【シリーズ:健康経営と大学連携】企業インタビューの手法と心構えを学ぶ(熊倉教室①)

かちぞうゼミ(※1)の一環として実施されているIKIGAI WORKSと関西学院大学の松本ゼミ生とのPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。健康経営に取り組む企業へのインタビューなどを通じ、「働きやすさ、働きがいの実現という就職観の醸成」「学生と健康経営実践企業の交流の仕掛けづくり」「就職後の仕事観のミスマッチ防止」などを探っていくものです。今回は企業インタビューの心構えや具体的な進め方などについてゼミ生が熊倉からレクチャーを受けました。

〔松本ゼミ生〕

追矢裕子

中野太陽

宮武駿

吉道亜樹

小宮谷純怜

中山佳亮

谷本彩葉

〔講師〕

熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)

1.学生が企業を取材することの意義とは

熊倉:ゼミ生のみんなは、今回、大きなプロジェクトに挑むこととなり、ワクワクする一方、不安も感じているかもしれないね。

追矢裕子:はい。今回のプロジェクトについては、私たちもまだ手探りの状態。ただ、健康経営の施策として「昼寝の時間を設ける」「会社の中にジムを作る」「朝活」などが考えられるのではないかといった話をみんなでしてはいます。

熊倉:それはいいね。みんなには、健康経営をおこなっているホワイト企業(ブライト500認定企業)をインタビューしてもらうのだけど、それをメディアサイト『健康経営の広場』でも紹介していきたい。プロジェクト全体の成果を『働き方・生き方フェス』(※2)などで発表するのもいいんじゃないかな。その際、「ここで働きたい!」とみんなの思う“推し企業”を紹介するのも面白い。

みんなが行ったインタビューの様子は、動画配信や記事にするので取材先企業のPRになる。それと同時にゼミ生自身のPRにもしていきたい。「自分はこんな企業を取材して、こんなことを思った」といったことを『健康経営の広場』や自分のSNSで発信することはガクチカ(学生時代に力を入れたこと)としても説得力が出るし、みんなが成長していく姿を伝えられたら就活でも強力なアピール材料になると思う。

つまりインタビューを通して、健康経営に取り組んでいる働きやすい企業のPRを学生のみんながする。それとともに、インタビューを担当した学生のPRページもつくるということ。具体的には、それぞれのゼミ生が行ったインタビューが時系列に掲載されていて、次第に健康経営の理解度も深まり、働きがいとは? 生きがいとは? といったことを自分で考えられるようになっていく成長のストーリーを描いていければと考えているんだ。

さらに言えば、単にインタビューをする側とされる側としてだけでなく、インタビューや座談会の後は懇親会なども開く予定でいるし、ゼミ生と健康経営実践企業との交流の場をリアルとネットの両方で作っていきたい。それは、意欲の高い学生と健康経営に力を入れるホワイト企業との就職のマッチングにも繋がる。

仮にみんなが大企業に就職したとしても、悩みや不安を感じた時に相談ができたり、転職や副業の受け皿にもなるような関係性を築いてもらえればと考えているんだ。今は昔のように一つの企業でずっと働く時代ではなくなっているからね。いずれにしろ、まずは企業インタビューだ。

2.飾らず自分の気持ちを素直に伝えよう

数日後、何名かのゼミ生が企業インタビューを終えた段階で再び開かれた熊倉教室。

熊倉:今日も(中野)太陽が一人で企業インタビューに挑戦してくれた。太陽は自分で考えたオリジナルの質問もぶつけていたし、度胸もあって本当によかった。特に後半、相手の企業さんも乗ってきて盛り上がったね。

実は、すでにインタビューを終えた数社の企業さんから「学生の視点での質問、こちらとしてもとても新鮮でした。ありがとうございました」とお礼のメールなどもいただいているんだけど、ここで改めてインタビューをするときの心構えなどを話しておこう。

まずは背伸びをしたりせず、自分の気持ちを飾らず、正直に伝えること。例えば、インタビューを始める際「今日、初めてのインタビューでとても緊張しています。うまくできないかもしれませんが、よろしくお願いします」と言えば、緊張をほぐしてくれようとする経営者もいる。自然体で臨めば一気に相手との距離が近くなったりするんだ。いざインタビューが始まり、「健康経営を始めたきっかけはなんですか?」といった質問を投げかけると相手が答えてくれる。その答に対して、自分の素直な気持ちや疑問を返すことも大事だね。

