【IKIGAI企業インタビュー】保険とは「お客さまの未来を笑顔にする道具」。社員の幸せから〝ハッピー〞の連鎖を紡ぐ(TIS株式会社)

TISは石川県金沢市に本社を置くブライト500企業。「関わる方々みんな〝ハッピー〞でありたい」という経営理念を掲げる総合保険代理店です。今回インタビューをした代表取締役と取締役はご夫婦。その経営理念には、社員の幸せがお客様の笑顔あふれる未来と地域社会の豊かさにつながっていくという、お二人の深くて温かな愛情が込められています。(インタビュアー:健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役  熊倉 利和)

TIS株式会社

岩井健治さん(代表取締役)

岩井準子さん(取締役 経営戦略室長)

1.保険とは「愛や思いの深さを形にできる道具」

熊倉:本日は、「関わる方々みんな〝ハッピー〟でありたい」という素敵な言葉を経営理念に掲げているTISさんにインタビューできるとあって、楽しみにやってきました。まず、御社について簡単に教えてください。

岩井社長:TISは、石川県、富山県、福井県の3県に展開する総合保険代理店です。「お客様には、本当に必要な商品を多くの選択肢から選んでいただきたい」との思いで、現在は来店型保険ショップ「ほけんの窓口」のフランチャイズ店を8店舗経営しています。また、ほとんどの方にとって一生に一度の高額な買い物となる家の購入を、将来まで見越してサポートしていく「おうちコンシェル」という事業も展開しています。

熊倉:保険というと「困った! どうしよう」という非常事態に備えて加入する、というイメージがあります。どのような経緯で「関わる方々みんな〝ハッピー〟でありたい」という経営理念が生まれたのですか?

岩井社長:私自身の人生の根っこの話にもなるのですが、学生時代に親が突然事故に遭い、その後の苦労は大変なところがありました。結果的に私が学生を続けることができたのは、家族の愛と周りの支え、そして保険金が下りたことが大きかった。そのありがたさは、社会に出てからしみじみと感じました。保険は愛や思いの深さを形にできる道具の一つ。そして、未来の笑顔を守ります。

このすばらしいものを正しく普及させていきたいとの思いから、1999年に個人創業し、有限会社、株式会社へと発展させてきました。そんな私の心には常に「お金に困らない人生をサポートしたい」という思いが強くあります。

熊倉:そうだったのですね。お客様に寄り添い、幸せであってほしいという岩井社長の愛情がものすごく伝わってきました。「おうちコンシェル」もおもしろい事業ですね。始められたのは、創業してから何年後ですか?

岩井社長:6年後です。この6年後というタイミングにも、大きな意味があったように感じます。大学を卒業して社会人となるのを機に、保険に加入する人が多くなります。そして6年が過ぎたころ「結婚しました。数年後に住宅購入を考えているのですが、どうやって計画を立てるとよいですか」という相談が増えます。当時、私たちの窓口にもそうした方々が来店されました。その際に「失敗しない家づくり」「購入後も安心できる家づくり」を第三者の立場でサポートしていく必要性を感じたのです。

熊倉:なんの知識もないまま家を購入するのと、知識を持って購入を計画するのとでは、総費用が大きく違ってきてしまいます。「おうちコンシェル」では、家づくりに関わる専門資格を持ったファイナンシャル・プランナーが、予算計画から住宅ローン、建築会社選びまで相談にのってくれるそうですね。

岩井社長:ええ。たとえば「金澤さん」という人が相談に来られたら、ご家族みなさんの未来に対するワクワク感や計画すべてをお聞きします。そして、金澤家に適したライフプランを一緒に立て、安心な住宅予算を導いていきます。そうやって将来のことも踏まえて計画を立てる一方、リスクにも備え、お客様に無理のない住宅購入を提案していくことで、未来に希望と意欲を持っていただく。結果として、お客様から「ありがとう」と心からの言葉をいただけるやりがいのある仕事です。

熊倉:「おうちコンシェル」は岩井社長の「お金に困らない人生をサポートする」という思いをまさに形にした事業なのですね。

2.「自分ファースト」で生きよう

熊倉:TISさんは健康経営を熱心に行われていて、ブライト500にも3年連続で認定されています。社員の働きがいや幸福感についてどのように考えていますか。

岩井社長:この表現が当たっているのかわかりませんが「天につばしたら、必ず自分に返ってくるんだよ」という話を、私は社員たちに常々しています。仏教的にいえば「因果応報」という考え方です。人に嫌なことをすれば、回り回って自分のところに返ってくる。ですが、よいことも同じです。人によいことをすれば、必ず自分のところによいことが来る。だったら、よいことをしていこうよ、と。これが社会の根本だと思うのです。

