【IKIGAI企業交流会②】若手人財の確保など健康経営をいかに会社発展のツールに変えていくか。

人を大切にするIKIGAI企業の皆さんが集まったIKIGAI企業交流会のその2が2024年3月6日に開催されました。IKIGAI WORKSの今後の活動などの説明もあり、「働きやすさだけでなく、働きがいを高めるには?」「健康経営を優秀な人財の確保などにどう繋げていけるか」など可能性に満ちた議論が展開されました。

〔進行〕

熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役 )

〔参加者〕

矢野 明子(株式会社セクテック 総務課)

龍野 陽美(アップコン株式会社 経営推進部 経営企画広報担当グループリーダー)

有田 恭彰 (リライアンス・セキュリティー株式会社 執行役員採用教育研修部長)

1.健康経営と広報活動でシナジーが生まれる

熊倉:本日はこれまでにメディアサイト『健康経営の広場』でインタビューをさせていただいた、人を大切にし、幸せにする企業(IKIGAI企業)の皆さんにお集まりいただきました。

アップコンさんは、ウレタン樹脂を使用した唯一無二の特許工法でコンクリート床の沈下修正等を手掛けられている神奈川県川崎市の企業。龍野さんは広報を主に担当されています。アップコンさんは健康経営に約10年ほど取り組まれていますが、ブライト500も昨年に引き続き認定されたとのことですね。

龍野(アップコン):はい。健康経営はアップコンの大きな特徴の一つであり、その活動をメディアの方に伝え、取り上げてもらえるようにすることも私の仕事の一つです。

今回のようにブライト500に認定されると、メディアに取り上げてもらえたり、講演の依頼も増え、採用などにも良い影響が出ています。また、ブライト500認定項目の「対外的にどんな活動をしていますか?」にも合致。健康経営を起点にいい循環が生まれています。

熊倉:リライアンス・セキュリティーさんは広島県広島市で警備会社を展開されています。今回のブライト500認定はどうでしたか?

有田(リライアンス・セキュリティー):お陰様で認定を受けることができました。ただ、当社の健康経営は、他社さんのように「こんなイベントをやっています」や「こんなシステムを導入しています」というふうに幅広く取り組んでいるわけではなく、仕事上のリスクを徹底的に排除することがメイン。そのため、正直あまり自信はありませんでした。

熊倉:それでも認定を受けられたのはさすがです。今後、力を入れていきたいことなどはありますか?

有田(リライアンス・セキュリティー):はい。昨年、当社の熱中症対策の取り組みが評価され、広島労働局の局長に企業訪問をいただきました。警備業は農業、建設業に次いで熱中症災害の多い業種であり、熱中症対策の好事例として水平展開するため、当社を視察されたとのことでした。

これは当社としてもPRとなりますからマスコミ各社への働きかけをしました。

その際「今年は異次元の熱中症対策をします!」と宣言していますし、今どのようにするかプランを練っているところです。当社の場合、施策を幅広くというのではなく、テーマを絞り、「そこまでやるの!?」と思ってもらえるほど徹底しておこなっていきたいと考えています。

2.地域との接点づくりにも役立つ健康経営

熊倉:セクテックさんは岐阜県多治見市のセキュリティ会社。健康経営の立ち上げから矢野さんが担当されていますね。今回のブライト500認定はどうでしたか?

矢野(セクテック):お陰様で認定を受けることができました。当社は警備業ですので夜勤もあり、夜勤ではカップラーメンなどをすぐに食べがちです。そうすると健康診断でも引っかかり、数値も悪くなります。元々はそういう社員の生活を改善したいということで健康経営を始めました。

今回は今までやってきたことの継続に加え、地元の農家さんと契約し、社内に無農薬の野菜の販売所を設けました。この販売所は社内だけでなく、一般の人にも買ってもらえるように地域の皆さんにも開放しています。

熊倉:それは素晴らしいですね。評判はどうですか?

矢野(セクテック):味が濃く美味しいとみんな言いますね。それと便秘が治ったとか、肌がキレイになったと言う人もいて好評です。

熊倉:無農薬の野菜の販売所を始めたきっかけは?

