さん:みんなで食べるのは”密”になってしまうため配膳する形に変更しましたが、ずっと作っていました!私以外に社員が一人出社の場合でも、作っていましたよ。
樋口さん:それはすごいですね!
2.コロナ禍でも増収 その理由は「社員を大事にする」企業風土
樋口さん:お客様からのご依頼はいかがでしたか?
北川さん:大型リフォームの依頼は若干減少しましたが、緊急性のあるものや困りごとの依頼は変わらずに頂けました。また、コロナ前から受注していた大型リフォームのお客様とは、「Zoom」を使ってのオンライン打ち合わせに変更しました。実はコロナ禍でも「増収減益」で、6月期の売上は過去最高を記録しています。ですので、コロナの影響はほとんどなかったですね。その理由を考えてみると、やはり社員を大切にしてきたからかなと思います。コロナによって改めて「企業は”人”だな」と感じました。これはいくら時代が進んでも変わらないのでは、と思います。
中家さん:社長の”人間力”と言いますか、”生きる力”が経営にしっかりと表れているなと感じます。従業員が自ずと「社長のために」と考えて仕事にあたり、結果それがお客様へのサービスに繋がっているような気がします。
北川さん:以前は私も「お客様を第一に仕事をしよう」と言っていたのですが、いろいろな学会に参加するうちに「まずは社員を大事にすべき」と気付きました。社員は私の代わりに仕事をしてくれているわけで、結果的に「お客様との関係に表れる」ということを教えられたんです。その取り組みの一つとして、「セールスパフォーマー」というシステムを導入しました。このシステムは、契約を取ったら全従業員にアナウンスされるようになっています。そして、営業からのコメントや私の返答も入ります。このやり取りには私の思いを色々と入れ込んでいますね。成績を残した人をみなさんの前で評価して、モチベーションが上がっていくのがこのシステムの良さです。成績が悪い人を指摘する必要はまったくありません。
また、数字に表れにくい工事や内勤・お客様対応の従業員に対しても、できるだけ認めるように心がけています。コメントを入れるときは営業だけを見ている訳でなく、システムの問い合わせから契約までの対応履歴や工事履歴をチェックして、関わったひとりひとりの努力を見るようにしています。
3.営業に行った社員も昼には帰ってくる 予想外の好影響が多い”名物”「キタセツランチ」
樋口さん:鈴木さん、従業員の立場から「会社に大切にされている」という実感はありますか?
鈴木さん:この会社は、本当に「人柄が良い人が揃っている会社だな」と感じていて、それが働きやすさに繋がっていると思います。お客様にはもちろん、取引先の方への人当たりがいいんです。WELCOMEな雰囲気といいますか。仕事環境も各フロアに対しての室温配慮や空気清浄器の設置、キタセツランチ、とことん安心安全にこだわった浄水器などの飲み物もすべて無償提供してくれるなど、福利厚生が整っていることで安心して働ける環境を提供して頂けているという実感があります。
北川さん:社員の中には「ランチのおかげで肌が良くなった、アトピーが治った。」という方もいますよ。
鈴木さん:野菜が多いので「安心感」がありますね。長期休みに入ると「野菜少ないけど大丈夫かな。」と思ってしまうほどです。
北川さん:「早くキタセツランチが食べたい!」と言ってくれる社員もいます。ランチが気分転換にもなるので、仕事の効率にも影響があるのではないでしょうか。
中家さん:従業員同士で「午前にこんなことがあったんだ。」「それならこうしたら?」など、コミュニケーションの場にもなりますよね。素晴らしいですね。
北川さん:営業に行った社員もほとんどランチは帰ってきますよ(笑)。そのおかげでミーティングの時間も余分に取る必要がありません。また、男性社員の奥様からは「後片付けが上手になった」と感謝の電話をいただいたこともあります(笑)。最初は「ただ良いものを食べてもらいたい!」と思って始めたのですが、始めたら「こんな影響があった。こんないいこともあった。」と、予想していなかった効果がいろいろとありました。
4.良い意味でさまざまなことの”きっかけ”となったコロナ
樋口さん:健康経営のポジティブな影響の裏で、ネガティブなことはありましたか?
北川さん:なくはないですが、少ないですね。ランチに関しても「食べる人がいなくなったらやめよう。」と思っていましたが、逆に人気があるので続けられています。キタセツランチは約6年間休まずに続けているのですが、たとえば私がいないときには常務が代わりにやってくれます。また、ランチ作りが始まる10:30~13:00までは仕事を入れないようにもしています。それだけ「ランチ時間」は私にとって、キタセツの経営にとって重要だと考えています。
樋口さん:コロナ渦の2020年自粛期間の際、北川社長のメッセージをHPなどで拝見いたしましたが、それを聞いた時はどう感じましたか?
鈴木さん:決していち早く対策を始めたというわけではないですが、相談してからのスピード感はやはりさすがでした。こちらの提案をどんどんと取り入れていただきました。お客様からも「HPをじっくり拝見して、安心してお任せできるなと思いました。」という声もあったりと。今まではニュースレターやイベントだけで繋がっていたお客様が、HPを見て「家をリフォームする際に色々な会社の方に来てもらうよりもキタセツさんでお願いしたい。」とご指名をいただくようになりました。
樋口さん:”お客様視点”の取り組みがしっかりと伝わっているんですね。では最後に、コロナによってどういった考えをお持ちになりましたか?
北川さん:今回は立ち止まっていろいろなことを考えられた時期で、良いきっかけになりました。コロナがなければZoomでの打ち合わせ等も考えられなかったです。弊社としては仕事のやり方が大きく変えられたきっかけになったと思います。
<インタビュー後記>
徹底して社員のことを考えた健康経営を実施している株式会社キタセツ。その取組みはコロナ禍によってさらに加速し、次のレベルへと進化しています。社員のことを考えるからこそ、それが業務、ひいては経営に繋がっていく。コロナ禍でも増収という事実から、そんな健康経営の“真髄”を見ることができました。これからもトップランナーの一挙手一投足から目が離せません。
<企業データ>
会社名:株式会社キタセツ
事業内容:お客様に感動をご提供する住宅リフォーム
本社所在地:東京都大田区東馬込2-12-1
従業員数:35名(2020年6月現在)