【イベントレポート】IKIGAI企業×Z世代 公開リバースメンタリング「高速路線バス会社は新卒の就職先として魅力的か?(ベイラインエクスプレス)」

『IKIGAIサミット in エシカルエキスポ2024 TOKYO』の中で開かれた公開リバースメンタリング。IKIGAI企業がZ世代に悩みや質問をぶつけることで、さらに魅力的な企業に進化してもらおうという画期的な企画です。今回は、ベイラインエクスプレス代表取締役の森川孝司さんがアーティスト、インフルエンサー、大学生3人のZ世代にリバースメンタリングを受けました。

〔IKIGAI企業〕

森川 孝司(ベイラインエクスプレス株式会社 代表取締役)

〔Z世代代表〕

・小崎 強(虹と満月と株式会社 Co-Creation Director)

・RION(ODDLORE,KING RECORDS)

・小川純璃(武蔵野大学4年)

熊倉 利和(IKIGAI WOKRS株式会社 代表取締役)

司会:今井 遵

1.女性も安心して利用できるバス会社さん

今井:では、最初にベイラインエクスプレスさんについて教えていただけますか?

森川:はい。ベイラインエクスプレスは神奈川県川崎市に本社を置き、関東と島根、名古屋、神戸などを結ぶ高速路線バスの会社です。特徴といたしましては、車体をピンク色のデザインにしたり、男性と女性でゾーニングし、寝顔も見られないようにするなど女性のお客様を意識したサービスに力を入れています。

今井:今日参加してくれている学生の皆さんの中にも、田舎と東京を行き来する際などにお世話になっている人もいそうですね。ちなみに、バスを運転する楽しさって何ですか?

森川:バスの運転席は普通の車より高い位置にありますから、とても見晴らしが良く、トンネルを走る時なども普通では味わえない景色を体感できます。私はもともと祖父や父が経営陣を務めていたバス会社に就職したのですが、経営幹部としてではなく、バスの運転士としてでした。当時は経営をする気は全くなく、ただただバスドライバーの仕事が楽しかったですね。

今井:電車の運転に憧れる男の子は多いですが、バスの運転も普通の車とは違った醍醐味を味わえそうですね。ドライバーさんは運転が好きな人に向いている仕事だと思いますが、やはりバスの運転に必要な大型二種免許を持っている人でないと御社には入社できませんよね。

森川:いえ、そんなことはありません。普通免許さえあれば入社後、大型二種免許を会社の費用で取得していただけます。それと男性の仕事と思われがちですが、女性も大歓迎。実際、当社では女性ドライバーが大活躍してくれていました。

今井:それは少し意外でした。そんなベイラインエクスプレスの森川さんがZ世代に聞きたいことがあるそうですね。

森川:はい。私がZ世代の方々に聞いてみたいのは、バスの運転や運行サポートの仕事に興味があるかどうか。そもそも新卒採用として高速路線バス会社に就職するという選択肢があるかどうかということです。

今井:現在、新卒採用は行っていないのですか?

森川:はい。今は新卒採用はしておらず、中途採用なのですが、応募者の年齢も高めになっています。

今井:どうして新卒学生の就職の選択肢に入らないかもしれないと思うのですか?

森川:仕事柄一泊二日の泊まりがけになることが多いですし、長距離の場合、ドライバーは二人一組で仕事をします。特に女性にとっては男性とペアになることに抵抗があるかなと……。

2.Z世代が意外なところに魅力を発見

今井:それではZ世代の皆さんから意見を聞いてみましょう。今までの森川さんのお話を聞いて何か感じたこと、思ったことはありますか?

RION:そうですね。お客様を長距離、安全、快適にお運びするという点でキャビンアテンダントさんのお仕事に似ているのかなと感じました。

森川:それは嬉しいですね。実は当社ではドライバーの呼び名を『ハイウェイパイロット』に変えるなどしてドライバーの仕事のイメージアップやブランド化に努めているんです。

今井:『ハイウェイパイロット』ですか。とてもカッコいいですね。ちなみにお給料はどれくらいですか?

