【ファイブグループ】従業員が輝き、「楽しい」でつながる世界を実現させるために健康経営が必要

『「楽しい」でつながる世界をつくる』という理念を掲げ、飲食事業(居酒屋・ダイニング等)の経営・企画・運営店舗プロデュース事業を行っているファイブグループさん。「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に5年連続で認定され、働きがいのある会社(GPTW) にも6年連続ランクインするなど、現在の健康経営を知る上で欠かせない企業です。(インタビュアー:健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表  熊倉 利和) 

[株式会社ファイブグループ]

■岩永敏幸(人事総務部 課長)

■菅沼利浩(人事総務部) 

1.人財が最大の強み。だから健康経営に取り組む

――まずはファイブグループについて教えてください。

岩永さん:はい。飲食事業(居酒屋・ダイニング等)の経営・企画・運営店舗プロデュース事業を行っています。約20の事業部があり、業態やブランドも多数。従業員数は約2,000名で、そのうち約350名が社員です。

当社の理念となっているのが『「楽しい」でつながる世界をつくる』。会社と従業員、従業員とお客様、お客様と社会といったふうに、人と人が分け隔てなく繋がり、みんなが楽しめる世界を飲食を通じて実現させるというビジョンを持つ会社です。

――御社の特徴、強みは何になりますか? 

岩永さん:創業当時から人を大切にする、人財力で勝負するというところは変わっていません。お酒や料理を提供することは他の企業にもできます。では、何で差別化できるかというとサービスの部分。お店で働いている人がいかに想いを込めて接客ができるか。どうやったらお客様に喜んでもらえるかを真摯に考えられるか。人財育成も含めて、そこが他の会社さんがなかなか真似のできない部分だと思いますし、お客様に支持される理由なのではないでしょうか。

――確かにオペレーションを効率化するなどして価格を抑える手法は他社さんも導入しやすいですが、人が人を楽しませる、楽しい雰囲気をつくっていくということは簡単には真似できませんね。

岩永さん:おっしゃる通りです。コストを抑えることも大事ですが、それだけではお客様の満足を得られるのは難しい。当社では、従業員同士があれこれ意見を出し合いながら、どうやったらお客様から選んでもらえるお店になるかといったことを各店舗ごとに考え、形にしていき、年に一度、その成果を発表する場も設けています。

――そんな御社が健康経営に力を入れている理由は?

岩永さん:当社のビジネスモデルで一番大事なのはやはり人財力。働いている人が最高のパフォーマンスを発揮するために必要なのが健康経営です。もう一つの理由が『「楽しい」でつながる世界をつくる』という理念を実現させるためです。

働くことは体を酷使し、ストレスにまみれ、健康を損なうものというイメージもあります。ですが、21世紀の働き方はそうであってはならない。働くこと自体が楽しいことであり、心の豊かさを見つけるためにするもの。働くことで楽しさ、心の豊かさを得られる環境を整えることは、『「楽しい」でつながる世界をつくる』という理念を実現させるために必要なことであり、その方法の一つが健康経営です。

――なるほど。健康経営の中で力を入れていることはありますか? 

岩永さん:一つは女性の活躍推進です。この5年間、健康経営を実行する中で女性が活躍できる環境をどうやって整えていくかが大きなテーマの一つになってきました。そのため、乳がん・子宮頸がん検診など、早期発見によってリスクを軽減させる取り組みなどを行っています。

――今、従業員2,000名のうち、男女の割合は?

菅沼さん:男性3:女性1の割合です。

――女性特有の病気もありますから、特に女性の場合、健診も早めにおこなったほうがいいですね。

岩永さん:そうですね。男女にかかわらず、病気になり、体が弱くなった段階から治療をするのでは遅い。そうならないように健康診断を受けておくことが大事ですし、仕事だけでなく、その人の人生にとってもとても大切なことだと思います。

2.自分が輝けることで健康になる

――そのほかにも力を入れていることはありますか?

