【シリーズ:健康経営と大学連携】健康経営の広場のミッション、フェス、中間報告に向けて(熊倉教室②)

かちぞうゼミ(※1)の一環として実施されている健康経営の広場と関西学院大学の松本ゼミ生とのPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。健康経営に取り組む企業へのインタビューなどを通じ、「働きやすさ、働きがいの実現という就職観の醸成」「学生と健康経営実践企業の交流の仕掛けづくり」「就職後の仕事観のミスマッチ防止」などを探っていくものです。今回は健康経営の広場のミッションや今後の動きについて話し合いました。

〔松本ゼミ生〕

谷本彩葉

宮武駿

追矢裕子

中山佳亮

八幡 大

小宮谷純怜

〔講師〕

熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)

1.熱意あふれる社員は6%しかいない現実

ホワイト企業(ブライト500認定企業)へのインタビューに続々と挑戦している松本ゼミ生たち。そんな中、「なぜ健康経営が必要なのか」「健康経営の広場が働きがい、生きがいという価値観を社会に浸透させる活動をしている理由」についての話が熊倉からなされました。

熊倉:みんなのホワイト企業へのインタビューもすでに20社を超えている。企業インタビューをやり切っているのはすごいことだし、グループLINEでも企業インタビューで思ったこと、感じたことを積極的に書いてくれている。みんなの懸命にプロジェクトに取り組む姿に本当に感服しているよ。

気づいている人もいると思うけど「ウチの会社は社員の健康や幸せを一番大事にしています」と言い切る会社さんが多かったよね。でも、一般的には、株主資本主義などという言葉もあるように、社員の幸せより売上や株主のことを優先する企業がまだまだ多いのも現実。そういう会社で働いているとやりがいを搾取され、なかなか働きがいを感じられないし、仕事が生きがいとならない。

実際、2019年にも「日本は『6%』しか『熱意あふれる社員』がいない!」という米ギャラップ社の調査が新聞でも紹介されている。そうした中でも、今回、みんなが取材した企業のように、社員の健康や幸せを第一に考えている会社があることを大勢の人に知らせたいし、そういう会社を増やしていきたい。どうやったら生きがいを感じられる働き方ができるかを考え、働きがい、生きがいに満ちた社会を実現することが健康経営の広場のミッションなんだ。

『働き方・生き方フェス』(※2)もそのための活動の一つ。前回の『働き方・生き方フェス』はコロナ禍の影響もあり、「ニューノーマルで変わる働き方、変わらない働き方」をテーマにした。脳科学社の茂木健一郎さんをはじめ、各業界のトップランナーの皆さんに集まっていただき、1300人規模のイベントとして成功を収めることができた。2023年の第二回『働き方・生き方フェス』は、さらに大きなスケールで開催したいと思っているんだ。だから、みんなからも「こんなテーマにすれば面白い」「こんな人を呼ぶといい」といったアイデアや意見を出してほしい。みんなが今、インタビューをしているホワイト企業の中でも、「ここは特に素晴らしい」という自分の“推し企業”を紹介するのもいいんじゃないかな。

2.健康経営をどうやって広めていくか

熊倉:さて、かちぞうゼミの中間報告会も近づいているよね。どんな形にする予定なの?

谷本彩葉:はい。健康経営を実践するホワイト企業をインタビューする前と後で「健康経営に対するイメージがどう変わったか」「私たちが何を感じたか」「今後どんなことを企業に聞いてみたいか」といったことを発表するのがいいのではないかとみんなで話し合っているところです。

宮武駿:そうだね。僕が特に企業に聞いてみたいのは、ビジネスと健康経営の関係性。中間発表なので、現時点で僕たちが健康経営に対して抱いている疑問なども投げかけながら発表するのもいいと思う。

追矢裕子:流れとしては二人の意見と同じ。それと、現在、健康経営に取り組んでいない企業に対し、どうすれば取り組んでもらえるようになるかといったアイデアを入れると、一歩踏み込んだ中間発表になるんじゃない?

