【第6回健康経営ダイアログ】生きがい社会を実現する新会社&新サービスがついにスタート!
これまで各分野のトップランナーが集まり、日本の健康経営、そして働きがい・生きがいについての提言や熱い議論が交わされてきた『健康経営ダイアログ』。第6回目(2021年9月25日開催)となる今回は、健康経営はもちろん、その先のビジョンを実現させるための新会社設立&新サービスのスタートを受け、ソリューションパートナーによるダイアログが繰り広げられました。
[参加者]
■長又みほ(Komaeyoga STUDIO)
■佐藤今日子(ヨガ・瞑想インストラクター、マインドフルネス講師)
■小林尚祐(ケアプロ株式会社 予防医療事業部マネージャー)
■望月里華(ケアプロ株式会社 予防医療事業部)
■吉田英史(感涙療法士)
■浅野健一郎(一般社団法人社会的健康戦略研究所 代表理事)
■樋口功(アクサ生命保険株式会社 MCVP推進本部 HPM事業開発部エキスパート)
■松尾隆和(信州大学 大学院医 学系研究科 スポーツ医科学教室)
(事務局)
■熊倉利和(IKIGAI WORKS株式会社 代表取締役)
■中家良夫(IKIGAI WORKS株式会社 CHO〔チーフ・コラボヘルス・オフィサー〕 メドケア株式会社顧問、株式会社バックテック顧問)
■須子善彦(マイプロジェクト株式会社 Founder 兼 代表、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部ITソリューション学科 准教授)
■黄韵奇(ビジョンコンサルタント、メンタルコーチ)
目次
1.働く人の心に火を点ける
IKIGAI WORKSは日本の健康経営を推進し、次のステップに進めるために設立された会社。そして、LifeWorkers’は、IKIGAI WORKSが提供するサブスク型会員制サービス。2021年10月1日プレオープンし、サービス提供が始まっています。
IKIGAI WORKS代表取締役の熊倉利和は、新会社&新サービスの目的・ビジョンを次のように話します。
「米国ギャラップ社の調査によると、日本の『熱意あふれる社員』の割合はたったの6%。これは世界的に見ても最下位レベルです。なぜこういう結果になってしまうかというと、その人が仕事に何を求めているのか、なんのために働くのかと考えているのかが一つ。もう一つは、社員のことをコストと捉えるのか、資本と捉えるのかという企業側の認識や組織体系の問題です」
この『熱意あふれる社員』が6%しかいない状況を改善するために設立されたのがIKIGAI WORKS。一人一人が働きがい、生きがいを感じられ、心身ともに健康で結果的に生産性や創造性の高い働き方ができるようにすること。つまり、『生きがいに生きる人に溢れる社会』の実現です。
やりがいフェーズ(健康経営の促進)→働きがいフェーズ(ワーク・エンゲージメント向上)→ 生きがいフェーズ(生きがい人財の循環)への展開を見据えていますが、まずは5年間で熱意あふれる人を倍増させる計画を立て、マインドフルネス、ヨガ、食育、ウォーキング大会、大人の体力測定など多彩なサービスを提供していくとのこと。
ソリューションパートナーの一人である樋口功氏(アクサ生命)は言います。
「熊倉さんがおっしゃるように、その人が従業員としてコストになるのか、あるいは無形資産、人的資本になるのかの違いは、心に火が点いているかどうかではないでしょうか。働く人の心に火を点ける活動を皆さんと一緒にやっていきたい」
2.人の可能性を広げるサポートを
続いて、このIKIGAI WORKS、LifeWorkers’のビジョンを共有し、サービス提供などを担うソリューションパートナーの皆さんによるダイアログが行われました。
佐藤今日子:人は、何かやりたいことがあっても体が疲れていると諦めてしまうもの。人は本来、もっと体を動かせ、頭の回転を高められるポテンシャルを秘めていますので、それを使わないのはあまりにももったいないこと。ヨガやマインドフルネスを通じ、皆さんの能力、可能性を高めていきたい。
望月里華:確かに、体調が悪くなるとメンタルの調子も悪くなりますし、逆もそう。この悪循環に陥ってしまうと働く意味、働きがいも考えられなくなります。心身ともに健康な状態で働き続けられるように皆さんをサポートできればと思っています。
吉田英史:そうですね。人間の体は、血流が良くないと病気になってしまいますが、社会も同じこと。私も涙活などを通じ、人を心身ともに健康にし、社会の血流を良くすることに貢献していきたい。