中野太陽:わかりました。今後は相手の回答に合わせ、柔軟にアドリブも効かせながらインタビューをしたいと思います。

宮武駿:僕も企業さんから「おお!すごいね」と思ってもらえるようなレベルの高い質問をしたいと無理をしていた部分がありました。もっと率直に自分の気持ちを伝えるほうがいいと今の熊さんのお話を聞いて思いました。

熊倉:うん。基本の質問はこちらで用意するけど、みんなにも最低1問は考えてほしい。その際、健康経営の施策や制度を事細かく聞くというより、その施策を行っている理由、例えば「どうして女性社員を大切にする制度を設けているのか?」といった企業の考えを尋ねたほうがいい。

吉道亜樹:確かに、私の場合も質問に具体性を求め過ぎていた部分があり、もっと企業の想いや考えを理解できるようにしたいです。

小宮谷純怜:私はせっかちな性格なので、すぐに次の質問にいきがち。相手の答に対して、自分の感想を言いながらテーマを深掘りできるように頑張ります。

熊倉:いいね。そうすると会話にリズムが出て音楽のようになるよ。

中山佳亮:僕も質問に回答してもらった後、次の質問にいくときに間が空いたり、企業の方と言葉が重なったりして呼吸をうまく合わせることができていない部分がありました。

吉道亜樹:私も課題点は佳亮と同じ。感想を長々話して次の質問に移るタイミングがわからなくなってしまったり、時間配分を間違えたりしたことが反省点。逆に良かったのは、自分自身、企業さんへのインタビューを楽しめたこと。

熊倉:楽しいと言ってくれたことが何よりも嬉しい。亜樹はインタビュー中もずっと笑顔だったし、見ていても楽しそうだったよ。みんなも相手の胸を借りながらインタビューを楽しんでほしいな。

八幡 大:はい。僕も不安な気持ちがありましたが、すでにインタビューを終えたみんなや熊さんの話を聞いていて、とても参考になりました。企業の人たちもしっかり答えてくださるようですし、流れを掴みながらインタビューに臨みたいと思います

3.企業の光る部分を健康経営で見つける

谷本彩葉:ちょっといいですか? インタビューの目的について改めて確認させてください。健康経営に取り組んでいるホワイト企業の事例として、その企業特有のものを求めたほうがいいのか、それとも普遍的な面を求めたほうがいいのでしょうか?

熊倉:とてもクレバーな質問だね。健康経営に取り組んでいる中でも、今回みんながインタビューするのは上位500である「ブライト500認定企業」。だから、何かきらりと光るものが必ずある。そこをインタビューで引き出せたらいい。

その光る部分を引き出すための材料が健康経営。今回インタビューを受けてくれる企業はどこも社員のことをとても大切にしている。社員を大切にしている理由、そのための具体的な取り組み、そして社員を大切にしていることでどのような好影響をもたらすのかといったことを聞き出せたらいいね。

【取材後記】

熊倉と松本ゼミ生による活発なやり取りが展開された熊倉教室。企業にインタビューすることに期待とともに不安を覚えていた松本ゼミ生たちも、熊倉の話を聞いているうちその不安も大分、払拭されたようです。特に企業インタビューをすでに経験したゼミ生には、短期間にみるみる成長している様子が垣間見られました。今後、松本ゼミ生はさらに多くの企業インタビューに挑んでいきます。

(※1)産学連携かちぞうzemiは、一般社団法人そばくりラボ主催の「かちぞう企画」の一つで、産学連携で価値創造にチャレンジする実践的なPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。より良い社会の構築を目指して価値創造するための実践的な調査研究活動に、学生がチーム単位で半年間かけて取り組む。

(※2)第一回『働き方・生き方フェス』は2020年9月15日に開催。『ニューノーマルで変わる働き方、変わらない働き方』をテーマに健康経営のトップランナーはもちろん、脳科学者の茂木健一郎氏をはじめ、各分野の第一線で活躍する方々が集結。3つのスペシャルステージ、9つのラーニングステージ、6つのソリューションステージが繰り広げられた。第二回『働き方・生き方フェス』は2023年開催予定。

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