中山佳亮:いいね。どうせなら健康経営を学生にも広めていこう。例えば、就活をしている学生に「健康経営について知っているか?」「知っている人は、どんなイメージを持っているのか?」といったアンケートをとり、それをもとにして健康経営を学生に広めていく戦略を立案するのもいいよね。

八幡 大:大賛成。それを『働き方・生き方フェス』などで発表するのも面白いよね。

熊倉:みんなすごいなあ。そこまで考えているとは驚いた。私は企業に対して、健康経営を広めていくことには自信を持っているけど、学生にどうやって健康経営を伝えていくかについては正直、自信がない。そのあたりはゼミ生のみんなで考えてほしいし、みんなの力をぜひ借りたい。

3.自分軸を探求するためのダイアログ

健康経営を実践するホワイト企業へのインタビューを行ってきた松本ゼミ生たちですが、今度は逆にインタビューを受けることになりました。それが『自分軸を探求するためのダイアログ』。「子供の頃から熱中していたことは?」「どんな社会人になりたいか?」「ホワイト企業をインタビューして何を思ったか?」という質問に答えながら、自分の中の価値観、仕事に求めることは何なのかといったことを考えるものです。

熊倉:裕子にはさっそくダイアログ(インタビュー)を受けてもらったけど、何か感想はある?

追矢裕子:自分がインタビューをされるのは初めての経験で緊張した部分はありましたが、途中からリラックスし、自分の気持ちを素直に表現できるようになりました。

熊倉:実は、仕事に求めることは、子供の頃から熱中していたこととリンクしていたりするんだ。だから、そこを明確にすると自分の中で大切にしている価値観なども見えてくる。今回、みんなにはホワイト企業へのインタビューをしてもらっているけど、その経験は自分が仕事に求めること、どんな社会人になりたいかを確かめたり、考えるヒントにもなると思うよ。

追矢裕子:そうですね。これまでの就活では、単純に仕事への興味や福利厚生などで企業を選んでいました。ですが、ホワイト企業へのインタビューや今回のダイアログを経験することで、企業選びの新たな軸が私自身の中に生まれていて、いい意味で迷いが出ています

熊倉:逆に言えば、企業選びのポイントが増えたということだね。それはいいことだと思う。(中山)佳亮、(小宮谷)純怜にもこれからダイアログを受けてもらうけど、今の裕子の話を聞いてどう思った?

中山佳亮:僕も今、就活中ですが、自分の軸がまだあまり定まっていない部分がありますので、今回のダイアログはそれを明確にすることにも役立つのではないかと思います。

小宮谷純怜:私自身、就活の面接で「あなたの価値観はなんですか?」とよく聞かれることがありますし、私も自分の価値観や本当にやりたいことは何なのかという自分軸をダイアログを通じて明確にしたいと思います。

熊倉:よし、その部分を一緒に掘っていこう!

【取材後記】

健康経営を実践するホワイト企業のインタビューを通じ、ぐんぐん成長を遂げる松本ゼミ生たち。どうやったら健康経営をさらに企業や学生に広めていけるかといったテーマにまで踏み込んでいく姿には驚かされました。また、『自分軸を探求するためのダイアログ』を受けることで、自分が本当に大切にしていることは何なのかについても考え始めているゼミ生たち。次回はこのゼミ生の『自分軸を探求するためのダイアログ』を受ける様子についてご紹介します。

(※1)産学連携かちぞうzemiは、一般社団法人そばくりラボ主催の「かちぞう企画」の一つで、産学連携で価値創造にチャレンジする実践的なPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。より良い社会の構築を目指して価値創造するための実践的な調査研究活動に、学生がチーム単位で半年間かけて取り組む。

(※2)第一回『働き方・生き方フェス』は2020年9月15日に開催。『ニューノーマルで変わる働き方、変わらない働き方』をテーマに健康経営のトップランナーはもちろん、脳科学者の茂木健一郎氏をはじめ、各分野の第一線で活躍する方々が集結。3つのスペシャルステージ、9つのラーニングステージ、6つのソリューションステージが繰り広げられた。第二回『働き方・生き方フェス』は2023年開催予定。

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