【IKIGAI企業交流会③】大学生がIKIGAI 企業をPR。健康経営を会社発展のツールに進化させる。

2024年3月6日に開かれたIKIGAI企業交流会のその3。健康経営に力を入れ、人が幸せになる会社経営をされてきたIKIGAI企業の皆さんが、現在、感じている健康経営の成果、そしてその成果をいかに経営そのものに活かしていくかというテーマでじっくりと話し合いました。

〔進行〕

熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役 )

〔参加者〕

西尾 和樹(ウェルネスワーク株式会社 社会保険労務士 健康経営エキスパートアドバイザー)

新谷 幸一(株式会社SANYO-CYP 製版課サブリーダー)

岩井幸子(株式会社三恵シーアンドシー 管理部)

菊地 公信(NSK株式会社 執行役員 本部長)

坂本 武治(NSK株式会社 総務部 人事課)

1.ブライト500認定のキーとなる情報発信

熊倉:本日お集まりの皆さんは、メディアサイト『健康経営の広場』に過去、何度もご登場いただいています。ウェルネスワークの西尾さんは、青森県八戸市で社会保険労務士をされ、健康経営認定のためのコンサルティングもなされています。今年のブライト500の認定はいかがでしたか?

西尾(ウェルネスワーク):残念ながら今年は認定を受けられませんでした。行っている施策などはこれまでと一緒だったのですが、メディアなどへの露出が少なかったことが原因かもしれません。

熊倉:西尾さんは、働きながら健康になる職場づくりに尽力されていることを知っていますので、それは意外です。他の企業さんのお話を聞いても、施策がしっかりしていても情報発信が弱いと認定が受けられないケースが見受けられますし、今年も入れ替えが多そうです。

健康経営の取り組みを自社のホームページやSNS、講演会やメディアの取材を受けるなどして発信していくことがさらに重要になってきているようですね。SANYO-CYPさんは、ブライト500の認定はどうでしたか?

新谷(SANYO-CYP):当社はお陰様で認定を受けることができました。やっていることはあまり変わらないのですが、一歩踏み込んで取り組むようになりました。例えば、健康診断の数値改善にしても、今までは全体的にみていましたが、血圧なら血圧といったふうに重点課題を絞って対策してきたところも評価されたのかなと感じています。

熊倉:外部への情報発信などはどうでしたか?

新谷(SANYO-CYP):社長の山村が企業や厚生労働さんなどから依頼を受け、講演を多くさせていただいていますので、一昨年くらいから順調に外部への発信も増えていると思います。IKIGAI WORKSさんの産学連携プログラムの一環で関西大学の学生の皆さんにインタビューを受けたことなども随時ホームページで紹介しています。

熊倉:それはありがとうございます。NSKさんはどうですか?

坂本(NSK):お陰様で認定をいただけました。私たちもSANYO-CYPさんと同じく、項目的に増やしたというより、これまでやってきたことをもっと深めていくことを意識して取り組みました。例えば、健康診断の再検査でも、以前でしたら「できるだけ受けてもらいたい」という感じでしたが、「必ず全員に再検査してもらう」というスタンスに変わってきています。

特定保健指導にしても健保組合と連携しながら、40歳になる前の30代でもこのままいくと危ないと思われる人に対してはアプローチするなど、一つ一つを深掘りする取り組みが認定に繋がったのかと思っています。

熊倉:情報発信についてはいかがですか?

坂本(NSK):そこが毎年の悩みの種です。それでもブライト500認定を受けてからは、取材依頼が増えてきました。記事になるとそこからさらに情報が広がり、ブライト500認定にも良い影響が出るという循環が生まれ始めています。

熊倉:三恵シーアンドシーさんは、愛知県でずっと健康経営に取り組まれています。今年のブライト500認定はいかがでしたか?