ただし、こうもいえます。幸せには「糧」が必要です。周りの人を幸せにしようとするならば、幸せをわけてあげられるくらい、自分がまず幸せでなければいけない。自分が幸福感で満たされているから、お客様を幸せな気持ちにできる。その結果として、心からの「ありがとう」をいただいたとき、仕事に大きなやりがいを感じることができる。だからこそ、常に「自分ファーストで仕事をしていきましょう」とも伝えています。

熊倉:なるほど。社員一人ひとりの幸せがあってこそ、お客様の未来をサポートでき、それが社員自身の働きがいにもなって、「関わる方々みんな〝ハッピー〟でありたい」という経営方針につながっていくのですね。TISさんは、車いすの寄付や「公益財団法人交通遺児育英会 あしながおじさん奨励金制度」への支援など、社会貢献も熱心に行われています。これも「みんなハッピーに」という願いによるものなのですか。

岩井社長:はい。社会や地域との関わりは、ハッピーの連鎖があってこそ豊かになっていくものと考えています。当社では健康経営を熱心に行っていますが、その活動を社会にも広げていこうと、ライフプランニングの個別相談を無料で受けるイベントを行ったり、来場者の方々の血管年齢を測定したりもしてきました。どうでしょう。取締役、補足はありますか?

岩井取締役:そうですね。自分がやってほしくないことは相手にせず、相手のためになることをしていくという意味で、当社では、「私たちはお客様に保険を売ることが仕事なのではありません。お客様の人生をお聞きし、いちばん最適なソリューションを提供することが仕事です」と社員教育を行っています。これが当社の教育の根幹であり、「みんなハッピーになる方法」だと考えています。実際、「関わる方々みんな〝ハッピー〟でありたい」という経営方針に共感してくださる方は多く、この言葉を見て採用に応募しました、と入社してくれる社員もいます。

熊倉:なるほど。TISさんは保険会社ですが、提供しているサービスはお客さまのハッピーを守ること。社員の方々はそこに大きな働きがいを感じることができる。とてもいい話をお聞きできました。

3.「幸せ」を基盤にした人財育成の秘訣

熊倉:ここまでのインタビューで、TISさんがいかに愛にあふれた会社なのかと感動しています。その愛に応えられるほど、社員の方々の資質も素晴らしいのでしょう。採用は、どのようなことにポイントを置かれているのですか。

岩井取締役;社員によく話をするのは、「お客様は『家』が欲しくて相談に来られるのではない。『お金』が欲しいのでもない。『家』や『お金』の後ろにある『幸せ』がほしいと思っていらっしゃる」ということです。その思いを共有できる人と一緒に仕事をしていきたいと考えています。

熊倉:なるほど。ただ、そこを見極めるのは、面接などの短時間ではなかなか難しいのではありませんか。新卒の採用活動はどのように行われていますか?

岩井取締役:主にインターンシップを行っています。実際の職場に来て、社会人の先輩とコミュニケーションを多くとってもらうなど、入社したらどんなふうに仕事をしていくのか、イメージを深めていただくため、職場体験が中心です。ただ、現場はお客様の大切な個人情報を扱っていますので、ここは厳重に注意をし、架空の教材を用意して、職場体験をしてもらっています。学生さんは大学生活もありますので、インターンシップは短期間で行いますが、ゲーム形式の体験なども用意し、私たちの仕事の価値を理解していただけるよう努めています。

岩井社長:インターンシップを始めたのは、入社後のミスマッチが起こりやすくなっていたときでした。現在は、インターンシップを通して、お互いに思いを共有できる相手か、見極めることができるようになりました。私たちが学生さんを選ぶだけでなく、学生さんにも私たちを選んでほしいと考えています。

熊倉:すばらしいですね。そこまで考えて、インターンシップのプログラムをつくり上げていれば、お互いに価値観を重視した採用が行え、入社後のミスマッチを防いでいけるはずです。TISさんは新卒をどのくらいの割合で採用しているのですか?

岩井取締役:現在は中途採用「7」、新卒「3」という割合です。

熊倉:中途採用の方は、保険業界から来られるのですか?

