【シリーズ:健康経営はじめました】プロジェクトメンバーが躍動。健康宣言を具現化するため、活発に議論し、プランを策定していく(Joyful喜一グループ③)
前回までに健康宣言や健康ビジョンの策定などの第一フェースを終えたJoyful喜一グループの健康経営(プロジェクト名『Joyfulトマト』)。今回からは第二フェーズに突入。経営陣は一旦ミーティングから外れ、具体的な健康施策や現状を把握するためのアンケートを作成。同時に健康経営優良法人認定の申請準備も進めていきます。
〔Joyfulトマトメンバー〕
下市 大貴(喜一工具 EC課)
柄井 菜々美(喜一工具 購買課)
間瀨 佳寿美(喜一工具 カスタマー2課)
山口 陸(喜一工具 ITS 課)
桐原 可南子(喜一工具 購買課)
岡本 亜耶(エスコ カスタマーサービス課)
今西 飛翔(エスコ 仕入課)
元村 真由美(小川善 大阪営業所)
小林 正隆(Joyfulインポートツールズ ECチーム)
古仲 奈津美(Joyful喜一ホールディングス 経営管理1課)
〔進行〕
濱野 康行(Joyful喜一ホールディングス 経営管理部)
〔プロジェクト伴走者〕
熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)
1.健康宣言の具現化と優良法人認定を同時進行
Joyful喜一グループの健康経営プロジェクト(Joyfulトマト)の第二フェーズの最初のミーティング。プロジェクトの伴走者を務める熊倉がまず口を開きます。
「前回まで皆さんには、健康宣言や健康ビジョンの策定に取り組んでもらいました。それぞれの想いや特徴が見事に表現され、本当に素晴らしく感動しました。今回からは、その健康宣言や健康ビジョンを具現化するための第二ステージに入っていきますが、それと同時に健康経営優良法人認定の申請準備も進めていきたいと思います。
以前も言いましたが、認定を取ることが今回のプロジェクトの目的ではありません。大事なのは健康経営によってJoyful喜一グループの皆さんが楽しく、生き生きと働けるようになることだからです。ただ、国(経産省)の基準に照らし合わせてみた場合、自分たちはここまでできている、ここは足りていないと客観視し、視野を広げるいい機会になりますから、そこは伸びしろと捉えてもらえればいいのではないでしょうか」

そして、本題である健康宣言、健康ビジョンの具現化に入っていきます。その流れは、現状把握、課題抽出、課題解決案の作成です。熊倉が説明します。
「Joyful喜一グループ各社が今、どんな課題を抱えているかを浮き彫りにし、解決するためには、まず従業員の年齢や性別の割合、平均勤続年数、入社人数と離職人数、健康診断の受診率、残業時間、有休取得率、喫煙率など現在のデータを確認する必要があります。
それらを見ながら、前回までに各社が作った「ミドルシニアの活躍」「持続可能性」「工具愛」といった健康宣言、健康ビジョンを形にするには、これらの数値をどう変えていけばいいのかということを皆さんで議論してみてください」
続いて濱野さん(Joyful喜一ホールディングス)が現状について説明します。
「まず従業員(パートも含む)の男女比ですが、グループ全体で言いますと男性が155名(64%)、女性が87名(36%)。ホールディングスを除けば、各社とも男性の割合が多くなっています。ただ、30歳未満に限ると逆に女性の方が多い。つまり、若い女性の割合が増えているが、同時に男性従業員の高齢化が進んでいるということです」
2.データから読み取れる課題とあるべき未来像
濱野さんからの報告を受け、メンバーが早速反応。そして以下のような議論が交わされます。
元村(小川善)「こうして各グループ会社の性別や年齢層を見ると、やはり仕事の内容の影響がだいぶ強く出ている印象です。たとえば、私のいる小川善はユーザーさんの工場回りが多く、重いものを持ちながら夏の暑さ、冬の寒さの中でも仕事をしますので、どうしても体力のある男性の割合が多くなるのは腑に落ちます。ただ、果たしてこのままでいいのかという気持ちもあります」
岡本(エスコ)「そうですね。実際、今年、エスコも新入社員の大半が女性です。それを踏まえても、女性が長く働ける環境づくりに着目した方が良いと思います」
柄井 (喜一工具)「喜一工具に関しては、去年から産休や育休制度の充実に力を入れており、私たち女性もとても働きやすくなっていますが、それをグループ全体に広めていきたいですね」
下市(喜一工具)「それについては大賛成です。ただ、その一方で現段階ではベテランの男性が多いので年齢層の高い男性のための健康施策も欠かせないですよね」
山口(喜一工具)「確かに。若い女性の入社が増えたということは、逆に言えば男性が減ったということ。どうして若い世代の男性の入社が減少傾向にあるのか、その要因や影響についても考える必要があるのではないでしょうか。今だけでなく未来の動きを推測しながらプロジェクトを進めていくべきでしょう」

勤続年数について触れるメンバーもいます。
小林(Joyfulインポートツール)「こうしてデータを見ると、Joyfulインポートツールは他のグループ会社に比べ平均勤続年数が短いことがわかります。まだ若い会社(2018年設立)なので体制作りがしっかりできていないのが原因の一つかもしれません。そういう意味でも今回の健康経営によって改善するべきところが他のグループ会社より多くなると感じています」
