【シリーズ:健康経営はじめました】キックオフミーティングに密着 「65歳まで楽しく元気に働け、業界で社員が一番幸せな会社を目指す」(Joyful喜一グループ①)

Joyful喜一グループは、1943年の創業以来、「感謝と喜びの商」「優秀なる人材の養成」を基本方針に掲げ、「世界の工具とアイデアで生産現場を元気にするプロフェッショナル企業」として、グループ5社の総合力で工具の価値を追究し、皆さまのお役に立つことを目指している会社です。そんなJoyful喜一グループが創業81年目を迎え、2025年本社新社屋完成を前に健康経営を始めることになりました。

健康経営をどのように進め、何を実現しようとしているのかキックオフミーティングに密着しました。

1.人生100年時代を元気に楽しく働くために

健康経営をスタートさせることになったJoyful喜一グループ。その発起人となったのが喜一工具の代表取締役社長の石川武さんです。

「健康経営を始めると聞くと何か物々しく感じる人もいるかもしれませんが、そんなに堅苦しいものではありません。私たちは1日の中で仕事に費やす時間が多いですし、寿命も伸び、定年が延長されるなどこれまで以上に長く働く時代になっている中、“どうせなら元気に楽しく働きたいよね”くらいの気持ちで気軽に始めてもらうのがいいと思っています。一応、私が発起人になっていますが、そんな大袈裟なものでなく、ただの言い出しっぺくらいに捉えてもらえればいいでしょう。

私がJoyful喜一グループに来たのが2022年の8月。その時、感じたことの一つに、人と人の関係がどこか冷めていて、コミュニケーションも表面的で少しよそよそしいなというものがありました。当時はコロナ禍でしたからそれが原因かもしれないとも思いましたが、コロナ禍が過ぎても印象はあまり変わりませんでした。

それで2023年、喜一工具の社長になった時、コミュニケーションを取りやすくし、社内に活気が生まれるように取り組みを始めました。その結果、雰囲気が少しずつ変わっていき、数字的にもまだまだとはいえ改善してきています。

その流れの中、今年(2024年)、パーパスを設定しました。パーパスとは簡単に言えば、その会社が目指すべき姿や方向のことです。私たちのパーパスとしたのが“人の手が支えるセカイを支える”。

このパーパスの根本には、一つのモノを大事に使っていこうという考えがあります。私たちの事業に関することで言えば、製品を簡単に捨てる、買い換えるのではなく、リペアやメンテナンスをしながら長く大事に使っていこう、そのための道具や手段を喜一工具は提供しているんだということです。

これを人財面に置き換えた場合、年齢を重ねるごとに人の体は少しずつ衰えていきますが、ケアしながら大事にしていこうということになります。つまりモノのケアが私たちの仕事ですが、イキイキと働き、幸せな人生を送るためには健康がとても大事だということです。これは人生100年時代と言われる今、Joyful喜一グループだけではなく、社会全体に関わる課題でもあります。

2024年はJoyful喜一グループの中期計画の最初の年でもあり、タイミング的にもちょうどいい。そこで、今年度から健康経営に取り組み、グループ全体として従業員の健康サポートに本格的に取り組みます。

とは言っても、先ほども触れたようにあまり堅苦しくなく、みんなでワイワイと楽しくやっていきたい。一番大事なのは、皆さんが去年より今年、昨日より今日、少しでも健康で楽しく働いていけるようになること。健診の数値なども大事ではありますが、「誰よりも自分が健康になろう」「あの人より健康になろう」といった話ではありません。自分自身が取り組んで本当によかったと思えることが大事です。ですから、今日お集まりいただいているプロジェクトチームの皆さんには、みんなが楽しく健康経営に取り組めるようになる旗振り役になってほしいと考えています」

続いてグループ代表として、Joyful喜一ホールディングス代表取締役社長の田中健一さんからのお話がありました。

「これまで私たちは工具で世界の生産現場を元気にしようというテーマで仕事をしてきました。それが幹部みんなで話しあって、果たして生産現場だけでいいのか、当社は工具屋なのかという話になり、それで改めてテーマを考えました。それが“人の手が支えるセカイを支える”です。

石川さんが言っていたようにこのテーマには、モノを大事に使おうという意味もありますし、何よりグループの従業員の皆さんの健康が大切なんだという想いが込められています。人生が長くなる中、定年についても60歳から65歳まで延長しようという話をしています。つまり、皆さんには65歳まで健康に働いていただきたいということです。

