【ホワイト企業オンライン座談会①】業界は違っても願いは共通。「いかに社員に健康であってもらうか」

健康経営の広場のシリーズ企画「大学生×ホワイト企業インタビュー」に登場の33社にお声かけをし、実施したオンライン座談会。4回にわけて開催された座談会の1回目となる今回は、山八商事様、日本介護サービス様、三幸土木様、ウエーブ様、ベイラインエクスプレス様の5社、計7名が参加されました。

〔ホワイト企業〕

鈴木 俊介(山八商事株式会社 代表取締役)

阿部 耕造(日本介護サービス株式会社 次長)

宮路 浩貴(三幸土木株式会社 企画業務部部長)

石澤 司(三幸土木株式会社 総務部次長)

白子 善久(株式会社ウエーブ 代表取締役)

船木 なおみ(株式会社ウエーブ 産業医)

森川 孝司(ベイラインエクスプレス株式会社 代表取締役)

〔司会進行〕

熊倉利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)

1.就活のポイントは「働きやすい環境」にあり

熊倉:本日は健康経営において先進的な活動をされているホワイト企業の方々にお集まりいただきました。みなさん、他社さんはどんな取り組みをされているのか、興味を持たれていると思います。直近の取り組みを中心に、ぜひ自由に意見交換をしてください。

森川:はい。ベイラインエクスプレスは神奈川県川崎市にある会社で、事業内容は高速路線バスの運行です。「『日本一健康なバス会社』を目指します」を合言葉に健康経営に取り組んできました。

最近は、オフィスに置くだけの無人コンビニを導入しました。当社は社内SNSで情報を共有していますが、たとえば運転士さんが日報を提出すると社内通貨が貯まり、その通貨でも商品を購入できる仕組みにしています。また、酸素カプセルも設置しています。酸素カプセルの中で眠ると約2倍の効果が得られるそうです。

コロナ禍では当社も大変な状況に陥りましたが、おかげさまでこの半年で20名弱を増員できました。

船木:初めまして。ウエーブの産業医の船木です。早速ですが、質問をいいですか? 高速バスの運転手さんは長時間労働で、夜間や休日も働かれていて、積極的に就職したいという方が必ずしも多くないと思います。どのように優秀な社員さんを集められていますか。

森川:運転の仕事をしたい方は、「どんな環境で運転できるか」をポイントに就活されています。まとまった休憩時間、宿泊先の快適さ、個室の仮眠施設など、当社では運転士さんが働きやすい環境を整え、そこをアピールしています。

こうした取り組みも功を奏し、着々と人員を増やせています。昨日も面接を行いました。

また、安全対策も重要です。運転席の斜め上にカメラを設置し、そのカメラやドライブレコーダーのデータを事務所にてリアルタイムで見ながら、居眠り運転や漫然運転が生じていないか、管理しています。

船木:ありがとうございます。当社も就活について考えていたので、参考になりました。

白子:ウエーブは滋賀県守山市に本社を置く会社です。ネット印刷、デザイン制作、通販ショップなどの他、生産工程の自動化を図るファクトリー・オートメーション(FA)事業も行っています。FA事業とは、企業の困り事などを聞いて、それを解決すべく、特注の機械の開発、製作、販売をしていく事業です。

船木:印刷加工業というと、3K労働(きつい、汚い、危険)の代表とされ、新入社員が集まらない時期がありました。それがFA事業を始めたきっかけです。「社員の負担を減らせるよう、自分たちでFA化を行おう」と社長自ら先頭に立ち、機械の開発設計、製作を行いました。

結果、社員の負担は大幅に減り、5人分の仕事が約1人で行えるようになり、現在1人当たりの年間残業時間はゼロとなっています。「こんなよいものは、欲しい人たちみんなに届けよう」と事業化し、現在は依頼が途切れることなく来ています。

熊倉:すごいですね。年間の残業時間ゼロとは、健康経営を行っている企業でもなかなかできないことです。

船木:ただ、新たな悩みが出てきました。自由時間が増えたら、社員たちがふくよかになってきたのです。会社に運動器具を設置しているのですが、オフの時間に「運動してね」とは指導しにくい。みなさんはどのように社員の運動意識を高めていますか。