長又みほ:家庭に一人でもヨガをする人がいれば家族全員が幸せになるという話があります。それは会社でも同じ。人との接し方でも余裕が出てきて、不調和から調和に変わっていきます。ヨガには薬を飲むような即効性はないかもしれませんが、徐々にみんなが健康になり、幸せに満ちた世界をイメージしています。
須子善彦:今回のサービスでは、体と心と社会的健康の3つとも取り組めることがとても良いと思っています。一方、ヘルスハラスメントといった健康な人がそうでない人を追い詰めてしまうことがあってはいけませんし、自由に楽しみながら取り組める状況になればいい。「こうしなければいけない」という社会的規範から自由になって、偽りのない自分と社会が繋がり、一人一人が生きやすい世の中づくりを皆さんとしていけることを楽しみにしています。
3.価値を生み出す源泉は人
中家良夫:私自身、20代から40代にかけては経営層から降りてきた指示やプランを必死に遂行することにただただ必死でした。朝早く家を出て遅くに帰ってくる私を見て、何をしているんだろうと家族も不思議に思っていたようです。自分でもおかしな生き方、働き方をしてきたのかなと振り返っていますが、今の時代、私とは真逆な働き方、生き方が求められているのではないでしょうか。
浅野健一郎:確かに日本では就職で企業を選ぶ時も、やりたいことより、この会社に入れば安心だということで選んでしまいます。自分で起業する若者も世界と比べ圧倒的に少ない。本当に自分のやりたいことを諦めてしまい、会社を辞めることもリスクを恐れできず、会社にしがみつく。その連鎖が先ほどの『熱意あふれる社員』6%の話に繋がっているのだと思います。
樋口功:中家さんがおっしゃる通り、私より少し上の世代は、大量生産・大量消費の時代の中、少しでも安い商品を長時間労働によって作り、利益を出すというスタイルでした。それが、最近、アメリカでもGAFA、Uber、Airbnbなどの企業が市場を席巻し、有形資産より無形資産への投資の方が多くなっています。その結果、無形の価値を生み出せる人が求められていますし、利益や価値の源泉は人の頭の中にあるということが、世界的にも理解されてきた。健康経営が注目され、普及しているのもそのことと関係しているのではないでしょうか。
黄韵奇:なるほど。先日、健康経営に大変力を入れているアップコンさんに「社内の健康づくりをどうやって進めていますか?」とお聞きしたところ、2:6:2の法則で下の2の人はあまり動かないので、先に6の人たちに火を点けることが大事だと言っていましたね。
松尾隆和:確かに、私は全国の企業、自治体を沢山訪問していますが、1割の人は何も言わなくても運動しています。残りの人はせずにメタボやフレイルになってしまう。このままでは日本の医療制度も破綻しますし、9割の人にどうやって動いてもらえるかが課題ですね。
浅野健一郎:まさにその通りで医療費の視点で考えても2割の人が8割の医療費を使っていますので、まずはそこにアクセスできないと意味がない。一方、仕事のパフォーマンスということから言えば、できる人からどんどん能力を伸ばしていってもらうという考えもあります。その結果、できる人は資本となり、できない人はコストになってしまうということではないでしょうか。
4.日本発のグローバルスタンダード
樋口功:本当にそうですね。先ほどの2:6:2のお話の通り、企業においても2割の人が意欲的に働いている。IKIGAI WORKSの活動を通じて、この2割の人たち、つまり情熱溢れる人、資本となれる人たちの割合を増やしていきたいと思っています。
浅野健一郎:それと、今まで日本は他国が作ったISO(国際標準化機構)に準拠する側でしたが、健康経営のISOでは日本が規格を作る側になれています。これほど大きな体系のものとしては初めてのこと。ですから、「世界に打って出るんだ」という気持ちでこの健康経営のISOを事業戦略に利用してもらえればいい。日本発のグローバルスタンダードを生み出す企業が出てきてほしいですね。
熊倉:ちょうど1年前、働き方・生き方フェスを開催しましたが、こうして新会社、新サービスをスタートさせることができ、皆さんにはとても感謝しています。また1年後に何ができるか、何が起きているかと考えるとワクワクとした気持ちで一杯です。本日はありがとうございました。
【取材後記】
いよいよスタートした新会社『IKIGAI WORKS』、新サービス『LifeWorkers’』。一緒にサービスを推進してくれるソリューションパートナーの皆さんも、各分野の第一線で活躍する人ばかり。「人がコストではなく、資本になる」「働くことが義務ではなく、生きがいになる」。そんな理想に向かい、日本人の働き方・生き方を大きく変えていく第一歩がしっかりと踏み出されました。