岩井(三恵シーアンドシー):当社もお陰様でブライト500の認定を受けることができました。健康診断の再受診のフォロー、カゴメのベジチェックを使った『野菜をとろう』などの活動がアピールポイントになったのではないかと思います。

当社は、中小企業なので人員も限られています。再受診フォローもしっかりやって病気を早期発見し、マンパワーを落とさないようにすることが重要です。ですから、これからも経営陣自ら様々なイベントに参加し、楽しみながら取り組んでいけたらと考えています。

2.健康経営は新たな道を切り拓くツール

熊倉:こうして皆さんのお話を聞いていますと、健康経営に取り組み、健康管理や従業員の働きやすい環境づくりを整備されていますね。そんな状況の中でも、何か課題は残されていますか? 例えば、ワークエンゲージメントや働きがいをいかに高めていくか。健康経営の成果をどう採用などに繋げていけばいいかといったことはありますか?

新谷(SANYO-CYP):そうですね。健康経営に取り組むようになってから、会社の意図を理解した上で、自分から運動などに取り組む社員が増えました。それはとても嬉しいのですが、どうしても残りの1割、2割は健康診断の結果が悪くても改善しようとしません。いかにして、そういう人をゼロにするかが今の課題です。

熊倉:SANYO-CYPさんは社長の山村さんが陣頭指揮をとってくれるので、健康経営の担当者の新谷さんにとっても心強いですね。

新谷(SANYO-CYP):そうですね。経営者が旗を振ってくれるので助かりますし、社長が社員のことを本当に大切に考えてくれていることがみんなにヒシヒシと伝わっています。

熊倉:そういうふうに社長と社員が信頼関係で結ばれていると、社員のエンゲージメントも自然と高まっていきますよね。採用についてはいかがですか?

新谷(SANYO-CYP):はい。面接の際などに「健康経営に取り組んでいる」と説明するととても興味を持ってもらえます。安心材料になり、内定を出した方から辞退されることもなくなりました。そういった意味でも、健康経営は当社の大きな武器になっています。

菊地(NSK):そうですよね。特に新卒の皆さんは強い関心を示してくれます。ただ、当社の場合、中途採用の皆さんの反応はそれほどでもなく、その層にどうアピールしていくかが今後の課題です。

熊倉:なるほど。どうやって求職者にアピールするか。例えば、学生さんなどの若い世代は「健康経営」という言葉自体あまり知りませんので、SDGsやダイバーシティなどの言葉や文脈にすると、さらに大勢の人に伝わりやすくなるという気もしています。

菊地(NSK):なるほど。SDGsなどは学校でも教えているみたいなので、確かに響きそうですね。

岩井(三恵シーアンドシー):実は今年の1月、愛知県のローカル番組なのですが、「知多半島のSDGs」というテーマで弊社のSDGsに絡めた健康経営を取り上げてもらいました。

熊倉:おお、それはすごい! そうなると健康経営に関心を持つ人以外へのアピールにもなると思いますが、いかがでしたか?

岩井(三恵シーアンドシー):はい。市役所からも反応がありました。また、協会けんぽさんから愛知大学へのご紹介があって『ホワイト企業探訪記』ということで学生の皆さんが当社にインタビューに来られました。健康経営が起点となり、様々なところに道が開かれていくことを実感しています。

3.学生がIKIGAI企業の魅力を発信する

熊倉:ここでIKIGAI WORKSの今後の活動についても少しお話しさせてください。私たちIKIGAI WORKSでは、健康経営に取り組むなどして人が幸せになる企業のことをIKIGAI 企業と呼んでいます。今日、お集まりいただいたみなさんも、もちろんIKIGAI企業です。

「IKIGAI企業のことをもっと知ってもらいたい」「IKIGAIに生きる働き方、IKIGAIを活かした経営を、世界に誇る日本の文化として定着させたい」という想いからホームページを開設しました。https://ikigai-works.co.jp/ 

ここに各企業のPRページを設けるなどしてIKIGAI企業の情報発信基地にします。

さらにIKIGAIフェスなどのイベント(エシカルエキスポ)https://kenkoukeiei-media.com/articles/repo-5ive や産学連携の学びのプログラム『社会的健康マーケティングピッチコンペ』https://kenkoukeiei-media.com/articles/pitch-competition1 にも参画していきます。

なぜそうするのかと言えば、皆さんをはじめとしたIKIGAI企業が人を大切にする経営をされ、素晴らしい成果をあげられているのに、それが他の人たちにあまり知られていないから。そんな状況を改善し、IKIGAI企業の魅力を広く発信したいからです。

ここで重要な役割を果たすのが学生や20代のインフルエンサーです。彼らならではの視点でIKIGAI企業の魅力や課題を見つけ、一緒に発信したり、解決に繋げていきます。これらについて何かご意見等ありますか?

