【シリーズ:健康×マーケティング ピッチコンペティション2023】② 学生たちの飛躍の夏、始まる!「マイモノサシづくり」と「IKIGAI企業へのインタビュー」
「健康×マーケティング ピッチコンペティション2023」の開催に向けて、専修大学、神奈川大学、九州産業大学、西南学院大学、大阪経済大学の5つチームがIKIGAI WORKSの課題にエントリーしてくれました。7月18日はオンラインにて、全体でのテーマ説明会を開催。その後、8月上旬にチームごとに中間オリエンテーションを実施。今回は、西南学院大学の学びのプロセスを紹介します。そして、8月21日は中間サポートとして、ゼミごとに中間報告を発表。一つひとつプログラムに取り組むごとに熱意をおび、成長していく学生たちの姿。IKIGAI WORKSのピッチコンペの課題の説明とともにお伝えします。
〔7月18日 テーマ説明会〕
西南学院大学 三井ゼミ、専修大学 大崎ゼミ、大阪経済大学 江島ゼミ、神奈川大学 中見ゼミ、九州産業大学 脇ゼミ
〔8月2日 中間オリエンテーション「西南学院大学の学びのプロセス」〕
西南学院大学 三井ゼミ 守住唯 師玉夏歩 宮川優帆 竹中美桜 前田美波
〔2023年8月21日 各ゼミの中間サポート〕
西南学院大学 三井ゼミ、専修大学 大崎ゼミ、大阪経済大学 江島ゼミ、神奈川大学 中見ゼミ、九州産業大学 脇ゼミ
〔IKIGAI WORKS〕
熊倉利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)
須子善彦(マイプロジェクト代表取締役/IKIGAI WORKS取締役)
目次
1.オンラインにて課題を改めて説明(7月18日)
7月18日に開かれたIKIGAI WORKS主催のオンラインでのテーマ説明会。6月30日のキックオフオリエンテーションで発表した課題を、熊倉が改めて解説。学生がより取り組みやすいよう、課題をブラッシュアップしたことが伝えられました。
改訂後の課題名は、『学生によるIKIGAI企業の採用ブランディング戦略の入り口』。「入り口」とつけ加えることで、課題を行ううえでの敷居を一段下げました。
【課題 「学生によるIKIGAI企業の採用ブランディング戦略の入り口」】
- IKIGAI企業の私のモノサシづくり
- 学生によるIKIGAI企業のPRの企画立案
- 参加ゼミとIKIGAI企業によるIKIGAIサミットの開催(9月)
〈1〉の課題では、「IKIGAI企業の私のモノサシ(=マイモノサシ)」を作成。「私が働きがいを感じられる企業って、どんな会社?」と、自分の価値観から就職したい企業を見つけていくためのモノサシをつくっていきます。
マイモノサシづくりでは、「マイプロジェクト」を活用します。マイプロジェクトとは、ソーシャルアントレプレナーシップの教育手法でもある、自分自身のことを深く知っていくための探究型学習。いわば、自分ヒストリーの構築です。
その際、「マイプロシート」を活用します。マイプロシートは「マイプロMe編」と「Project編」にわかれています。マイプロMe編には、自分の人生を振り返りながら、どんな体験をし、その体験がどのような価値観を自分の中に生み出したかを記入。Project編には、これからやってみたいことを、シートに書き込んでいきます。
このマイプロシートに記載したことを、8月上旬、ゼミごとに行われる中間オリエンテーションにて1人ずつ発表。その後、自分自身を探究しながらマイモノサシをつくっていきます。
そのマイモノサシを使って、IKIGAI企業への質問事項を作成。インタビューに望みます。
〈2〉はインタビュー後に行う課題。IKIGAI企業に実際に行き、話を聞き、学生たちは何を感じ取るのか。「IKIGAI企業はこんなに素晴らしい会社。みんなに知ってもらいたい!」など、インタビューで得た思いを原動力に、学生ならではの視点で就活生たちにPRする方法を考えていきます。
〈3〉は、ピッチコンペ後に、IKIGAI WORKS主催で開催予定のイベント。それぞれのマイモノサシやPR戦略に対する意見交換会を、ゼミの枠を超えて、IKIGAI企業の方々とともに、サミットという形で行う予定です。
当初は「ピッチコンペへの参加は初めてで、不安」と緊張の面持ちで参加していた学生たちも、やることが明確になっていくにつれて気持ちがほぐれ、積極的に質問や感想が述べられました。最後には、「最初はわからないことばかりで不安でしたが、イメージをつかんだ今は、ワクワクしています」との嬉しい言葉も飛び出しました。
2.学びプロセスにて「自分ヒストリー」を探究(8月2日)
8月2日、西南学院大学の三井ゼミ生の「学びのプロセス」として、中間オリエンテーションが行われました。この日は、学生それぞれが作成したマイプロシートの発表会。発表のトップバッターは守住唯さんです。
「幼い頃からピアノを習い、中学と高校では吹奏楽部にてサックスを担当。中学、高校ともに部長を務めました。中学1年生のときに熊本地震を経験。希望が見えないほどのどん底を味わいましたが、吹奏楽部で復興イベントに参加したりするなか、地元の人たちが楽しそうに笑う姿を見た経験から、イベントプランナーやマーケティングに興味を持ちました。人を楽しませることで、地域を発展させ、社会を活性化させたい」
