生活習慣病の予防法、特定保健指導も活用してヘルスケアを
目次
ヘルスケアを怠るとかかるの?生活習慣病とは
生活習慣病は、偏食、運動不足、喫煙、ストレスなどといった生活習慣が発症や進行の原因に深く関わると考えられている疾患の総称です。
主な疾患としては下記のようなものが挙げられます。
食 習 慣: インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等
運動習慣: インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等
喫 煙: 肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫 歯周病等
飲 酒: アルコール性肝疾患等出典: 厚生労働省:生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)
生活習慣病予防の基本となるヘルスケアとは?
先に挙げた疾患のなかでも、特に食習慣や運動習慣などによる糖尿病、肥満症、脂質異常症、高血圧症などが、代表的な生活習慣病として知られています。
これらの代表的な疾患における多くの原因は内臓脂肪型肥満であるため、予防法としては「食事の見直し」と「適度な運動」を“バランスよく組み合わせる”ことが第一と考えられています。
それでは、具体的な生活習慣病の予防法を「食事」と「運動」、そしてその他の習慣についても、それぞれ詳しく見ていきましょう。
生活習慣病予防のための食事習慣によるヘルスケア
内臓脂肪型肥満を防ぎ、生活習慣病を遠ざけるためには、食事は1日3食、規則正しく摂ることがポイントです。
朝食を抜くなどして食事の回数が少なくなると、1日の摂取エネルギー量は同じでも、より体脂肪が蓄積し、血清コレステロールや中性脂肪は高くなってしまいます。
また、食事内容も重要です。野菜、乳製品、豆類などはしっかり摂りましょう。その一方で、肥満の原因となりやすい脂質や糖分、塩分は、摂り過ぎないように注意します。
ただし、極端な減食や、あまりに偏った食べ方では、体に必要なエネルギー量さえも満たせなくなり、健康を損ねることもあります。適正な量をバランスよく食べることを意識するようにしましょう。
生活習慣病予防のための運動によるヘルスケア
運動については、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は体の代謝機能を正し、内臓脂肪を燃焼させることで脂肪が溜まりにくくなるため、生活習慣病予防に効果的だとされています。
一方、筋力トレーニングや短距離走などの無酸素運動も、筋肉を鍛えて基礎代謝量を増加させたり、維持したりすることにつながるため、生活習慣病予防に効果があるとされています。
また、内臓脂肪を燃やすといっても、連日激しいトレーニングに励めばいいというものでもありません。
厚生労働省が2013年に発表した「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、今より10分多く体を動かすだけで、健康寿命を伸ばせるとアドバイスされています。
目安は18歳~64歳で1日60分、65歳以上は1日40分。掃除や買い物などの日常的な動作でもよいですが、筋力トレーニングやスポーツも含まれているとなお効果的です。
詳しくは、下記も参考にしてみてください。
途中で続けられなくなるようなハードな運動よりも、適度な運動を週3日以上定期的に続けることが、生活習慣病予防の上では大切です。
その他の生活習慣病予防のためのヘルスケア
喫煙による生活習慣病の代表的なものが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)です。たばこの煙のような有害物質を長期間吸い続けることで、気管支や肺胞が炎症を起こします。
症状によって、慢性気管支炎や肺気腫などと呼び分けられることもあります。
息切れや咳、たんなど呼吸器特有の症状だけでなく、筋力低下などの全身症状が出ることもあります。予防法としては、やはり禁煙が最も重要です。
また、アルコールの摂り過ぎは、脂肪肝やアルコール性肝炎などの原因となるだけでなく、生活習慣病を含めたさまざまな疾患の原因となり得ます。
まずは自分の適度な飲酒量を知り、それを守ること、そして週に2回は休肝日(アルコールを飲まない日)を作ることを心がけましょう。
なお、生活習慣病予防のため、40歳から74歳までの方は1年に1度、生活習慣病予防検診(特定健康診査、通称特定健診)を受けられます。
特定健診の結果から、飲酒による生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善が必要と判断された方は、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)から生活習慣を見直すサポート「特定保健指導」を受けられるので、ぜひ活用しましょう。
<監修医師>
近藤慎太郎 医師
日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで診療に従事。
専門:消化器内科/消化管内視鏡/予防医学
経歴:北海道大学医学部・卒、東京大学医学部医学系大学院・卒。
日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター内視鏡室長を経て、現職。
資格:日本内科学会認定医/日本消化器内視鏡学会指導医/日本消化器病学会専門医/日本肝臓学会専門医/日本人間ドック学会専門医/日本医師会認定産業医/医学博士