【フェスレポート】スペシャルステージ2『おうちで体を動かそう!「大人の体力測定」』

【フェスレポート】スペシャルステージ2『おうちで体を動かそう!「大人の体力測定」』

第一回『働き方・生き方フェス』(2020年9月15日開催)のスペシャルステージ2として開かれたのが、『おうちで体を動かそう!「大人の体力測定」』。田中喜代次氏(筑波大学名誉教授/株式会社THF代表)の講演に続き、浦上美代子氏(抗加齢医学会認定指導士/臨床検査技師)による、体力づくりのレクチャーと体力測定が行われました。コロナ禍の中、自宅やオフィスでも簡単にできる、まさにタイムリーでこれからの時代に役立つ有益な企画となりました。

1.健幸華齢のために運動を

田中喜代次教授による講演のテーマは、『元気長寿で健幸華齢に向けた体力低下防止の重要性』。

健幸華齢とは、健やかに、幸せに、華やかに年を積み重ねるということ。そのためには、体力の低下を防止することが極めて重要になると田中教授は言います。

そして、体力の変化が寿命や病気にどう影響するかという研究結果を紹介。例えば、アメリカの事例では、60歳の人が体力の低いまま運動をせずに放っておくと、12年後の72歳になった時の生存率は76%。一方、体力づくりに努めた人の生存率はなんと93%に跳ね上がるとのこと。

日本人のデータでも、低体力の人たちのグループでのガンの死亡率を1とすると、やや高体力と高体力の人のグループの死亡率は、約0.4まで下がるという調査結果が出ており、体力の高さと寿命が結びついていることが証明されていると言います。

「健康な人だけでなく、ガンや心筋梗塞、高血圧など多くの病気を抱えながらも、健幸華齢を実現している人も少なくありません。最近は医療が発達していて、一病息災、多病息災という言葉の通り、病気があっても努力次第で長生きできる時代になっています」と田中教授。

そこで大事なのが、やはり運動。運動は、食事、睡眠、便秘の改善にも繋がりますし、仕事や生きることへの意欲を高め、メンタルにもよい影響を与えるとのこと。運動する人は、仕事や生きることへの意欲が高いこともわかっていると言います。

2.人生百年時代をより良く生きる

田中教授は日本の未来について次のように話します。

「前回の東京オリンピックの前年である1963年には、百歳老人が153人しかいませんでした。それが1981年には1千人、1998年には1万人となり、現在7万人が百歳を超えています。さらに、将来的には60万人に膨れ上がるだろうというふうに言われています」

ですが、その一方、3人に2人がガン、脳卒中、心臓病を患う時代。後期高齢者5人のうち1人が認知症にもなっています。ここに高血圧、高脂血症、糖尿病なども加わり、10人に9人が病気になる時代でもあると指摘。

「ですから、長生きするということは、病気も一緒についてくるという覚悟を持たないといけない。コロナもあります。つまりこれからの時代は、病気やコロナとともに賢く生きる、老いるということが求められています」

老化に関しては、二つの事実があると言います。一つ目は、誰でも老化するということ。二つ目は、老化の速度は人それぞれで個人差が大きいということ。つまり、そのまま老化の坂道を下っていく人と、老化にブレーキをかける人がいるということであり、本人の心がけや生活習慣でその道が分かれると言います。

特に大事なのが、食習慣、運動、社会への参加(人との交流)であり、それが健康寿命を伸ばすための三本柱になるとのこと。

「健幸華齢とは、英語ではサクセスフルエイジングと言われるものです。家族、友人、職場の仲間といった人達を誘い、地域の健康関連事業なども大いに活用しながら、健幸華齢を実現してください」と田中教授はメッセージを送ります。

3.『大人の体力測定』の実践

田中教授の講演の後は、浦上美代子氏(ケアプロ株式会社 予防医療事業部/抗加齢医学会認定指導士/臨床検査技師)による『大人の体力測定の実践』。今回は、オフィスや自宅でも簡単にでき、主に柔軟性とバランス体力を整えるものに絞って4種類の運動と体力測定が実施されました。

例えば、タオルを使った柔軟体操は、パソコンに向かって仕事をしている時、スマホを使っている時に起きる猫背やスマホ首(ストレートネック)、筋肉の強張りといったことの解消にも役立つもの。

「体が硬くなると、血管の中の血がスムーズに流れていかなくなります。それが脳に酸素や栄養が行きにくくなったり、体内の循環が悪くなり、老廃物の排出が滞る原因にもなりますので、普段からしっかりストレッチを行ってください」と浦上氏は言います。

ハンカチやティッシュを肩の位置から落とし、それを片足で屈んで拾い上げることで転倒事故を予防する力も養える『ハンカチ落とし』。上肢の柔軟性の改善に効果のある『バックスクラッチ』、『椅子を使った運動』など、どこでも簡単にできるストレッチや運動を紹介。

そして、それぞれの運動の後、測定結果をスマホで入力。結果はすぐに集計され、自分が実年齢と比べどのくらい若いのか、運動不足かどうかを確認することができました。

「結果が悪かった方もいるでしょうが、運動習慣のない方が急に運動しろと言われても難しいかもしれません。そういう方は、まずはストレッチで普段使わない筋肉を動かすことを目指してください。そして、日常生活の中で体を動かすことも大事。例えば、通勤で一駅分、歩いてみる。家事などで積極的に体を動かしてみるといったことも有効です。何歳になっても柔軟性や体力は改善できますので、毎日のトレーニングを欠かさずに行ってください」と浦上氏はアドバイスを送ります。

 

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