阿部:日本介護サービスの阿部です。愛知県で在宅介護サービスを幅広く行っている会社です。悩ましいところですよね。当社では、健康診断の結果をよくすることを目標に、「1日1万歩、歩きます」などと従業員一人ひとりに宣言してもらい、意識の向上を図っています。自ら宣言したことが実践できたか、それに対して健診結果はどうだったかは、最終的にこちらでチェックします。運動機会の提供としては、利用者さん用の運動器具を、デイサービス後であれば、従業員も自由に使ってよいことにしています。

さらに、運動を楽しんでもらうため、スポーツ競技大会を開催しています。パターゴルフやパラリンピックの競技にもなったボッチャなど、ルールを簡単にして誰でも取り組みやすくしました。正社員とパート社員では就業時間も違うのですが、そこは柔軟に対応しつつも、職場のチーム対抗にすると、運動しながら社員どうしの交流もでき、参加率も上がりました。

熊倉:なるほど。全体としてはゆるい参加を促しつつ、職場対抗にすることで「みんなでがんばろう」と横の連携を深めて、運動に気持ちを向かわせる。阿部さんは、日本介護サービスさんの健康経営の旗振り役を長くされていますが、この仕組みづくりは、試行錯誤の結果ですか?

阿部:そうですね。どうすれば参加率が上がるのか、試行錯誤の連続です。「みんなが楽しんで参加する」というのは、「健康経営の永遠のテーマ」とも感じています。

2.他社の取り組みから新たなヒントを得る

鈴木:山八商事は現在、愛知県に本社を置く会社で、不動産業と繊維事業を行っています。当社も、社員の健康増進に向けた取り組みはさまざまに行ってきました。悩みはみなさんと一緒で、強制的にやらせるわけにもいかず、かといって、こちらが巻き込んでいかないと一部の人しか参加しないという状況にあります。

今、ちょうど考えているのは、企業対抗のウォークラリーへの参加です。以前にも一度参加したのですが、企業対抗となると、社員のモチベーションも上がるように感じます。

宮路:質問をいいですか? 愛知県日進市に本社を置く三幸土木の宮路です。私たちは道路や駅、病院、学校などの土台を整備する土木事業専門の工事業者です。当社でも愛知県の健康アプリの歩数機能を使ってウォークラリーのイベントを行っていますが、現場職と事務職では歩数に差が出てしまいます。どうやって全社でのウォークラリーを盛り上げていますか。

鈴木:我々も、車通勤の人間は、歩数がなかなか増えないですね。ただ、外出したときには、エスカレーターではなく階段を歩いてみよう、今日は一駅分歩こうと、ランキング上位の社員は工夫しています。そこに賞品を用意すると、みんながんばりますね。不動産業の当社はお中元や協賛品などを頂戴する機会も多いので、それをランキング上位者の賞品に活用させていただく予定です。「物で釣る」というと聞こえは悪いですが、社員のやる気を引き出すにはよい方法とも考えています。

また、歩数のデータは毎日アップデートし、情報共有できる仕組みをつくりました。このスマホを使った仕組みは社員間の競争心に火をつける一方、「どうやってそんなに歩いたの?」と、情報交換のよいツールにもなっています。

熊倉:三幸土木さんも独自の健康経営を多く行われています。最近ではどのようなことを実施されていますか。

石澤:いくつかありますが、とくに健康診断後のフォローを重点的に行いました。要再検査となった社員には、二次検診に進むと手当を支給することにしました。また、「健康には歯も大事」として、歯科検診を受けてもらうなど口腔ケアのイベントも開いています。さらに、健康診断と同日に健康測定会も開催。血管年齢やAGEs(最終糖化産物)の蓄積量、握力などを測定し、社員に自分の健康に向き合ってもらう機会としました。これらの測定機器は保険会社さんから無料でお借りできました。

船木:すばらしいですね。一つお聞きしていいですか。二次検診の受診にインセンティブを設けると、要検査項目のない社員との不公平感が出ませんか。ここを考えると、インセンティブの提供に踏み切れないのですが、三幸土木さんはどう対応されていますか?