それもあり、今まで以上に従業員の健康が会社にとっても重要になっていますし、今回の健康経営の取り組みにぜひ皆さんご協力いただきたい。でも、石川さんも言ったようにあまり堅苦しくなく、楽しく、現場の人の意見を吸い上げながら、みんなでどんどん健康になっていきましょう!」

2.会社のテーマを実現する手段が健康経営

Joyful喜一グループの健康経営を伴走することになったIKIGAI WORKSの熊倉から今回の健康経営プロジェクトについての説明がありました。

「今、田中社長から定年を65歳までに延ばすといった素晴らしいお話がありました。長く元気に働くためだけでなく、幸せな人生を送るために心身の健康が大事ですし、取り組みの入口として健康経営はまさに最適な手段です。

皆さんの中には、なぜ個人の健康に会社が口出しするんだ、と反感を持たれる方もいるかもしれません。ですが、トップ自ら「あなたの力が必要だ、65歳まで元気に働いてほしいんだ」と一人一人に熱く語りかけ、従業員のことをここまで大切に思ってくれる企業は実は少数です。例えば、中小企業が350万社ある中、健康経営優良法人の申請をしているのは1万7千社しかありません。

ですから、あまり難しく考えず、この機会を利用して「自分自身が元気に働くため、長くなった人生を楽しく過ごすために健康になろう」というスタンスで取り組んでいただけたらいいですし、そのために私たちIKIGAI WORKSが伴走させていただきたいと思っています」

ここで喜一工具、エスコ、小川善、Joyfulインポートツールズから選ばれた健康経営プロジェクトメンバーの紹介がありました。

「プロジェクトチームの皆さんにまずやっていただきたいことの一つが、今回の健康経営の目的やテーマの設定です。と言うのも健康経営のゴールは、従業員を健康にすることではないからです」と熊倉。

健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する取り組みのこと。従業員が健康になることで業績向上や組織の活性化に繋げるものです。つまり従業員の健康はあくまで土台となるもので、その土台の上に何を築いていくかということ。

「例えば、先ほど田中さん、石川さんからグループのテーマである“人の手が支えるセカイを支える”の説明がありましたよね。これは、この会社はなんのために事業を展開しているかということを示すもの。それと同じように今回の健康経営を何のためにするかという目的やテーマをプロジェクトチームの皆さんに決めてほしい。そして、プロジェクトの名前も考えてください。

ただ、一つお願いがあります。それは、“健康経営優良法人認定プロジェクト”という名前だけは避けてほしいということ。健康経営優良法人の認定はプロセスであって目的ではありません。そのプロジェクト名を見たとき、従業員の皆さんが何のために健康経営に取り組むのか理解できる名前にしてほしい」

田中社長が熊倉の話を整理、補足してくれます。

「毎年3月に国が健康経営優良法人を認定します。それが先ほどの熊倉さんのお話にあったように申請をしているのが2023年度に1万7千社あり、そのうちのトップ500社がブライト500と呼ばれます。この認定が目的ではありませんが、グループのみんなが健康になる取り組みをした結果、国の認定も受けられたらいいというのがプロジェクトの趣旨です。

例えば、タバコを止めるにはどうすればいいか、健診の数値を改善するためには何をすればいいか、といった具体的な取り組みのアイデアも皆さんと一緒に考えていくことになります。そして、秋にグループの全従業員を集めた説明会を開き、健康経営の目的やテーマ、プロジェクト名を発表。グループ全体で共有して取り組みを始めます。そして健康経営優良法人の申請をしてトップ500であるブライト500に入れれば最高だという流れです」

熊倉が続けます。

「おっしゃる通りです。先ほどプロジェクトメンバーの皆さんも口々に楽しんでやりたいとおっしゃっていました。まさに社名のJoyfulを体現しようとする姿を見て、今回の健康経営は必ず成功すると確信しました」

3.社内外に発信することで採用などにも効果

ここで健康経営に取り組むことのメリットについても話し合われました。

「認定そのものが目的ではないが、認定を受けると採用など外部へのPRにもなると熊倉さんにお聞きしました。例えば、中途や新卒の採用がしやすくなったり、名刺に認定されていることを記載すると、受け取った相手からの信頼感も増すとのこと。人を大事にしている企業であることを周りからも認知してもらうことで採用やビジネス上のメリットが生まれていくのは、経営者としてもとても嬉しいことです」と田中社長。