さらに採用と離職についての意見も出てきます。
間瀨(喜一工具)「この年齢比のグラフ全体を見ると30代から40代という中堅層も少ないですよね。これからの課題は性別や年齢に関係なく全体的に離職率を下げて、新卒で入ってきた人にも、ずっとここで働きたい、と思ってもらえる魅力的な会社にすることが大事なのかなと思います」
濱野(Joyful喜一ホールディングス)「確かに採用と離職率は次世代につながる非常に大事なテーマですね。データを見てみましょう。まず採用人数ですが、直近3カ年でグループトータルとして3年前は9名、2年前は14名、1年前は20名と人財採用に成功しています。一方、退職者は3年前で22名、2年前で17名、1年前で9名と減少傾向にあります」
このやりとりを見ていた熊倉が言います。
「早くも採用や勤続年数などにも踏み込み、メンバーの皆さんから活発な意見が出てとてもいい感じですね。この調子で健診の受診率、喫煙率、有給消化率といった数値についても読み解きながら皆さんで意見を交換していかれるといいと思います。
Joyful喜一グループに共通する課題もあるでしょうし、グループ会社ごとに異なる部分もあることでしょう。初年から全部に取り組むのは難しいとなれば、何からやっていくのか優先順位を決める必要がありますし、それを『重点推進計画(3か年)』に落とし込んでいってください」
ちなみに、健康経営で解決したい経営上の課題の一般的な例としては「従業員のパフォーマンス向上」「組織の活性化」「人材定着や採用力向上」などが挙げられます。
3.アンケートによって従業員のニーズと現状を把握
ミーティングを重ねるごとにメンバーたちの自主性が高まり、グループ各社の課題も明確になってきます。たとえば、小川善は運動や食事に着目し始めました。
元村(小川善)「実は、現状値を知りたくて従業員に運動や食事などについての簡単な意識調査をしました。その結果、運動不足を感じている人の割合が全体の70%以上を占めました。これはあまりにも多すぎますので毎年20%ずつ下げていき、最終的には割合が逆転するような取り組みをしていきたいと考えています」
有給休暇の取得率に着目するメンバーもいます。
小林(Joyfulインポートツール)「ウチで今一つのポイントとして考えているのが有給休暇の取得率アップです。そのために“有給休暇をきちんと取れていますか?”“有給休暇には有効期限があることを知っていますか?” “有給休暇の申請をしにくいと感じますか?”などのほかに、有給休暇を自分のリフレッシュではなく、用事のために仕方なく使ってしまっていないかについても聞きたいと思っています。
そうやってアンケートを通じて知識や意識を高めてもらい、もっと有給休暇を取ろうと思ってもらえる環境づくりをしていきたい。食事の時間や睡眠時間、リフレッシュするための時間を普段から作れていますか?という質問もそこに関連していくのではないでしょうか。
その他にも、“禁煙したい人には支援制度があるのを知っていますか?” “健康診断の結果でわからないところはありませんか?” “健康診断の結果に不安がある場合、相談できる窓口があることを知っていますか?”といったことをアンケートの項目に入れたいと思います」
4.課題解決のための施策案が形になってきた
そして、メンバーだけのミーティングが10回目を迎える頃には、課題解決のための施策案も形になってきました。たとえば、グループ全体に共通する課題や特徴もあれば、グループ会社ごとの違いもあります。グループ全体と各グループ会社の取り組みの棲み分けをどうするのか、どうやって一つのプロジェクトとして進めていくかという懸念がありましたが、それに対してメンバーが出した答えは“2階建て”です。
つまり、1階はグループ共通の取り組み。具体的には「平均有休消化日数を10日以上にする」「年齢や役職に応じた健康診断の実施」などです。そして、2階がグループ会社ごとの取り組みです。
Joyful喜一ホールディングスの2階の施策案を見てみると、健康サークル活動の実施といったことが見受けられます。

濱野(Joyful喜一ホールディングス)「この健康サークル活動は、体を動かして汗を流すとともにコミュニケーションを深めるというものです。たとえば、バドミントン、卓球、ボーリングなどのイベントを従業員の声を吸い上げながら年4回行うことを考えています。健康はもちろんのこと、あれをやりたい、こんなのはどうだろうと企画したり、準備したりすることも含め、従業員同士のコミュニケーションを深めてもらうことが目的です」
健康施策案だけでなく、同時に従業員へのアンケートの準備も進めていきます。
下市(喜一工具)「喜一工具としてこんな取り組みを考えています、ということを従業員説明会で発表させてもらった後に、それらの取り組みについてどこまで理解できているか、どう思っているかをアンケートで聞きたいと思っています。たとえば、“ラジオ体操を復活させることに賛成ですか、反対ですか?” “こんな健康イベントを考えていますが、どう思いますか?” “リモートでの懇親会を開催したら参加したいですか?”といったアンケートを取り、反対が多ければ、別の案を考えたりとフレキシブルにやっていきたいと思っています」
