【シリーズ:健康経営と大学連携】江島ゼミ生、最終報告会でプロジェクトの成果を発表し、高い評価を受ける(かちぞうゼミ2023 第4回)

大阪経済大学経営学部の江島由裕ゼミとタッグを組んで実施しているかちぞうゼミ(※1)のPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。テーマは『学生とIKIGAI企業で創る新しい就活のカタチ』-学生とIKIGAI企業の交流&就活プラットフォームづくり- 。今回は半年間の活動の成果を発表する最終報告会の様子をお伝えします。

〔江島ゼミ生〕大林由依 俵美愛 野村果音 水元紗理 吉岡尚哉

〔IKIGAI WORKS〕熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)

須子 善彦(マイプロジェクト代表取締役/IKIGAI WORKS取締役)

1.本当に自分のやりたいことと出会うために

2023 年11月26 日(日)、関西大学梅田キャンパスで開かれた『第 9 回産学連携かちぞう zemi★最終報告会』。江島ゼミ×IKIGAI WORKS 株式会社は2番目の発表となりました。

まず吉岡尚哉がプロジェクトのテーマを説明します。

「今回のプロジェクトを始めるに当たり、私たちにはあるモヤモヤがありました。それは、健康経営に取り組むなど企業側は変化している。しかし、学生は依然とネームバリューや周りの評価にとらわれて企業を選んでしまっている。この二つの齟齬に私たちはモヤモヤを感じ、それを解消したいと考えました」

つまり健康経営に取り組むなどして、人をとても大切にしている中小企業が増えているのに、それが学生に伝わっていない。一方、学生は、ネームバリューや周りの評価ばかり気にしていて、本当に自分が働きたい仕事や企業を見つけられずにいる。

このミスマッチを解消したいという熱い想いが江島ゼミ生たちの大きなモチベーションになったと言います。そして、「自分にとって良い職場/会社とは?」「どうすればマイモノサシ(就活などの際、働きがい・生きがいを感じられる企業の指標)を発見できる?」をテーマに定めたとのこと。

そもそも「良い職場/会社」とは何だろう、と江島ゼミ生たちは考え始めます。プロジェクトのスタート時点で話し合ったところ、「給与が高い」「残業がない」「ハラスメントがない」など様々な意見が出てきたと言います。

つまり「良い職場/会社」の定義は一つではない。それぞれ違う価値観を持っており、その一人ひとり違うマイモノサシを探求していくツールとしてマイプロジェクト(※2)を活用することにしました。

大林由依がマイプロジェクトの説明をします。

「マイプロジェクトでは、マイプロシートと呼ばれるものを使います。マイプロシートは、自分の人生を振り返るMe編と、これからの人生でやりたいことを記入するPROJECT編に分かれています。例えば私の場合、マイプロシートを作成することで、陸上競技を13年間続けてきた経験も踏まえ、自分が好きなことだからこそ長く続けられているということが見えてきました。そこで、“自分のしたいことを実現できる”をマイモノサシとしました」

このプロジェクトの期間中、江島ゼミ生は、2023年8月28日、愛知県の三幸土木さんで開かれたスタディツアーに参加。健康経営を実践するホワイト企業の経営者の皆さんにインタビューをし、バーベキューなどのイベントも行い、交流を深めていきました。

野村果音が言います。

「私は、保険事業を幅広く展開するティ・アイ・エスの岩井社長にインタビューしました。岩井さんはお客様が本当に必要な商品を多くの選択肢から選んでいただきたいという想いから保険ショップを立ち上げた方。そんな岩井さんのマイプロジェクトが“関わる全ての人をハッピーにする”。

保険事業を通じてお客様を幸せにするだけでなく、社内でも健康経営を活発に行い、従業員を幸せにすることに力を入れている岩井さんの想いや考えに触れることができ、とても感動しました。そして、私自身、世界中の人を幸せにする事業に関わりたいという想いが芽生えました」