岩井社長:いいえ。保険業界以外からが多いです。経験以上に、その人が健全な価値観と道徳観を持っていることを重視しています。お話ししたように私たちは「保険の価値や役割を伝える」ことを創業の目的としていて、ここが当社のアイデンティティです。経済優先、利益優先になって、アイデンティティを失うようなことにならないよう、人財の採用においても気をつけています。

熊倉:そうなると、入社してから一人前になるまで時間がかかるのではないですか。

岩井取締役:お客様の前に座れる段階になるまで、半年はかかります。その間は、担当者の後ろや隣で業務をサポートしながら、実践を重ねてもらいます。そうしてやっと担当を持てたとしても、いろいろな失敗をしますね。その失敗を本人の成長につなげていけるよう、周りがしっかりとフォローしていきます。

熊倉:失敗を成長の糧にしていける職場。いいですね! そういうところからも、働きがいと働きやすさの両面を社員の方々は実感されていくのでしょうね。

4.夫婦二人三脚で築く「善循環」の未来

熊倉:岩井社長と岩井取締役はご夫婦でいらっしゃいますが、二人三脚で社員の方々を見守っていらっしゃる。お二人は社員の方々がお客様と接する姿をどんな思いで見ているのですか?

岩井社長:そうですね。「いいな、素敵だな」と思う一方で、「心からの『ありがとう』をもらえて、うらやましいな」という思いもあります(笑)。現場の喜びからしばらく遠ざかっているので。一言でいえば、現場の喜びが私たちの喜びです。社員がハッピーで、お客さんもハッピーであれば、それを見ている私たちもハッピー。当社はハッピーでつながっています。

岩井取締役:私も、社員を後方から支える位置にいて、ハッピーな瞬間に直に立ち会えることは少ないのですが、レポートで上がってきたときには、本当にうれしくなります。社員自身がとても努力をして、喜びの瞬間を得てくれたことに感動しますし、そういう体験をもっと増やしていってほしいと願っています。

熊倉:TISさんのロゴは星の輝きをモチーフにしていて、そこには「すべてのお客様に三つ星以上のサービスを」との思いが込められているとのことですね。今のお話を聞いていて、取締役がお母さん的な役割で会社全体を包み込み、社長が北極星のように輝いてハッピーの連鎖を起こしている。そんなイメージを持ちました。夫婦二人三脚はいかがですか、機能している感じですか?

岩井社長:そうですね。機能している実感はあります(笑)

熊倉:めちゃくちゃうれしい答えが返ってきた。お二人が幸せいっぱいだから、TISさんの社員さんも幸せで、お客さんも幸せ。いいですね。最後の質問です。今後の目標をお聞きできますか。

岩井社長:私が目標にしているのは、自分たちも含めて、関わる人みなが社会で輝いていくためのことを、楽しみながら続けていくこと。そして、私たちの活動が地域社会を豊かにしていくことがミッションだと思っています。取締役、何か伝え足りないことはありますか?

岩井取締役:今、社長がいわれたように、私たちはご縁の中で事業をさせていただいています。だからこそ、責任を持って関わる方々みなさんを支えていきたい。そのことを地域貢献につなげ、幸せの連鎖を広げていきたいです。社長は「幸循環(幸せの循環)」といっていますが、私はあえて「善循環」といいましょう。善い行いを社会に循環させていきたいです。

熊倉:いいですね。心からの善い行いをめぐらせていく。「善循環」という言葉が、TISさんの今後の事業の核にもなっていきそうですね。本日は心温まる素晴らしいお話をありがとうございました!

【取材後記】

夫婦二人で会社を守り発展させ、社員の幸福感をサポートし、働きがいを生み出していく。夫婦という原点がハッピーだからこそ、会社、社員、お客様、地域社会へと幸せの連鎖を生み出していけるという大切なことに改めて気づかされるインタビューとなりました。「さまざまなリスクや損失に備える金融商品」と一般には考えられている保険は、TISという会社が扱うと「お金に困らない幸せな人生を築き、未来を笑顔にする道具」に変換される。そこに働きがいを見出せるTISの社員の方々が心底うらやましくなってしまう、まさに「IKIGAI企業」のあり方を見させていただきました。

〈企業データ〉

会社名:ティ・アイ・エス株式会社

事業内容:総合保険代理店。ファイナンシャルプランニング業務。ライフプランニング業務。リスクマネジメント業務。事業継承対策プランニング業務。役員退職金プランニング業務。保険無料相談サービス。保険を活用した資産運用相談。保険を活用した「中小企業の事業継続力強化」の提案業務。生命保険・損害保険の分析/診断/改善/管理/アドバイス/提案業務。住宅購入相談サービス。住宅ローン相談。フラット35取次(ハウスデポ)業務。宅地建物取引業。健康経営推進相談・支援業務・講演。ガン対策基本法対応、支援業務

所在地:(本社)〒920-0022  石川県金沢市北安江2-24-8 信開北安江ビル1F

資本金:2,500万円

社員数:41名(2023年8月現在)

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