ヘルスケアIT セミナー12選:②働き方改革時代に求められるデジタル×ヘルスケアとは

ヘルスケアIT セミナー12選:②働き方改革時代に求められるデジタル×ヘルスケアとは

2019年1月に東京ビックサイトで開催された「Care Show Japan2019」。健康経営の広場独自の視点で、お勧めのセミナーをご紹介していきます。今回は、ヘルスケアITセミナーの基調講演として、デトロイト トーマツ コンサルティング合同会社、ヒューマン キャピタルディビジョン シニアマネジャー田中公康氏、有限責任監査法人トーマツ スクアドバイザリー事業本部 ヘルスケア シニアマネジャー折本敦子グレイス氏が登壇し、働き方改革、健康経営など、言葉が先行してしまっている現状を、どう進んでいったらいいのか。という事に対して、「プレゼンティズム」という概念を通して、企業が進むべき方向を明確に示してくれています。


健康組合や自治体が健康活動というのをやっていたかと思います。しかし、これからは自分たちでも行っていかなければならない。
そのようなところを、いかにデータを用いて、エビデンスに基づいた健康施策をやっていくか。という事を、分析を絡めてお伝えしていきたいと思います。

働き方改革の背景にあるモノ

働き方改革。

マスコミの皆様も取り上げる事が多く、このワードを目にしない日は無いのではないか。という勢いですが、そもそも、なぜこんなに言われているのか。というところから入っていきたいと思います。

働き方改革の背景には社会経済の大きな変化の潮流がみられます。
例えば、少子高齢化や生産年齢人口の減少などの人口問題であったり、イノベーション欠如による生産性向上の低迷や、革新的技術への投資不足による生産性の低迷、またアジャイルで、スケーラブルなビジネスや、人間と機械の協働によるデジタル化であったり、ミレニアルズ、帰属意識の低下と人材流動化などの価値観の変化など。

これらの中でも価値観の変化などは非常に大きく、セクハラは論外ですが、パワハラは程度の差はあれ、昔からあったような気がします。
ただ、指導育成の方法についての価値観の違いが出てきていて、ちょっとしたものの言い方でパワハラと言われるリスクが高まっており、これは受け手の感受性や受容度に依存するものなので、今はその様な世界、時代に変わってきたという事です。

この様な背景を受けている働き方改革ですが、取り組む理由として多く挙げられているのが

生産性の向上、87%
従業員の心身の健康の向上、76%
従業員満足度の向上、74%

であり、目的が、生産性と従業員の働きがい、心身の健康満足度の向上が上位を占めています。しかしながら、生産性と従業員の働きがい向上に関する効果・実感を得られている企業は3割程度という限定的な現状で、約7割の企業が従業員の満足が得られなかった、効果は感じられたが、従業員の満足は得られていないというのが実態になってしまっています。

正しく評価する事の大切さ

この様な結果になってしまった仮説としてあるのが「評価」です。
特に、時間あたりの生産性を評価されない。ということが1つの大きなポイントなのかと思っていて、例えば、5時か6時に帰ろうとすると「暇なのかお前と、もっと仕事あるぞ」という感じで、仕事が降ってきてしまいます。

自分は、6時に帰ろうと一生懸命頑張ったのに、なぜか追加の仕事が降ってきて、結局、帰るのが8時、9時になってしまう。。。

仕事がいっぱい降ってくるなら、ダラダラやって8時に帰ったほうがいいんじゃないか。といった笑えない話が昔はありましたし、もしかしたら今もあるのかもしれません。

これは日本の人事制度や評価の仕組みの1つ大きな命題・課題としてあって、仕事の中身が
限定的でない故に、どんどん仕事が降ってきてしまうのです。

評価というと、取り組んでいる姿勢とか、その様なものであって、効率よく仕事を行う。と言うこと自体に対する評価というのが感じられない人が多いのです。実態はわかりませんが、少なくとも従業員の53%はそう感じられていないのです。

「辞めたい」と「辞める」の差

退職長期療養による生産性の低下、働きがいの低下や健康状態の悪化による退職休職などは最悪のストーリーなので、会社としては、この様な事態を防いでいかなければなりません。

発生を未然に防ぐために対策や施策を適切なタイミングで実施しなければなりません。医療の業界では早期とか予防とかと言う話がありますけれども、基本的には起きてからでは遅いので、早期介入が必要になってきます。

皆様も経験あるかもしれませんが、辞めますと言った人に、辞めるな。といっても辞めますよね。

基本的に、辞めると言った人を止めるのは難しくて、本人は決意して発言しているので、その発言の前に防ぐか、もしくは体調が悪そうだなと思ったら、倒れる前に休ませるとか、ケアする、未然に防ぐということがとても大切になってきます。