この発表を聞き、「行動力と企画力をマイモノサシにつなげていけそう」「同じように熊本地震を経験したが、どんな方法で人の役に立ちたいかという考え方が私と違う。感性は人によってこんなにも異なるのかと気づいた」という意見が出されました。また、須子からは「人を楽しませることに喜びを感じる唯さんはまさにエンターテイナー。お客さんのハッピーな反応を見ることが、仕事のやりがいにつながりそう」と伝えられました。
2番手は師玉夏歩さん。
「小学3年生のとき、ある友人との出会いをきっかけに、性格が外向的に変化。中学校では学級委員を努め、高校では多くの人に自ら話しかけていくことで、多様な考え方に触れる楽しさを知りました。読書や執筆など言葉を扱うことが大好きで、中学時代には弁論大会にも出場しています。自分のアイデアや『いいなと思ったもの』を言葉や文章で発信し、たくさんの人と関わり、多くの価値観に触れていきたい」
師玉さんの発表には「広いコミュニティに躊躇せずに飛び込んでいけるのは、うらやましい」「師玉さんはゼミのまとめ役で、私にないものがたくさんある」などの感想が述べられました。須子は「一人ひとりの価値観に興味を持てることは、人生における最良の武器。出会った人の分だけ楽しみを持てる。言葉で人を楽しませ、勇気づけることは、AIの時代になっても変わらず社会で求められること。今回のインタビューでも人とのぜひ出会いを楽しんでほしい」と話しました。
3番手は宮川優帆さん。
「私立の中高一貫の女子高時代、裕福な家庭の子が多く、金銭感覚の違いにショックを受け、将来、絶対にお金持ちになると決意。中高の6年間は写真部と新聞部を兼務。新聞部では多くの人にインタビューを行い、人とかかわる楽しさを知りました。大学生になってスターバックスコーヒーでバイトを始めたのですが、自分のあまりの不器用さに落ち込む毎日。それでもがんばっていたら、『接客やレジが最高』と先輩から褒められました。自分では気づけなかった長所を知り、仕事にやりがいを持てました。こうした経験から、Project編には人の心に寄り添い、人の心を動かすことを将来行っていきたい書きました」
宮川さんのこの発表を聞いて、「反骨精神がすごい。負けず嫌いな性格をばねに、やりたいことを発展させていけそう」「宮川さんは自分を不器用というけれども、新聞部での活躍は不器用ではできないはず」「新聞部での経験は、今回のコンペで大きな強み」との意見が出されました。須子も「マイプロシートのProject編に書かれている内容が素晴らしい。経験にもとづく言葉には説得力がある。マイモノサシづくりも、インタビューもぜひ自信を持って取り組んでほしい」とエールを送りました。
4番手は前田美波さん。
「私の長所は長続きすること。ピアノ、合唱団、吹奏楽部、ダイエットなど、一度始めたら何事もがんばり抜きます。ただ、小学生の頃から医療系の仕事につきたくて助産師を目指したのですが、高校生のときに血を見ることが苦手なことに気づき断念。今は、飲食店のホールのバイトを2つかけもちしつつ、大学生活を楽しんでいます。私は、自分が制作に携わった商品で、世の中の暮らしをいっそう豊かにしていきたい。マーケティングについて深く学び、専門的な知識を身につけたいです」
と話してくれました。そんな前田さんの発表を聞いた仲間の意見は「医療系の仕事を諦めるのではなく、マーケティングを医療系の商品開発にもつなげていけるのでは」「なんでも長続きする前田さんは、長く愛される商品をつくっていける人」。また、「元来、人見知りだが、初対面の人と話すのは好き」という前田さんに、「ステキな特技」と須子。「一期一会の出会いを楽しめ、初対面の人にどんどん話しかけられる人は、新規開拓の営業なども得意なはず。また、努力をして成果を出すタイプなのは素晴らしい」と伝えました。
最後は竹中美桜さん。
「幼い頃からピアノや水泳、サッカー、テニス、陸上などなどさまざまにチャレンジする、目立ちたがり屋。小学6年生では生徒会長になりました。年間100冊以上読む大の読書好き。東野圭吾作の『マスカレード・ホテル』にはまり、ホテルスタッフになりたいと夢を持ちました。現在はホテルでバイトをし、そこで憧れの先輩と出会ったことで、ますます夢への思いを強くしています。将来は、さまざまな国の人をつなぐホテルスタッフになり、たくさんの人の笑顔を間近で見続けたいです」
と、夢に向かって突き進む竹中さんに「夢に対する思いの強さがすごい」「これほどの意志を持っている竹中さんなら、世界と日本をつなぐホテルスタッフになれる」「ホテルにインタビューしては?」と一同、強い刺激を受けた様子。須子も「夢に向かって経験を積んでいくことで、この道で間違っていないという確信を、すでに得ていることが素晴らしい」と絶賛。一方で、「『隣の芝生は青い』というように、将来の夢が決まっている人、決まっていない人、どちらが優れているということはない。今回のピッチコンペを通し、マイモノサシをしっかり持って、どんな職業に就きたいのか見極めていこう」と学生たちに語りかけました。