岩永さん:はい。3年ほど前から部活動を推進しており、現在は野球部など16の部活があり、全社員がどこかの部活に所属することになっています。これは、運動の機会を増やすためでもありますが、お店を越えて従業員同士を繋げたいという狙いもあります。

家や仕事で過ごす時間だけでなく、部活動をすることで、「こんなに楽しいことがあるんだ」という新しい発見をしてほしい。それを仕事や自分の人生をより豊かなものにすることに活かしてほしいという経営者の想いもあります。この部活動には、社員だけでなく、社員の家族、友人、さらにお客様も参加可能です。

今年の5月には、新卒社員41名全員で高尾山に登ります。6月には奥多摩でキャンプがあり、8月にファイブフェス( ファイブグループのファイブグループによるファイブグループのための大感謝祭)を開催予定です。

――イベントも目白押しですね。健康経営に5年間、取り組んできて何か感じていることはありますか? 

岩永さん:はい。一汁一菜賄い飯、マインドフルネス、ダイエットプログラム、ファスティングなど熊倉さんにもご協力いただきながら様々な取り組みをしてきました。

当社は、若いスタッフが多いこともあり、健康の大切さを切実に感じる人は少なかったと思います。それが、心身の健康を整えることで自分のパフォーマンスが高まっていくことにも気づき、健康経営が社内に浸透してきていると感じています。例えば、飲み会などでも、「あまり飲みすぎないように注意しましょう」と私に言ってくれる従業員がいるなど、健康に対する意識が高まっている場面を見ると嬉しくなります。

仕事だけでなく、人生においても健康はとても大切なことです。ただ、「健康のためにスポーツをするんだ」というふうに健康が前面に出るのではなく、自分の好きなこと、輝けることをすることが健康に繋がっていくというのがいいと思っています。ですから、従業員が自分の好きなことや、輝けることを発見できるように会社としてもサポートしていきたいと考えています。

――それはいいですね。家(ファーストプレイス)、職場(セカンドプレイス)だけでなく、それ以外のサードプレイスでも楽しさを見つけながら、健康に繋げてほしいというお考えに感動しました。自分の人生を楽しむことが、お客様に楽しさを提供することにも繋がると思いますし、『「楽しい」でつながる世界をつくる』を実現するためにも、やはり健康は土台となりますね。

岩永さん:その通りです。ですから、食育なども含め、もう一度、しっかり健康づくりに取り組みたいと考えています。最初は部活などの小さな単位で始め、そこで成果を出し、食育や健康の大切さを社内に広めていくのもいいのではないでしょうか。

3.LINEと社内報でコミュニケーションを活性化

――それにしても 2000名の従業員とコミュニケーションをとるのは大変ですね。どうやっているのですか? 

岩永さん:以前は社内のコミュニケーションツールがメールしかありませんでした。それだけですと、こちらからの情報発信も弱いですし、相手の言いたいことも理解しきれない部分があり、今は社内LINEを活用するようになりました。LINEならスマホで全員と連絡ができますし、テーマやグループごとにも分けられ、新たなコミュニケーションが生まれるようになっています。

――そのほかにもコミュニケーションツールはありますか? 

岩永さん:はい。イベントや部活、従業員や表彰者の紹介、理念の浸透度合いなどが一目瞭然でわかるツールとして社内報を活用しています。以前は月刊紙が中心でしたが、現在はWEBを活用し、週刊で出しています。

コミュニケーションは非常に重要です。メンタル不調の要因となるのも、悩みがあっても相談先がないこと。本来でしたら店長や業態長が担うのかも知れませんが、上司と部下という関係があるとなかなか本音を言うことができない部分があります。そこで、2年前からライフサポート窓口を開設し、私が相談相手になっています。

4.コロナ禍でも雇用維持。新規事業にも着手

――飲食業はコロナ禍の影響も大きかったと思います。人財の維持も難しかったのでは?

岩永さん:そうですね。特にインバウンド向けの店舗は影響を受けました。休業要請にも協力し、売上が確保できない中、どうやって従業員の生活を守るかが大きな課題でした。

やはりファイブグループが誇れるのは人財です。お客様がお店に来てくださるのも、スタッフの力があってのこと。国の助成金を使いながら、会社都合の解雇を出さなかったことはとても良かったと思います。

――それはすごいですね。でも、アルバイトさんの雇用まではさすがに無理ですよね。

岩永さん:いいえ、アルバイトも雇用維持です。当社はほとんどの店舗でアルバイトさんに主力で活躍してもらっています。お店の売上が良いのも、アルバイトさんのお陰。売上が悪くなったからといって辞めてもらうというわけにはいきません。そのため、働いてもらうことはできなくても給与は保証しました。

――それは驚きました。そうしたコロナ禍の中で新規事業や新業態の開発などの動きはありましたか?