働き方改革の冒頭でも説明していましたが、基本的に人がいないのです。

潤沢に代替のリソースがあるならばいいのですが、貴重な従業員の方々をいかに活躍できるような、パフォーマンスを発揮させられるような状況にしていかなければならないのです。
それを、本人まかせにもしないし、結果が出てから対応すると言うことにはしない。というのが重要なポイントになってくるかと思います。

また、もう一つのポイントは、それらの予兆をどうやって見つけるのか。という事です。

現場の管理職の方々だけにお任せするのもいいですが、それによって今度は管理職の方が倒れてしまったりという事にもなりかねませんし、そもそも、目配り気配りできる方なのかも分かりませんし、なかなか精度が上がらない所かと思います。

なので、ここはテクノロジーを使ったり、データを使うのが良いのではないか。という1つの提案になります。

ただ、このデータと言うものはほとんどの会社さんでは集めきれていなかったり、整理しきれていないというのが現状かと思います。

項目、定義、データを整理していく

これは私たちの解釈ですが、働き方改革と健康経営はオーバーラップしている部分があるかと思います。

働き方改革と言うと、先程の生産性向上が1というのがありますが、それとイノベーションになりますねその次に挙げるのが効率化と言う所になるかと思います。

一方の健康経営は、医療費削減が出てくるかと思いますが、その手前で、食生活とか、経産省が出しているホワイト500とかがあり、両方に共通するのは、残業労働とか労働力確保であったりコミニケーション、などがあるのではないかと感じていますが、ただ所感が違っていたりする部分もあるので精査は必要かもしれません。

この様な項目の中で、退職長期療養という課題に対し、まずはきちんとデータを整理して、アナリティクスを未活用だった状態から、既存データを中心に活用し、先手先手で施策を打てる状態を目指していくのですが、まずは予防と言うところに着手できるように、データの活用を目指していくのがよろしいかと思います。

具体的には、特に目新しい方法ではありませんが、まず仮説をつくり、分析、設計を行い、どのような原因で起きているのかという実績データによるモデル構築を経て実施し、将来予測をしていきましょうと言うステップを踏むと良いかと思います。

今回は退職と言うことにフォーカスをして例を挙げていますが、なぜ起きるのかとフレームワークの落とし込みと、手元にあるデータを使い、勘と経験に頼らずに、双方向から、しっかりとファクトを抑えていき、手元データから直球の仮説を検討するのみならず、手元データにないデータなどの変化球を検討することで退職要因の抜け漏れの防止が可能になります。

多くの企業で埋もれがちなデータとして、例えば社内手続きの順守率等のデータにあたることが考えられるので、以下のステップを踏む事も重要になっていきます。

1、退職率、仮説に基づき選定したデータ項目間の単相関分析によって統計的に退職率と相関がある変数を抽出

2、加工データを元に予測を出るを構築し、精度を高めた上で現在のデータをモデルに投入し、将来動向とその因子を可視化する

3、後、退職率の集団に対する人材タイプの属性仮説を元に総花的に陥らない、的を絞った退職防止施策案を策定実施可能

これらも重要なのですが、最も重要な事は、この様な分析をして終わらないと言うことです。
各会社にとって1番最適の退職、離職、長期療養予防の例を作るということが大事なので、一度やって終わりではなく、是非、続けて頂きたいと思います。

健康と医療について

3年前であれば健康経営と言う言葉を知っているのは8割くらいだったのですが、今では、ほぼ100%の方が知っていらっしゃいます。
当時はどちらかと言うと経営者の方が気になっていると言うレベルでしたが、今は従業員の方を含めて健康経営の重要性を知っていたり、関心があるという方が85%と言うことでその背景が変わってきています。

しかし、未だに健康経営という言葉だけが先行してしまっている感がありますが、なぜこのようなことが起こってしまったか、その背景からお伝えさせて頂きます。

今から4,5年前に、健康経営銘柄が始まり、上場企業の1業種1社認定するという制度がありました。また、ホワイト500と言うのが2年前から始まり、多くの企業がこちらの制度に認定をもらうと言うフレームが先行してしまっており、中身は何なのだろう。と言う傾向が強くなってしまっているかと思います。

健康経営のあるべき姿

なぜ健康経営をしていくのか

というところですが、先程の働き方改革であったり、モチベーションに近いですけれども、実際に会社が、従業員に健康であるために何らかの投資をする施策をする。と言うようなことを行い、従業員がより健康になり、コミュニケーションが活性化したり、モチベーションのアップや生産性アップ、業績向上といった好循環モデルをいかにつくるか。というところが本来の意味での健康経営のあるべき姿になります。

今までは、健康と言うと体重、BMI等の健康診断の結果で出ているような数字が多かったのですが、この健康経営と言う言葉が世の中に出てから、この2つの言葉が出るようになりました。

アプセンティズムコスト、プレゼンティズムコスト

病気や体調不良などの健康上の理由により従業員が欠勤や休職することで発生する経済的損失をアプセンティズムコストをいい、出社しているものの、心身の不調により業務に身が入らず、生産性や業務能力が低下することで発生する経済的損失をプレゼンティズムコストといいます。

