【イベントレポート】ウェルビーイング共創ワークショップ開催 「共創」が生み出す「Z世代採用」の未来

企業が抱える課題は、社内だけでは解決策が見つからないことが多々あります。そんなときこそ、業界や企業の枠を超えた「共創」の力を活用してはいかがでしょうか。共創とは、異なる視点や知見を持つ者同士が対話を重ね、新しい価値を生み出すこと。一社では解決できない課題も、共創の力で突破口が見えてくる。 そんな実感を得られる場が、ウェルビーイング共創コミュニティーです。会員企業を中心とした第1回目のワークショップが開催されました。

〔ウェルビーイング共創コミュニティー会員企業〕
木下力哉(三幸土木株式会社 代表取締役社長)
宮路浩貴(三幸土木株式会社 企画業務部部長)
木村識名(三幸土木株式会社 企画業務部主任)
岩井健治(TIS株式会社 代表取締役)
岩井準子(TIS株式会社 取締役 経営戦略室長)
笠間力(株式会社カサマ 代表取締役)
玉腰 純平(株式会社トップライン 係長)
米澤友海(株式会社ハンナ 経営管理部総務課)
伊藤正樹(ハートランス株式会社 安全品質管理室長)
塗野直透(一般社団法人EHTICAL EXPO JAPAN 代表理事)
他3社 3名

〔講師〕
飯田貴将(一般社団法人EHTICAL EXPO JAPAN)
田守那瑠(一般社団法人EHTICAL EXPO JAPAN)

〔モデレーター〕
熊倉利和(IKIGAI WOKRS株式会社 代表取締役)

1.共創が叶える「Z世代の採用」

「1人より仲間と。1社より共創」

これはウェルビーイング共創コミュニティーが大切にしているコンセプトです。

この日、ウェルビーイング共創コミュニティー会員企業8社が集まり、それぞれが直面する共通の課題について率直な意見交換が行われました。テーマは「Z世代の採用」。

「いい人財を採用したいのに、なかなか応募が来ない」

「やっと採用できても、すぐに辞めてしまう」

そんな悩みを抱える企業は少なくありません。少子化の影響に加え、価値観や働き方の変化により、Z世代の採用はますます難しくなっています。

多くの企業が、採用方法を見直したり、魅力的な制度を構築したり、SNSでの情報発信を強化したり——。それでもうまくいかないのが現状です。

では、どうすればよいのでしょうか?

こうした答えを一緒に探す場として、ウェルビーイング共創コミュニティーがあります。業界や企業、世代の枠を飛び超えて、問題をシェアし、対話し、思いをわかちあうことで、どんな変化が生まれるのでしょうか。

実現可能は工夫とは? 何がうまくいって、どこに壁がある? 対話を重ねることで、これまで見えなかった課題や解決策が浮かび上がっていきます。そんなウェルビーイング共創コミュニティーのワークショップ第1回。Z世代の採用を成功へ導くヒントの数々が生まれました。

2.Z世代の本音を知れば採用は変わる

今回のワークショップの講師は、一般社団法人 ETHICAL EXPO JAPAN の専務理事、27歳の飯田さん。彼自身がまさにZ世代です。

ETHICAL EXPO JAPAN は、「エシカル×ビジネス×Z世代」 をキーワードに、サステナブルな社会づくりを目指す企業や団体が集う、日本最大級の共創プラットフォームです。

Z世代を巻き込んだイベントを企画したり、企業と学生をつなげて採用に結びつけたり。未来の働き方や価値観をアップデートする挑戦を、次々と仕掛けています。

今回のワークショップでは「Z世代の採用」をテーマに、Z世代だからこそ語れるリアルな現状を明かしました。

飯田さんいわく、現在、Z世代の採用が難しくなっている理由は、少子化だけではない、とのこと。高年収の外資が参入してきたことで、優秀な人財が大企業だけでなく外資にも流れ、中小企業の採用はますます厳しくなっています。

「『企業が人を選ぶ』時代から、『人に選ばれる企業』だけが採用できる時代に」

今やそんな変革が起こっているのです。

だからこそ、優秀な人財を採用するには、自社の魅力を積極的にPRすることが不可欠。そのためには、Z世代の価値観や行動を冷静に分析することが重要です。

では、現在の求職者であるZ世代の若者たちは、どのような特徴を持っているのでしょうか。わかっているようで見えにくいZ世代の特徴。経営者、健康経営の担当者、そしてZ世代の若者たちが垣根を超えて熱く語り合って共有した特徴が以下の通りです。