菅沼さん:はい。お店の空調や冷蔵庫などのメンテナンスは外注していたのですが、社内でできないかという話になり、希望者を募り、今、出向先で技術やノウハウの勉強をしてもらっています。ゆくゆくは当社の事業の一つとして成立させたいと考えています。

岩永さん:飲食事業を展開されている企業やこれから始めようとする企業に対するサポートも始めています。従業員のエンゲージメント(やりがい、チームワークなど)の可視化や、ペーパーレスの推進など業務を効率化し、本業に注力できるようにする仕組みなどをシステム化し、外部へ販売していくというもの。これは、ファイブグループのノウハウやシステムを取り入れたいという他社さんからのご要望もあり始まったのですが、当社の利益にもなり、販売先の企業さんも活性化させることができます。

5.健康経営と社会貢献活動で人財採用に成功

――今年は41名の新卒社員が入社したとのことですが、健康経営に取り組む前と後では採用に変化はありますか?

岩永さん:そうですね。採用できる人数は増えています。毎年20〜30名くらいで推移してきたのですが、コロナ禍の中、今年、飲食業で41名の採用ができたことは特に大きな成果だと思います。

――なぜ採用に成功したのでしょうか?

岩永さん:やはり、健康経営に取り組みながら、従業員の働きがいを追求してきたことが大きな要因だと思います。それと、部門を横断したプロジェクトがいくつか立ち上がっていて、その一つが社会貢献活動です。こども食堂やお弁当の無料配布などを行い、お客様が一杯お茶を頼むごとに10円〜50円がチャリティー活動のために使われるといった取り組みをしています。

そういった社会貢献活動も就活生の皆さんに支持されたということもあるかもしれません。最近の学生さんの会社選びの傾向として、大企業志向、福利厚生や終身雇用を重視するといったことが薄れており、それより誰かに貢献したいという気持ちが会社選びのポイントになってきているように感じています。

――本当にそうですね。社会と繋がり、誰かに喜んでもらえることが、働きがい、生きがいになります。これまでの企業活動は、株主の利益の最大化が優先されてきましたが、今は、その会社が社会にどれだけ貢献できるかというパーパス経営に移ってきています。みんなが楽しめるサードプレイスを提供するという理念やパーパスが就活生にも伝わっているのだと思います。今後さらにどんなことに力を入れていきますか?

岩永さん:お節介かもしれませんが仕事だけでなく、従業員の生活面のサポートもしっかりしていきたい。というのも、仕事はうまくいっているのに生活面で問題を抱えているケースもあるからです。そのため、会社として仕事と生活の両面で従業員をサポートすべきだというのは経営者の考えでもあります。

では具体的にどんなサポートができるかというと、健康経営を基本として実態に即して進化させていきたい。単純に「食育をやろう」「何かの研修を開こう」だけでは、ヘルスリテラシーは向上しますが、その先にはいけません。チームとして成果を上げられ、社会に貢献できる組織になるために健康経営を進化させていこうと考えています。

【取材後記】

従業員の健康や働きがい、生きがいを大切にすることでお客様や社会にさらに楽しさを提供することができるという、とても良い循環が生まれているファイブグループさん。コロナ禍でもアルバイトさんも含め、全員の雇用を守るなど従業員のことを大切に考える姿勢に深く感銘を覚えました。エンゲージメントの可視化など先端の取り組みも始めており、飲食業界はもちろん、日本の健康経営をリードする存在になっています。

<企業データ>

会社名:株式会社ファイブグループ

事業内容:飲食事業(居酒屋・ダイニング等)の経営・企画・運営店舗プロデュース事業

所在地:(本社)東京都武蔵野市吉祥寺本町2-5-10 いちご吉祥寺ビル 7階

資本金:1,000万円

社員数:2,000名(うち正社員350名)

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