よくある話ですと、花粉症の時期などに、仕事効率が落ちるなどが、それにあたります。つまり、その人が持っているスキルやパフォーマンスを100%発揮できない状態。それによって失われる経済損失をプレゼンティズムコストと呼ぶ訳です。

WHOHPQと言うところで、具体的にプレゼンティズムコストはこうやって図るんですよと言う質問の事例があります。

仕事のパフォーマンスについて伺いますと言うことで、0から10の中で、どれぐらいのパフォーマンスでしたかと言うことを聞くものですが、日本人の文化には合わない部分もあり、東京大学の方で作り変えている部分も、あくまでも現場ではプレゼンティズムコストコストの元となるもの、絶対的プレゼンティズムと言われているものはアンケートで測っているので、計算ロジックであったり式と言うのは、まだ世の中には具体的には出ていないのです。

そして、健康経営をやると、この生産性を上げます、プレゼントイズムを高めます、という風に言われているのですけれども、そのプレゼントイズムの計算式が明確に分かっていないと言うところが、健康経営をやっている中で難しく感じているところかなとも思います。

実際に、この2つがどのような割合を占めているのかというのが以下のグラフになりますが

アプセンティズムコストはわずか4.4%なのに対し、プレゼンティズムコストは約8割を占めており、いかにプレゼンティズムコストを下げていくか。というのが大きな命題になってきます。

その命題を踏まえまして、医療と健康の中でどれぐらいのデータになっているかと言う話をしていきます。

プレゼンティズムの詳細とKPI

心身の健康の維持増進だけでなく、従業員が働きがいを持って働ける状態の実現までを見据えて健康経営に取り組むことが重要で、そのステップが3段階に分けて考えることが出来ます。

レベル1では、まずは自分たちの中でどれだけの人が健康かどれだけの人が健康じゃないか。といった分析をして、健康状態の可視化を図っていきます。

レベル2では、実際の問診のデータやストレスチェックなどを合わせながら、健康の維持増進を行っていく。

レベル3と言うところまではほぼ行っていないのですけれども、生きがいがあったりとか、健康だけのデータではなく、それ以外のデータも考えて分析をしたり、いわゆるウェルビーイングと言われる世界を目指しているステージになります。

真の意味での健康経営を考えると、レベル3までは行かなければいけないので、健康経営に取り組むのであれば、是非レベル3を目指して頂きたいと思っております。

その様な中で健康経営に取り組んでいる企業の実際がどうなっているのか。というところでは、課題に対応した施策の参加率であったり、PDCAサイクルを回していると言うようなところで止まってしまい、想いは高いけれども、やっているところはっちょっと離れてしまっているというのが現状になります。

実際に評価しているのかというところだとPDCAのCとAに近いところ、C部分で、健康の世界でしたらアウトカムですとかアウトプット、プロセス評価と言うところがやりやすい所なんですけれど、残念ながら分析しておらず、先程と同様に、やったら終わりという風になってしまっているのです。

また、健康に関するKPI、目標設定ってしっかり設けましょうと言うことが言われておりますが、実際に目標設定を設けていますか、把握していますかと言うことに対しては、行っている企業が増加してきています。

ただ、KPIが設定されていない効果が実感できないなど、必ずしも働き方改革が企業でうまく進んでいないことも明らかになってきている

健康経営の中でどんなことが課題になっているのかというと、例えば、従業員の取り組みの向上だったり、やり方であったり、具体的なところではまだ迷っており、どうやってやったらいいのか、こういう風にやりましょうと言う「答え」がなかなか出ていないのが現状になります。

その様な中で進め方の1つとして、従業員の健康状態を反映するKPIからスクリーニングを行い、必要な対応を行っていく。という方法があります。

また、健康KPI設定では

・データ分析による課題の抽出
・その課題の要素分解を行い、課題解決のためのKPIの設定。
・データ分析により、地域、職種等の属性別傾向や課題の把握。

ここがポイントになり、指標やデータ間の相関関係やヒアリングより、特定された課題に関連する要素を洗い出し、相関分析を行い構造化の精微化を行っていく事が、より良い方向に向かって進んでいくのではないかと考えております。

ただ、皆様の企業様において、ITの状況というのは、大きく異なっており、実際、ヘルスケアにおいては、データはあるけれども活かされていない。というケースがみられます。

特に人事やストレスチェックなどの情報はセンシティブな情報になりますので、誰がどこまでみれるか。というのが整理できていないので、データはあるけど触れません。という所が多くみられるので、まずは原点に返って、データの可視化を行ってください。

今、こんな事が流行っているから、やってみる。という事よりも、自分の会社は、どんなデータを持っていて、既存データはどの様な状況になっているのか。というのを状況把握する事が、健康経営に於いて、最も大切な事なのではないかと思います。

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