森川:平均で年収570万円ほどです。

今井:お給料もいいですし、会社のお金で資格も取らせてもらえる。Z世代でもやりたい人が多そうですよね。

熊倉:それと、ベイラインエクスプレスさんの魅力の一つが、ドライバーさんの健康や従業員がゆったりと過ごせる環境づくりにとても力を入れていること。社内にフィットネスジムや酸素カプセル、カフェなどがある点も学生さんへのアピールになるのではないでしょうか。

森川:ありがとうございます。仕事柄、従業員の体調管理や健康づくりにとても力を入れています。というのも、特に当社は夜間運転することが多いので、余計にドライバーが健康でないといけません。それと安全管理も徹底しています。

熊倉:少しでも事故が起こる危険性が高まると本部から連絡が入る仕組みができているんですよね。

森川:はい。眠気検知機器を使い、自分でも気づかない疲れや眠気の予兆を検知した際は、振動で注意を促したり、乗務員に休憩を指示します。また、先行車との車間距離もリアルタイムで把握。衝突の危険性があるとシステムが判断したときに乗務員に知らせ、衝突を回避します。

今井:驚きました。そこまでなされているんですね。ちょうど学生さんからも「安全性に気をつけているのはとてもいいですね」というコメントが届いています。安心・安全に力を入れ、とても働きやすい会社さんですから、あとはどうやれば新卒世代にそれをアピールできるかということですね。Z世代の皆さんは、そのあたりで何かアイデアや意見はありますか?

小崎:御社のホームページを拝見しますと、ちょっと硬い感じがしました。使っているドライバーさんのお写真も年齢が高めなので、それを若い方の写真に変えるなどするだけでもガラリと印象が変わると思います。

森川:なるほど。学生さんは会社のホームページは見ますか?

小崎:はい。会社選びの際は必ず見ると思いますので、ホームページはとても大事だと思います。

小崎:フィットネスジムがあったりと、従業員の健康をとても大切に考えてくれている点などももっとSNSで発信したらいいのではないでしょうか。

小川:それに先ほど、特に女性は仕事が泊まりがけになるのを敬遠する人がいるのではとのことでしたが、私などは、ちょっとした旅行気分になれて逆に楽しそうだと感じます。仮眠室もおしゃれにするなど工夫してくれたら、女性として嬉しいと思います。

3.お陰でワクワクした気持ちで帰れます!

RION:こうしてみるとベイラインエクスプレスさんは、働く環境はとてもいいので採用が難しいとは逆に思えないですね。魅力をもっと発信すべき。それに僕も練習生時代、地元と東京を行き来する際、いつも夜行バスにお世話になっていました。そんな時、頑張っている自分自身の姿に「ああ、今、夢に向かって走っているな」と充実感を覚えました。

熊倉:おお、それはいい! 高速路線バスは料金も新幹線より安いですし、特に若い人たちにはありがたい存在ですよね。そういう意味でも、夜行バスと青春って相性がいいのでは?

RION:はい。メチャクチャ相性がいいと思います。高速路線バスは青春の匂いがします。

今井:森川さんはZ世代からの意見やアイデアを聞いてどうでしたか?

森川:私たちがネガティブ要素だと思っていたことが、Z世代の皆さんから見ると魅力的に映っていたりすることに驚きましたし、たくさんのヒントをもらえました「よし、これからこんなことをやってみよう!」と今はウキウキしていますし、帰ったら早速行動に移してみようと思います。

今井:それを聞けて嬉しいです。では、最後に森川さんにとっての働きがい・生きがいは何かをお聞かせいただけますか。

森川:はい。会社に参加している人、従業員が輝ける場所を提供すること。それが私にとっての働きがい・生きがいです。

【取材後記】

「高速路線バス会社の新卒採用は無理なのでは?」と考えていた森川さん。それに対し「キャビンアテンダントの仕事と似ている」「泊まりがけの仕事は楽しそう」と意外な提案や魅力を発見するZ世代。確かに同じ仕事でも捉え方、伝え方によって魅力度がガラリと変わるもの。今回、Z世代の視点で改めて自社の仕事の魅力に気づいた森川さんは「私たちがネガティブ要素だと思っていたことが、Z世代の皆さんから見ると魅力的に映っていた」「ワクワクした気持ちで帰っていける」と驚きを隠せません。この言葉こそが今回の企画の目的そのもの。大成功の公開リバースメンタリングとなりました。

<企業データ>

会社名:ベイラインエクスプレス株式会社

事業内容:高速バス・夜行バスの運行/企業送迎バスの運行/人材紹介

所在地:神奈川県川崎市川崎区塩浜2-10-1

資本金:2,000万円​​​​​​​

社員数:42名

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