矢野(セクテック):元々、社長が「地元の農家さんを応援したい」という気持ちを持っていました。無農薬の野菜を販売することで社員の健康づくりに役立つのはもちろん、仕事帰りにスーパーに行かなくても、体によいものを買って帰ることができます。時間を有効に使え、ライフ・ワーク・バランスを整えることにも繋げたいという狙いからです。

熊倉:社外の人で野菜の販売所を利用するのは、御社のセキュリティサービスをご利用の方が多いのですか?

矢野(セクテック):そういう方もいますし、全く関係ない人もいます。例えば、ケーキを販売されているお店の方は、体に良い食材を使いたいということでご購入いただいています。

熊倉:おお、それはいいですね。地域の方と新たな接点ができる素晴らしい取り組みです。

3.健康経営がカルチャーとして根付いている

熊倉:アップコンさんの健活倶楽部はすでに有名ですね。

龍野(アップコン):ありがとうございます。健活(健康活動)倶楽部は社内のプロジェクトチームで、健活倶楽部が社員の健康活動を牽引する形で毎月1回(第一月曜日、15時から17時30分)に全社員が集まってウォーキング、マラソン、フットサルなどを行っています。

例えば、ウォーキングなら「この場所まで行き、こんな写真を撮ってきてください」とミッションを与え、最短で達成できたチームがポイントをもらえるといったふうにゲーム性をもたせ、みんなが楽しく取り組めるような企画だったり、また、運動だけでなく、トランプ大会など様々なメニューをチーム制で行っています。

また、昨年から始業時にラジオ体操を実施するようにもなりました。

熊倉:施工で現場を担当している人も多いと思いますが、そういう場合はどうするんですか?

龍野(アップコン)::第一月曜は、施工を担当している技術部・営業部 部員もオフィスに戻ってきて参加します。

熊倉:えっ、本当ですか! 社員から反対の声は出ないのですか?

龍野(アップコン):当初はありましたが、今や健康経営はカルチャーとして社内に根づいています。というのも健康活動を牽引しているのがトップなので、トップダウンで推進しているのもうまくいっている要因だと思います。

4.深刻な若手の人財不足をどう解消していくか

熊倉:こうしてお話を伺っていると健康経営がカルチャーとして根付き、地域との接点となるなど様々なメリットを生み出しているようですね。健康経営に限らず、会社経営で今、課題になっていることはありますか? 

有田(リライアンス・セキュリティー):一番の課題は、やはり人財不足です。広島県の労働局長が訪問してくれたことも安心材料となり、ハローワークさんからもご紹介いただいていますので、年齢の高い人の採用はお金をかけずともできています。

一方、新卒採用については年々難しくなっていると感じています。この3月3日、4日にマイナビさんが主催する大きなイベントに初めて出展し、学生さんとお話しましたが、この3年間で若い世代の価値観や仕事に求めるものが大きく変わっていると実感しています。

会社の中では一番学生さんのことを知っている私ですら、正直、彼らの考えに追いついていけていない部分があり、新卒の採用を継続できなくなるのではと大きな危機感を感じているところです。

シニア層だけの採用に頼ってしまうと、社員の平均年齢がどんどん上がっていきますので、継続的に新卒や若手社員をどう採用し続けていけるかが重要課題となっています。

矢野(セクテック):よくわかります。警備業と聞くとなかなか求人が集まりにくく、社員の平均年齢も高くなっており、当社も若い世代の採用が課題となっています。

今の若い世代は、福利厚生を重視していると感じています。当社は、ブライト500認定や健康経営の取り組みをホームページで積極的に発信。その成果もあり、今回若手を採用でき、ホッとしているところです。ただ、安心はできません。やはり採用のためにも、健康経営を含めた福利厚生の充実が今後も大事になってくると思いますし、それを外部に発信していくことが必要だと感じています。

5. Web・イベント・学生との連携で課題を解決

熊倉:今日のお話にもあった「若手の人財を採用したい」「学生やZ世代の気持ちを知りたい」という課題を解決するために、IKIGAI WORKSではWebやイベント、大学・学生との連携を強化しています。