5.健康の先にある働く人の幸せと会社の成長
皆さんの話を聞き終えた濱野さん(Joyful喜一ホールディングス)はメンバーに語りかけます。
「こうして皆さんと話し合ってきたプラン作りもほぼほぼ形になってきました。この内容を2024年10月2日の従業員説明会で発表したいと思います。そして優良法人認定の申請準備も進めていきます。この従業員説明会が本当の意味でのJoyfulトマトのキックオフだと思いますし、仮に健康経営優良法人認定を受けられたからといってそこで終わりではありません。むしろこれからの取り組みが大事になってきます」
熊倉が最後に言います。
「本当にそうですね。健診の数値が改善した、みんなが健康になってきた、優良法人認定を受けられてよかった、で終わらせるのはあまりにももったいないと思います。たとえば、どうすればもっと仕事に楽しく取り組めるのか。やりがいや働きがいを感じられるようになるのか。会社のパーパスと一人ひとりのやりたいことが結びつくことが働く人の幸せにつながり、会社を成長させる原動力にもなります。そのステージに登っていくお手伝いもぜひさせていただければと考えています」
【取材後記】
経営陣は一旦ミーティングから外れ、自分たちだけで取り組んだ今回の課題の洗い出しやその解決案の策定において、実に見事な結果を残してくれたメンバーたち。ただ、ここに来るまで全てが順調だったわけではありません。通常の業務をこなしながらでしたので予定通りに進まないことも度々ありましたし、グループや会社全体の課題解決に自分自身が取り組むことにメンバーが萎縮し、プロジェクトが停滞してしまう時期もありました。それを打ち破ったのが今回のプロジェクト『Joyfulトマト』を何のために行っているのかという立ち返り。「自分たちが楽しく生き生きと働くため」、そして「ミドルシニアの活躍」「工具愛」「持続可能性」といった会社のテーマを実現するためにあることを再確認した後のメンバーの活躍には目を見張るものがありました。
特に驚かされたのは、現状のデータから課題を読みとり、今後の採用戦略に踏み込むなど、メンバーが自主的に考え、動いていったこと。健康経営は従業員が健康になることで一人ひとりのパフォーマンスが高まったり、アブセンティーズム(心身の不調を原因として従業員が欠勤や遅刻、早退、休職などをし、業務が行えない状態)を防ぐだけでなく、様々なメリットをもたらすことを改めて教えてくれました。たとえば、従業員が健康課題だけでなく、その先にある経営課題を自分ごととして考えることは、従業員の成長や働きがいにも繋がっていきます。そのことを証明してくれる今回のメンバーの皆さんの活躍ぶりでした。ますます熱気を帯びてきたJoyfulトマト。次回はメンバーが作った健康宣言やプランを従業員全員に伝える説明会の様子をお届けします。
【シリーズ記事一覧】
・【シリーズ:健康経営はじめました】キックオフミーティングに密着 「65歳まで楽しく元気に働け、業界で社員が一番幸せな会社を目指す」(Joyful喜一グループ①)
・【シリーズ:健康経営はじめました】健康宣言を策定。「真っ赤なトマトの実りのように人を大切に育んでいく」(Joyful喜一グループ②)
・【シリーズ:健康経営はじめました】プロジェクトメンバーが躍動。健康宣言を具現化するため、活発に議論し、プランを策定していく(Joyful喜一グループ③)
・【シリーズ:健康経営はじめました】従業員説明会でメンバーが熱くプレゼンテーション。健康経営が本格的に動き出す(Joyful喜一グループ④)
<企業データ>
会社名:Joyful喜一ホールディングス株式会社
事業内容:国内外有名機械工具等の卸販売及び輸出入業務
所在地:〒578-0965 東大阪市本庄西2-6-11
資本金:9,500万円
社員数:231名(男子155名・女子76名)
会社名:喜一工具株式会社
事業内容:国内外有名機械工具等の卸販売及び輸出入業務
所在地:〒578-0965 東大阪市本庄西2-6-11
資本金:2,000万円
社員数:108名(男子74名・女子34名)
会社名:株式会社エスコ
事業内容:工場・工事現場・オフィス・ビル等施設で使用する工具、機器、部品、消耗品、備品類の卸売り業及び 自社製品の企画開発。
所在地:〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀3丁目8番14号(本社建替工事中)
※仮本社所在地:〒550-0013 大阪府大阪市西区新町4丁目14番12号
資本金:2,000万円
社員数:67人(男子45名・女子22名)
会社名:小川善株式会社
事業内容:国内機械工具および輸入工具の販売、機械器具設置業、建設工事業
所在地:〒578-0965 東大阪市本庄西2-6-11
資本金:2,000万円
社員数:14人(男子13名・女子1名)
会社名:Joyfulインポートツールズ株式会社
事業内容:国内外メーカーやブランドの工具の販売
所在地:〒224-0007 神奈川県横浜市都筑区荏田南1-17-4
資本金:1000万円
社員数:7人(男子5名・女子2名)