〈Z世代の特徴〉

◎インターネット、SNSによる情報発信の中心にいる世代

◎情報をキャッチするスピードが速い

◎承認欲求が高く、人の目を気にする一方、炎上を恐れて慎重な行動を取る

◎電話で話すことが苦手

◎ショッピングのプラットフォームはあまり使わず、安く入手できるなら個人からでも購入する。個人間での取引を積極的に行う

◎推し活に熱心

◎会社の飲み会には参加しない人が多く、参加しても二次会には行かない

◎実は年配者と飲みたいと思っているが、50代のほうが気を遣い、飲み会に誘わないことが多い

◎一社に長期的に勤める意識が低く、3年で転職を考える傾向がある

◎Z世代の技術実習生は、日本のZ世代とは異なり、昭和的な価値観を持つ人が多い

◎近しい人とは密にコミュニケーションを取るが、遠い関係の人との交流には苦手意識が強い

◎「Z世代はこうだ」と決めつけられることを嫌う

3.Z世代に刺さる採用PRとは?

なぜ、Z世代の特徴を理解することが採用成功につながるのでしょうか?

その理由は、Z世代の価値観が多様化しているからです。誰にでもウケそうな無難なPRでは、誰の心にも響きません。

「オシャレなオフィス」「柔軟な働き方」—— こうしたテンプレート的なPRは、Z世代には刺さらないと、飯田さんは断言します。彼らが本当に求めているのは、「この会社だからこそ働きたい」と思える理由。「自分が必要とされている」と実感できる職場なら、外資・大企業・中小企業の垣根を越えて選ばれる可能性が高まるとのこと。

そのためには、何が必要でしょうか?

飯田さんが強調したのは、「採用にもペルソナ設定が必要」ということです。

年齢、居住地、大学、学生時代に情熱を注いでいたこと、人間関係、趣味に至るまで詳細に人物像を明らかにする。その際、軸となるのは、自分たちの会社のビジョンです。

昔のように「とりあえず若手を採用しよう」というザックリしたターゲティングでは、Z世代には刺さりません。1年後、10年後の会社の未来を見据え、「この人が必要だ」と確信を持てるペルソナを描くことが、採用成功の第一歩です。

「Z世代の採用がうまくいかない」と悩んでいる企業こそ、採用にもペルソナを設定すべき。この考えに、参加者から「たしかに!」「そういうことか」と共感の声が上がりました。

4.「つながり」から生まれる、新しい採用戦略

株式会社ハンナの経営管理部総務課・米澤さんから、ペルソナ採用に関する質問がありました。

「ペルソナを設定しても、その人物とどうつながり、どのようにPRすればいいのかわからない」

この問いに明快に答え、参加者を「なるほど!」とうなずかせたのが、ETHICAL EXPO JAPANの代表・塗野さんです。

「ペルソナの類似ユーザーがいるコミュニティーと、直接つながることが採用成功の秘訣です」

たとえば、ペルソナと似た価値観や興味を持つ人が集まる部活・学生団体・サークルなどのコミュニティーに直接アプローチする。そこには、同じ情熱や志を持つ仲間たちが集まっています。そのコミュニティーに協賛することで、イベントや打ち上げに招かれ、自然な形で「自分たちが求める人財」である学生たちと良好な関係を築くことができます。

さらに、協賛企業としてイベントで挨拶する機会を得れば、企業の魅力を伝えるだけでなく、「この会社で働くことで、どんな未来が描けるのか」を鮮明にイメージしてもらうことが可能となります。

この方法は、採用の精度を高めつつ、コストも抑えられる「一石二鳥の戦略」。実はETHICAL EXPO JAPANが企業の採用サポートを行う際の秘伝の手法でもあるとか。Z世代と直接つながり、会話を重ねることで、彼らに響くアプローチを行っていけるのです。

実際、Z世代の採用は中小企業単独ではますます難しくなっているのが現状です。一方で、Z世代は、 働きがいやワークライフバランスを重視します。健康経営やウェルビーイングを取り入れる企業は、Z世代にとって魅力的な職場と映り、採用の強みにもなります。だからこそ、企業同士が情報を共有し、成功事例を学び合うことで、新たな採用戦略を共創していくことが、これからの時代には不可欠なのです。

今回のワークショップは、ウェルビーイング共創コミュニティー会員企業が共に新たな価値観を創り出す第一歩となりました。今後、さらに多くの企業がこの場に参加し、Z世代に選ばれる企業へと進化していくことでしょう。

【取材後記】

「なるほど、そういう視点があったのか!」。そんな声が上がった今回のワークショップ。異業種の企業とZ世代が集まり、「Z世代の採用」というリアルな課題を共有することで、多くの新たなヒントが得られました。「自社だけでは気づけなかった視点が得られた」「採用戦略を見直すきっかけになった」。そんな実感の声も多く、共創の力を改めて感じる時間となりました。企業の枠を超えた対話が、新たな未来をつくる 次回のワークショップでは、さらに深い議論が生まれることでしょう。皆様の参加をお待ちしています。

 

 

 

 

 

 

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