まずIKIGAI WORKSのホームページを開設しました。

https://ikigai-works.co.jp この中に各会社さんのPRページを設置し、SNSとも連携させたい。

IKIGAIサミット(エシカルエキスポ)といったイベントも開きます。https://kenkoukeiei-media.com/articles/tsuzuki 

エシカルエキスポは、学生が主体のイベントです。昨年は1万人が集まりましたが、今年はオンラインも含めると10万人の集客が見込まれています。

さらに社会的健康戦略研究所さんが主催する『健康×マーケティングピッチコ

ンペティション』 

https://kenkoukeiei-media.com/articles/pitch-competition1 にも皆さんと一緒に参加したい。

これらでキープレイヤーとなるのが学生です。学生が皆さんの企業を取材し、魅力を発信したり、課題を一緒に考えていきます。学生と深い交流を持つことで若い世代がどんなことを考えているのか、今の学生は就職にどんな価値観を置いているのかなどを知る絶好の機会にもなります。場合によっては御社で働きたいといったことも出てくるかもしれません。

この『IKIGAI WORKSホームページ』、『IKIGAIフェス(エシカルエキスポ)』、『健康×マーケティングピッチコンペティション』について感じたことやこうすればいいといったご意見はありませんか?

有田(リライアンス・セキュリティー):我々としても学生さんとのコミュニケーションの機会を増やしてもらえるのは、とても有り難いです。ただ、イベントについては、イベントの盛り上がりも大事ですが、イベント終了後に何が残るのかがとても重要。学生さんとの繋がりを継続できる形でなら参加するメリットがあると感じました。

熊倉:そう、まさに有田さんのおっしゃる通りです。イベントが単発で終わってしまうのではあまりにももったいない。イベント終了後に学生との強い絆を持ち続けられることをIKIGAI WORKSでも最重要視し、取り組んでいきます。

龍野(アップコン):実は少し前に、学生新聞さんが当社に取材に来られ、今の学生さんは、企業の取り組みにとても興味を持たれているなと感じました。その上で熊倉さんから今の学生とのイベントやプログラムのお話を聞いたので共感や理解できる部分が多かったですね。その上で当社としてどうやって関わっていくかというと、やはり採用関係がメインになるかと思います。

熊倉:ありがとうございます。では、最後に皆さんから一言いただけますでしょうか。

有田(リライアンス・セキュリティー):今回の交流会、皆さんの取り組みをお伺いすることで、今後の当社の健康経営のヒントをいただけました。それを活かしながら、来年もブライト500認定を受けられるように施策を続けていきたいと思います。

矢野(セクテック):健康経営はやはり継続することが一番だと今日、改めて感じました。その上で当社に合った施策を着々とやっていきたい。IKIGAIフェスなどのイベントも、様々な世代の人が交流し、お話できるのはお互いに刺激になり、学ぶことが多いと思います。

龍野(アップコン):地域との密着など具体的な事例を伺え、健康経営の時流について知ることができ、参考になりました。またこういう機会を設けてくださると嬉しいです。

【取材後記】

長年、健康経営に取り組み、社員が働きやすい環境を整備し、カルチャーとして社内に根付かせることに成功しているIKIGAI企業の皆さん。それを社内だけでなく、外部に発信し、採用などの成果にどう繋げていくかが各社共通の課題となっているようです。そこでIKIGAI WORKSが提案したのが、IKIGAI企業の情報発信基地となるホームページ、IKIGAIフェスなどのイベント、産学連携のプログラム『健康×マーケティングピッチコンペティション』。健康経営を会社そのものを発展させるためのツールに変える時が来たようです。

<企業データ>

会社名:株式会社セクテック

事業内容:オンラインによるセキュリティサービス、防犯・防災機器の販売

所在地:〒507-0037 岐阜県多治見市音羽町4-85

資本金:1100万円

社員数:37名

 

会社名:アップコン株式会社

事業内容:コンクリート床スラブ沈下修正工法「アップコン工法」による施工・施工管理、ウレタン樹脂を使用した新工法の研究・開発など

所在地:〒213‐0012神奈川県川崎市高津区坂戸3⁻2⁻1KPS東棟611

資本金:7,325万円

従業員数:48名

 

会社名:リライアンス・セキュリティー株式会社

事業内容:施設警備・交通誘導整備・雑踏警備・身辺警備・セキュリティコンサルティング

所在地:〒730-0845 広島県広島市中区舟入川口町14番22号

資本金:1,000万円 社員数:225名

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