新谷(SANYO-CYP):そうですね。学生さんや若い世代が参加するイベントなら、彼らの目線が大事。そういう意味で遊びというか、あまり堅苦しくなく、気楽に参加できるような感覚のイベントになるといいですね。

熊倉:そうですね。SANYO-CYPさんへ関大の学生さんがインタビューに伺った際も、就活っぽい雰囲気は排除し、いつもの私服で来てもらいました。同じように堅苦しくなく、楽しい感じのフェスにしたいと思います。

坂本(NSK):確かに学生さんの本音を知りたいですね。私は採用を担当しているので面接の場などで学生さんと接する機会があります。そういう固いシチュエーションではなく、お祭りみたいな雰囲気の中で学生や若い世代が純粋にどんなことを考えているのか、どんなことを企業に求めているのかを聞いてみたいです。

熊倉:ありがとうございます。ぜひそんなイベントにしていきたいと思います。では、最後に今回の交流会の感想をお願いします。

岩井(三恵シーアンドシー):今回、様々な取り組みをされている会社さんのご意見をお聞きでき、とても楽しかったです。

西尾(ウェルネスワーク):そうですね。オンラインだけでなく、IKIGAIフェスなどリアルな場で皆さんとお話できる機会を作っていただけると嬉しいです。

新谷(SANYO-CYP):健康経営やブライト500認定など同じ目標を持ち、社員を大切にしている企業さんのお話を聞かせてもらうとやはり刺激になりますし、弊社として足りない部分に気づかされもします。ありがとうございました。

坂本(NSK):こうして同じ目標に向かって取り組んでいる企業さんと交流する機会があるととても刺激になりますし、モチベーションも高まります。今後ともよろしくお願いします。

菊地(NSK):各社の取り組みについて細かい部分まではあまりお聞きできませんでした。また改めてもっと踏み込んだお話ができたらいいと思っています。

熊倉:本当にそうですよね。菊池さんがおっしゃるようにまだまだ話し足りません。また別の機会を必ず設けさせていただきます。本日はありがとうございました。

【取材後記】

3回に分けて開かれたIKIGAI企業交流会。最終回である今回も、健康経営の進行状況や残された課題などについて貴重な意見が交わされました。同じ目標、同じ志を持つ企業同士の交流ということでまだまだ話し足りないようでした。そんな中、いよいよ本格的に動き出したのがIKIGAI企業の皆さんを強力にバックアップするIKIGAI WORKSホームページやIKIGAIフェス、産学連携の教育プログラム。これらをツールとして活用することで、IKIGAI企業の存在や魅力を全国的に浸透させ、各企業の発展の後押しをしていきます。

<企業データ>

会社名:ウェルネスワーク株式会社

事業内容:経営の診断または経営に関する助言・指導・コンサルティング/企業・職場における労務管理・人事管理

所在地:〒031-0823 青森県八戸市湊高台5-25-18

社員数:2名

 

会社名:株式会社SANYO-CYP

事業内容:印刷に関わる企画・デザイン・データ加工・試作・印刷・加工・サポート/WEB、VR/ARなどデジタルデータの企画・制作・販売/一般写真および商業写真・動画撮影

所在地:〒540-0014 大阪府大阪市中央区龍造寺町8番15号

資本金:5,000万円

社員数:113名

 

会社名:株式会社三恵シーアンドシー

事業内容:治具・専用機メーカー(加工用治具の設計製作/検査・切削・組立等専用機の設計製作)

所在地:〒474-0011 愛知県大府市横根町茨狭間7-87

資本金:8,000万円

社員数:95名

 

会社名: NSK株式会社

事業内容:電気・通信設備、内装設備、その他設備全般の企画・設計・施工、ネットワークの企画・設計・構築・保守・監視業務、カメラシステム、入退室管理システムの企画・設計・構築、オフィス移転・新設に伴うレイアウト設計、デザイン

所在地:〒102-0074 東京都千代田区九段南2-3-1 青葉第一ビル

資本金:1億円

社員数: 256名

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