それに対して熊倉はこう答えます。

「そのためにも、今回、御社の健康経営の伴奏者になるだけでなく、そのプロセスや結果を私たちのほうで記事などにまとめ、社内外に発信していくお手伝いもさせていただきます。

田中さん、石川さんのようにここまで従業員を大事に考え、行動に移している会社は珍しい。そのことを従業員の皆さんに再確認してもらい、働きがいに繋げられたらいいですし、従業員だけでなく、そのご家族にも伝えて安心してもらいたい。こんなに人を大事に考えている会社だということを社内外に発信することで様々な効果が生まれていきます」

4.Joyful喜一らしさ、自分らしさを表現する

最後に石川さんから提言がありました。

「一つ知っておいてもらいたいのが、健康経営とは病気の人がいるから治療しましょう、病気の人をなくしましょう、といったマイナスをゼロにすることではないということ。今よりもプラスにすることが目的です。例えば、あるブライト500認定の運送会社さんは、ドライバーの方は仕事柄、食事が不規則になったり、インスタント食品に頼ったりしがちなので朝食を会社で用意したり、歯ブラシを配ったりしています。さらに地域貢献活動にも力を入れ、社員の栄養士さんが地域の方々にも体にいい食事についてのレクチャーをしたり、LGBTQの方が働きやすい環境を整えています。

すると運送会社は人手不足で悩んでいるところが多いのですが、その会社には宣伝せずとも人が集まってくる。今では簡単に入社できないほどの人気の企業になっています。つまり今の自分達の課題、地域や社会に何ができるかを考えることが先にあって、それを解決したり、実現したりするためのことをしていると結果的にブライト500認定の要件を満たす会社になります」

熊倉がその言葉を受けて言います。

「まさにその通りで健康経営で大事なのは、Joyful喜一グループらしさをどう発揮していくか。自社らしさ、そして自分らしさをどう表現していくかということ。みんなと元気に楽しく働ける環境をどう作っていくかでもいいですし、自分達がワクワクすることに取り組んでいってほしいと考えています」

【取材後記】

Joyful喜一グループの健康経営キッフオフミーティングは、新しい何かが生まれるという期待感に満ちたものとなりました。そして、健康経営と聞くと「何から始めたらいいのか」「優良法人認定の申請はどうすればいいか」といった話になりがちですが、シンプルに今より元気に楽しく働けるようにする、それが会社の経営にも良い影響を及ぼすという健康経営の本質についても再確認させられました。さらには、健康経営はその会社らしさを表現する手段でもあるという話には目から鱗が落ちる思いがしました。Joyful喜一グループが「楽しく元気に65歳まで働くために」「業界で社員が一番幸せな会社になるために」どんな取り組みをし、それが会社をどう変えていくのか今から楽しみでなりません。引き続き取材していきます。

 

<企業データ>

会社名:Joyful喜一ホールディングス株式会社

事業内容:国内外有名機械工具等の卸販売及び輸出入業務

所在地:〒578-0965 東大阪市本庄西2-6-11

資本金:9,500万円

社員数:231名(男子155名・女子76名)

 

会社名:喜一工具株式会社

事業内容:国内外有名機械工具等の卸販売及び輸出入業務

所在地:〒578-0965 東大阪市本庄西2-6-11

資本金:2,000万円

社員数:108名(男子74名・女子34名)

 

会社名:株式会社エスコ

事業内容:工場・工事現場・オフィス・ビル等施設で使用する工具、機器、部品、消耗品、備品類の卸売り業及び 自社製品の企画開発。

所在地:〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀3丁目8番14号(本社建替工事中)

※仮本社所在地:〒550-0013 大阪府大阪市西区新町4丁目14番12号

資本金:2,000万円

社員数:67人(男子45名・女子22名)

 

会社名:小川善株式会社

事業内容:国内機械工具および輸入工具の販売、機械器具設置業、建設工事業

所在地:〒578-0965 東大阪市本庄西2-6-11

資本金:2,000万円

社員数:14人(男子13名・女子1名)

 

会社名:Joyfulインポートツールズ株式会社

事業内容:国内外メーカーやブランドの工具の販売

所在地:〒224-0007 神奈川県横浜市都筑区荏田南1-17-4

資本金:1000万円

社員数:7人(男子5名・女子2名)

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