経営者へのインタビュー後、江島ゼミ生のマイモノサシにも変化があったと言います。例えば、「自分のしたいことを実現できる」をマイモノサシとしていた大林由依は「実現には主体性を持つことが大切」、「一人一人の個性を尊重してくれる」としていた水元紗理は「職場での対話が大切」となり、より具体的なものへと変わっていきました。

2.マイモノサシを見つけるためのツール作成

自分自身のマイプロジェクト(マイプロシート作成)、経営者へのインタビューを通じ、自分が仕事に求めていることや働くことの意義などについての考察を深めていった江島ゼミ生は、他の学生にも同じような体験をしてもらうことができないだろうかと考えます。そして、マイモノサシを発見することに役立つツールづくりにも挑みました。その名前が「かちノシス」。コンセプトは「質問に答えて、自分を知ろう!」

俵美愛が説明します。

「まず“給与が高い”“休日・休暇が多い”“福利厚生が充実している”など20の質問を用意し、その中から会社選びで重要視することを選んでもらいます。その上で会社選びについてのアドバイスをするとともに、その人に合った企業を紹介するのが、かちノシスの役割です。今回は、学生に自信を持って薦められる企業(エーオーエーアオバ/トップライン/大橋運輸/尾畑長硝子/ティ・アイ・エス)の紹介ページを張り、企業HPはもちろん、ゼミ生が作成した企業の紹介チラシや経営者のマイプロシートを見ることができるようにしました」

水元紗理が最後に今回のプロジェクトの成果をまとめます。

「マイモノサシやマイプロジェクト、かちノシスを通して、価値観の変化を体験することができます。それは学生にとって、今までにない企業の選び方や知り方ができるとともに、企業に対しても、自社の取り組みを知ってもらうきっかけづくりという価値を提供します。

つまり、冒頭でお話した私たちのモヤモヤである『企業=健康経営に取り組むなど変化している)』『学生=ネームバリューや周りの評価にとらわれて企業を選んでいる)』のミスマッチを解消することができます」

3.質疑応答&授賞式

江島ゼミ生の発表が終わり、質疑応答に移ります。

近畿大学の金ゼミ生「愛知での現地調査(経営者にインタビュー等を実施したスタディツアー)もされ、大変素晴らしいと思いましたし、皆さんの価値観、マイモノサシが変化していったこともよく理解できました。その過程でコラボしたIKIGAI WORKSさんがどのように携わっていったのか教えていただけますでしょうか」

吉岡尚哉「はい。IKIGAI WORKSさんとは毎週オンラインでミーティングをさせていただきました。例えば、学生だけの会議の内容を報告するとともに、これはこうしたほうがいい、マイモノサシを作成する際はこういう点に気をつける必要がある、といった理解を深めるためのアドバイスをいただいたりと、指導者的な立場で私たちを導いてくれました」

審査員からも「メンバー全員が一人ひとり発表され、チーム一丸となって進められていたことが伝わってきた」といったコメントをいただき、江島ゼミ× IKIGAI WORKS株式会社は、見事『かちぞう敢闘賞』を受賞することができました。

【取材後記】

半年間の成果を見事な発表で締め括った江島ゼミ生たち。参加者や審査員からも高い評価を受け、プロジェクトをやり遂げた達成感に満ち溢れているようでした。江島ゼミ生は、今回、マイプロジェクトで自分が本当にやりたいことを探求し、企業経営者へのインタビューでさらに深めていくなど、いい会社・職場に対する価値観が大きく変化していきました。これらは、就活はもちろんのこと、これからの長い人生にとっても掛け替えのない経験になることでしょう。

(※1)産学連携かちぞうzemiは、一般社団法人そばくりラボ主催の「かちぞう企画」の一つで、産学連携で価値創造にチャレンジする実践的なPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。より良い社会の構築を目指して価値創造するための実践的な調査研究活動に、学生がチーム単位で半年間かけて取り組む。

(※2)自分自身の心と対話し、自分が本当にしたいこと、感じていることを知った上で「私のプロジェクト」を創り出していく手法。

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