健康診断だけでは受けられない?「特定保健指導」とは
目次
特定保健指導の対象となるのはどのような人か
特定保健指導は、指導・支援の対象者自身が健康診断の結果を理解し、体の変化に気づくことで自らの生活習慣を振り返り、自ら健康管理ができるようになることを目的としています。
例えばメタボリックシンドロームの傾向が見られるなど、いわゆる生活習慣病予備軍の方であれば、特定保健指導のなかで症状が悪化する前に生活習慣を見直し、健康状態を改善していくことを目指します。
特定保健指導には2タイプある?対象者はどうやって選ばれるか
メタボリックシンドロームのリスク数に応じて、「動機づけ支援」と「積極的支援」の2つのタイプの特定保健指導があります。
1.内臓脂肪型肥満(腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積のリスクを判定します)
内臓脂肪型肥満A 腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上
内臓脂肪型肥満B 腹囲:男性85cm未満、女性90cm未満かつBMI:25以上2.追加リスク(健診結果・質問票より追加リスクをカウントします)
(1)血糖 空腹時血糖値100mg/dl以上またはHbA1c 5.6%(NGSP値)以上 ※H25年3月31日までの健診は、5.2%(JDS値)以上
(2)脂質 中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満
(3)血圧 収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上
(4)喫煙歴 (1)~(3)のリスクが1つでもある場合にリスクとして追加以上のリスクを踏まえて、特定保健指導のタイプが決定します。
<引用>協会けんぽ「健診後の保健指導・健康相談」
出典:協会けんぽ「健診結果通知票の見方」
タイプ別に見る特定保健指導:「動機付け支援」とは?
「動機付け支援」は「内臓脂肪型肥満Aでリスクが1つ、内臓脂肪型肥満Bでリスクが1つ~2つ」の、いわゆる予備軍の方に対して実施される支援です。
まず初回では目標を立てます。一定期間が過ぎた後の改善状況チェックは、保健師に限らず医師・専任看護師・管理栄養士などの専門スタッフによって実施されます。
具体的なサポート方法は下記の通りです。
生活習慣を振り返り、ライフスタイルにあった目標を設定し、実行に移せるようなきっかけ作りを、保健師がお手伝いします。
1.【初回】個別面接またはグループ学習
2.【6ヵ月後】生活習慣改善状況などを伺います(電話、メール、手紙、FAX)
【サポート方法】
・20分以上の面談で生活習慣の改善についてご一緒に考えます。
・6ヵ月後に生活習慣のご様子や腹囲・体重などを伺います。
<引用>協会けんぽ「健診後の保健指導・健康相談」
タイプ別に見る特定保健指導:「積極的支援」とは?
「積極的支援」は「内臓脂肪型肥満Aでリスクが2つ以上、内臓脂肪型肥満Bでリスクが3つ以上」、すでに症状が出ている状態と見られる方に対して行われます。
こちらもまず初回では目標を立てます。個別の継続サポートや、一定期間が過ぎた後の改善状況チェックは、保健師に限らず医師・専任看護師・管理栄養士などの専門スタッフによって実施されます。具体的なサポート方法は下記の通りです。
生活習慣を振り返り、ライフスタイルにあった目標を設定し、実行を続けられるように保健師が継続的にサポートいたします。
1.【初回】個別面接またはグループ学習
2.【3~6ヵ月間】個別に面談、電話、メール、手紙、FAXで継続サポート
3.【6ヵ月後】生活習慣改善状況などを伺います(電話、メール、手紙、FAX)
【サポート方法】
・20分以上の面談で生活習慣の改善についてご一緒に考えます。
・その後、数回のご連絡を取り合いながら、生活習慣の改善をサポートします。
・6ヵ月後に生活習慣のご様子や腹囲・体重などを伺います。
<引用>協会けんぽ「健診後の保健指導・健康相談」
特定保健指導「積極的支援」の継続的な支援とは
積極的支援において、3カ月以降は「支援A(積極的関与タイプ)」と「支援B(励ましタイプ)」の2種類の支援方法における具体的な支援策にポイントを割り当て、所定のポイント数を満たすように進めていきます。
160 ポイント以上、支援Bで 20 ポイント以上での合計 180 ポイント以上の支援を実施することを必須とする。
この場合、支援Aを支援Bに、あるいは支援Bを支援Aに代えることはできないものとする。支援A(積極的関与タイプ)
●取り組んでいる実践と結果についての評価と再アセスメント、必要時、生活習慣の振り返りを行い、行動計画の実施状況の確認に基づき、必要な支援を行う。
●栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
●行動目標・計画の設定を行う。(中間評価)支援B(励ましタイプ)
●行動計画の実施状況の確認と確立された行動を維持するために賞賛や励ましを行う。出典: 国立保健医療科学院「標準的な健診・保健指導プログラム」
ポイント換算などの詳細は下記も参考にしてみてください。
特定保健指導は終わっても、健康づくりは続いていく
特定保健指導の支援期間を終了する際は、対象者が指導によって改善した生活習慣を継続していくよう意識付けを行います。
このように、特定保健指導とは今後皆さんがより効果的に、かつ継続的に健康づくりに取り組んでいけるよう整えられた事業です。
ぜひ、年に1度は生活習慣病予防健診(特定健康診査)を受診し、健康チェックを習慣づけるようにしましょう。
<監修医師>
菊池祐二郎 医師
山王メディカルセンター 血管病センターにて診療に従事。
東京医科大学病院在籍中は主に心臓手術・血管外科を担当し、さらにその関連施設では人工透析管理に従事。心臓や血管に疾患のある患者様に元気な日常生活を送っていただけるよう、患者様お一人おひとりにもっとも適した治療法を考え、行っている。
専門:血管外科
経歴:東京医科大学卒、医学博士/前東京医科大学心臓外科医長
学会活動:日本外科学会認定外科専門医・認定医/日本循環器学会認定循環器専門医/日本脈管学会認定脈管専門医/日本抗加齢医学会認定抗加齢医学専門医