石澤:そこは私たちも悩みました。「健康診断で要検査項目がないのは、常日頃から健康管理に努めている結果」と評価し、同じように手当てを支給することにしました。

船木:なるほど!そうすると不公平感を解消できますね。

熊倉:ウエーブさんも、産業医の船木さんが健康診断においてきめ細やかな対応をされていますよね。

船木:はい。当社は滋賀県の本社に約140人、仙台に約70人の従業員がいます。健康診断で要再検査となった社員とは全員と面談し、運動と栄養の指導を行っています。また、「今日がんばったこと」を数字で記入できるワークシートを全従業員に配布し、そのシートをもとに面談を定期的に行い、「前回よりこんなに数値がよくなったね」などと、社員の意欲を引き出しています。現在は「先生にいわれたから、今回はがんばったよ」との声を多く聞けるようになりました。

阿部:すばらしいですね。日本介護サービスでも利用者さんには健康指導をていねいに行っていますが、従業員にも同じように指導していくといいんだと、ウエーブさんのお話を聞きして、ハッと気づきました。

3.業界は違っても社員を思う気持ちは同じ

熊倉:みなさん、業界は異なりますが、悩まれていることは「どうやって社員を健康経営に巻き込むか」と共通しているようです。

石澤:本当ですね。業界が違うと社員との向き合い方も異なるのではないかと思っていました。ですが、健康に意識を向けてもらうことに注視し、イベントをいかに盛り上げるかを熱心に考えていらっしゃる。健康経営を行ううえで思いを尽くす部分は同じとわかり、私自身の救いにもなりました。

宮路:中小企業は社員数が少ないぶん、一人ひとりの人財が大切です。社員には健康で長く働いてほしいという願いが、健康経営にかける思いになっている。そんな思いをブライト500の認定会社さんと共有できたことに、私も勇気づけられました。

鈴木:ブライト500の認定を継続して取得するには、一定以上の水準を維持しながら、毎年新たな施策に取り組む必要があります。一度取得すると、社員たちのモチベーションのためにも翌年も取得したいと意欲もわきます。ただ、新しい施策というのは、自分一人で頭をひねっても限界を感じることが多い。今後もぜひ情報交換をお願いしたいです。

阿部:みなさん、さまざまな取り組みをされていて、「酸素カプセル欲しいな」「残業時間ゼロいいな」「ウォークラリーやってみようかな」「二次検査の受診率を上げることにどこも苦労しているんだな」などとヒントをたくさんいただけ、有意義な時間でした。

森川:コロナ禍では健康経営どころじゃないと思ったこともありましたが、なんとか今日まで来ました。健康経営を行う立場にいる自分自身が、今日のように、情報発信したり、最新の情報に触れたりする場所にいることの重要性を、みなさんの話を聞いて改めて感じました。また身を正してがんばります。

熊倉:健康経営とは、業績が悪いからやらない、よいからやるというものではない。そう捉えているからこそ社員ファーストで継続できるのだと、ホワイト企業のみなさんの熱い思いを聞きながら、つくづく感じました。私も大変に勉強になる座談会でした!

【取材後記】

健康経営において先進的な活動を続けるホワイト企業のみなさん。参考になる情報が盛りだくさんでした。業界は違っても「社員に健康であってほしい」という願いは共通。互いに知恵をわかちあうことで、健康経営は一歩も二歩も進んでいくとネットワークの重要性を感じる座談会でした。

〈企業データ〉

会社名:山八商事株式会社

事業内容:商業不動産開発、寝具インテリア用品の企画販売

所在地:愛知県蒲郡市宝町3⁻12

資本金:1億円

社員数:25名

 

会社名:日本介護サービス株式会社

事業内容:居宅介護支援/訪問介護/訪問入浴/通所介護(デイサービス)など

所在地:愛知県豊田市樹木町5丁目51

資本金:1000万円

社員数:165名

 

会社名:三幸土木株式会社

事業内容:土木建築一式工事

所在地:愛知県名古屋市東区東桜1-10-9 栄プラザビル6F

資本金:3000万円

社員数:77名

 

会社名:株式会社ウエーブ

事業内容:ネット印刷のウエーブ/ロボット・メカトロ開発/デザイン制作サービス/WAVE  SHOP

所在地:滋賀県守山市勝部六丁目2番1号

資本金:3700万円

社員数:201名

 

会社名:ベイラインエクスプレス株式会社

事業内容:「WILLER」ブランドの高速バス・夜行バスの運行

所在地:神奈川県川崎市川崎区塩浜2-10-1​​​​​​​

資本金:2000万円

社員数:42名

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