3.各ゼミの中間レポート発表会(8月21日)
8月21日、各ゼミの中間レポート発表会がオンラインで行われました。参加大学は、西南学院大学、専修大学、九州産業大学、神奈川大学の4つのチーム。今回の目的は、これから行うインタビューやIKIGAI企業のPRの方法に関し、わからないことや困っていることも含めて、他大学のゼミ生と意見交換をして、互いに学び合う場にすることです。
トップバッターで発表したのは、西南学院大学のチーム。まず、一人ずつ、マイプロジェクトを通して生み出したマイモノサシと、そのマイモノサシから考えたIKIGAI企業への質問事項を発表しました。
次に、IKIGAI企業のPR方法について考えたことを説明。学生が魅力を感じる「映える活動」と企業の取り組みを結びつけ、堅苦しくない就活のスタイルを提案しました。
最後に、相談したい事案を発表。「西南学院大学では、経営者ではなく、人事課や広報課の担当者にインタビューをすることになる。社員さんならではの生きがいを深く掘り下げていくには、どう質問したらよい?」「就活において堅苦しく感じるのはどんなことか」と、他大学の学生たちに相談しました。
まず、他大学の学生からは、「就活は、すべてにおいて堅苦しい」「とくに堅苦しいのは面接。圧迫面接がよくあると先輩から聞く」という率直な意見が出されました。
また、熊倉は1つ目の質問にアドバイスしました。
「これはとても大切な質問。すべての大学が直面する可能性があることだが、そうなったら、切り替えて質問をつくっていくことが大事。たとえば『社員のあなたにとって、働きがいにつながった経験はありますか』とその人の経験に基づいて話せるような質問をするよい」
さらにインタビューの質問事項に対しては、
「『YES』『NO』で答えられる質問にしてしまうと、インタビューが膨らまない。相手がある程度自由に答えられるような質問を考えることが大事」
とアドバイスしました。
次に発表したのは、専修大学の大崎ゼミのチーム。それぞれのマイモノサシとインタビューで使う質問事項を発表。その後「24・25年卒の就活生にどうやってIKIGAI企業を広く伝え、就活先の選択肢に入れてもらうか」をテーマに、IKIGAI企業のPR方法を考えていく方向性が示されました。
そこで、同チームは他大学の学生に「自分が働く会社に導入してほしい制度、あったらうれしい制度は何か」「企業選びで大切にしていること」と質問。「転勤が少ない企業がいい」「フレックス制度を導入している会社で働きたい」との返事がありました。
なお、須子はインタビューの質問事項について、「質問の内容が全体的に固い。なぜ、この質問をしたいのか、インタビュアーの気持ちの部分もしっかりと伝えることが、相手の興味を引き出すためには大切」と、自分に主軸と置いて質問をする大切さを語りました。
3番目に発表したのは、九州産業大学の脇ゼミのチーム。ゼミの仲間でなかなか集まれず、準備が思うように進められない悩みが相談されました。これに対して、他大学の学生からは「私たちも予定をあわせることが難しかった。そこで、大学の学習ルームに来られる人は集まって、難しい人は1時間だけでも電話で参加するようにした」「全員で集まることにこだわらなくてもいい。集合人数が少なければ、それぞれが当事者意識を持って行動するので、かえって作業がはかどることもある」「全体で集まる日が決まったら、みんなで宿題を決め、集合日はその宿題の結果から内容を詰めていくとスムーズ」とアドバイスがされました。
最後は神奈川大学の中見ゼミのチーム。それぞれのマイモノサシが発表され、お互いにマイモノサシを深め合う交流が行われたと伝えられました。また、就活の際にどのように自分をアピールするとよいと考えるか、他大学の学生に質問しました。これに対して「自分の強みを伝えるより、明るく話したほうが面接の印象はよくなると思う」「事前に自己分析をしっかり行っておくことと、面接時には笑顔を忘れないこと」との返答がありました。
7月18日の説明会時には不安そうな表情を見せていた学生たちが、一つずつプログラムを進めていくにつれ、確実に成長していく姿が頼もしく感じられました。
このあと、いよいよIKIGAI企業へのインタビューが行われ、ピッチコンペへと望みます。ピッチコンペの様子は、シリーズ第3回目でお伝えします。
【取材後記】
本来、3か月間は時間をかけてじっくりと進めていくようなプログラムを、今回は夏休みの約1か月半で進めていくことになります。夏休みは学生にとっても忙しい時期。そのなかでたくさんのプログラムに取り組まなければならず、学生のみなさんも最初は混乱した様子でした。しかし、一つひとつのプログラムの意義を考えながらコミットしていけば、必ず大きな成果を得られるよう作り上げられている本プログラム。「この夏、自分は大きく成長した!」と飛躍の季節になるよう、ワクワクと楽しみながら新たなチャレンジに望んでほしいと願っています。がんばれ!