【インターン生によるIKIGAI企業インタビュー】人の命を守るヒーローたちに感動。経営者と従業員が感謝し合える企業風土に理想を見る(株式会社キムラ)

【インターン生によるIKIGAI企業インタビュー】人の命を守るヒーローたちに感動。経営者と従業員が感謝し合える企業風土に理想を見る(株式会社キムラ)

IKIGAI WORKSと九州産業大学によるIKIGAIインターンシップ(※1)の一環として行われた株式会社キムラへのインタビュー。国土交通省の災害対策用の特殊車両などの点検・整備を任され、大勢の人の命や安心・安全を支える仕事をしているキムラさんに、インターンの3人はどんな働きがい・生きがい、そして自分の未来の可能性を見つけたのでしょうか。

〔株式会社キムラ〕

木村 高人(代表取締役社長)

林 和貴(サービス部 主査)

山田 香織(総務部 主任)

〔インターン生〕

伊藤 七海(九州産業大学 商学部 経営・流通学科 2年生)

長戸 未久(九州産業大学 商学部 経営・流通学科 2年生)

山元 崇誠(九州産業大学 商学部 経営・流通学科 2年生)

〔インターン受け入れ企業〕

熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)

1.人が困った時に現れるヒーローのように

熊倉:今回のインタビューを前に、このインターン生の3人は人生を振り返りながら「本当に自分がやりたいことは何か?」「働きがい、生きがいを感じられる仕事や会社は?」といったことを探求しました。その答を探すため、あるいはさらに深めるためにIKIGAI企業(※2)であるキムラさんにお話を伺いに来たというわけです。では、早速インタビューを始めさせていただきましょうか。

山元崇誠:本日はこのような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。御社は特殊車両の点検・整備などを中心に事業を展開されているということですが、特殊車両とは具体的にどのようなものでしょうか?

木村社長:当社で扱っているのは、除雪車や道路のゴミを回収する車などです。稼働するのは雪などの悪天候の時や夜間になるので、あまり皆さんの目に触れることがないかもしれませんね。

山元崇誠:実は私は鹿児島県出身なので桜島が噴火すると街中や道路が火山灰でいっぱいになり、みんなが大変な思いをしていたのですが、そんな時、あっと言う間に火山灰を吸い上げてくれる車を見たことがあります。人が困った時に現れてみんなを助けてくれる、いわばスーパー戦隊のようにも見え、子供心にも「かっこいい!」と思っていました。

木村社長:それは嬉しいですね。まさにその「かっこいい」を私も大切にしたいと思っているんです。と言うのも、私たちのような点検・整備の仕事はあまり表には出ず、どうしても黒子や裏方のポジションになります。ですが、国土交通省の災害対策用の車両のメンテナンスなどの業務も請け負っており、今日もこれから台風で土砂崩れがあった中部横断道の現場に向かいます。

また、今年のお正月に起きた能登の震災の時も2週間以上、当社の職員を現地に派遣しました。そういった社会のお役に立つ仕事を任せていただいているので「あなたたちは、たくさんの人の命や安全を守る仕事をしているんだ。そのことにもっとプライドを持っていいんだよ」と職員に言ってあげたい気持ちで一杯です。

伊藤七海:本当にそうですよね。災害によって被害が出ている様子はニュース映像などで見ますが、どんな人たちが、どうやって復旧に携わっているのかはあまり知ることができません。でも、そういう方々のご苦労の上に私たちは普段の生活ができています。有り難いですし、困っている人を助けるヒーローのような仕事だと思いました。

木村社長:ありがとうございます。私も先代社長も地味に目立たず、コツコツ頑張るという、昔ながらの気質で事業を続けてきたので情報発信の面で弱い部分があります。ですから、職員をもっと表舞台に立たせたいという想いが最近、特に強くなっています。

長戸未久:現在はそういった職員の皆さんのご活躍の様子などをどのように外部に発信していますか?

木村社長:当社のホームページをご覧いただいたかもしれませんが、更新がほとんどされていない状態です。本当はもっと「こういう仕事をしました」「こんなプロジェクトに関わりました」ということをタイムリーに発信していきたいですし、会社として必要なことだと思っています。

長戸未久:私は、シナリオライターなどの仕事に興味を持っています。もし御社に入社した場合、ホームページやSNSなどで情報発信をする仕事をさせていただくことは可能でしょうか?

木村社長:ぜひお願いします! 私たちは情報を発信するのがあまり得意ではないので、長戸さんのように表現力のある方に私たちのことを世の中の人に広く、伝えてほしい。

伊藤七海:職員の皆さんも、自分の働きぶりを外部の人に知ってもらえると嬉しいでしょうし、自分の仕事にさらに誇りを持て、やる気につながるのではないでしょうか。

木村社長:おっしゃる通りです。その外部への情報発信で忘れてならないのが職員の家族。自分の旦那さん、お父さんがどんな仕事をし、それがどのように世の中のためになっているかといったことを、意外とご家族は知らないのではないでしょうか。ですから、そういった仕事のこと、そして健康経営などを通じて職員を大事にしていることもご家族に知っていただき、安心してもらいたいと思っています。

2.技術力=人。だからこそ健康経営に取り組む

伊藤七海:木村社長が事業を展開する上で大切にしているものは何でしょうか?

木村社長:やはり人ですね。整備士がいなくては私たちの業務は成り立ちません。まさに技術力=人。健康経営に力を入れているのも、人を大事にしたいという想いからです。健康で長く元気に働いてもらうことは職員の幸せに繋がりますし、会社にとっても必要不可欠のことです。

そのことをまざまざと思い知らされた出来事があります。4年前、当社の従業員ががんでこの世を去りました。57歳でした。彼は当社に約40年間勤めてくれており、まさに中核を担ってくれている一人でした。今、言ったように当社は人で成り立っている会社ですから、事業にも少なからず影響がありました。

彼は人間ドックを受けて再検査が必要だと言われていたのですが、しばらく時間を空けてしまい、このことが死期を早めてしまう要因になったのではないか、もっと何かしてあげられたのではないかと後悔ばかりが生まれ、深く反省し、健康経営に力を入れるきっかけにもなりました。

長戸未久:そのような経緯があり、御社は健康経営をはじめ、人を大切にする経営をされているのですね。職員の皆さんがそれを実感することを教えて下さい。

林:そうですね。特に職員の働きやすさを社長はすごく考えてくれています。例えば、私たち女性も出産や子育てをしながらでも安心して働き続けることができます。産休明けも時短勤務などで無理なく仕事に復帰できますし、子供が病気した時などは、男性も女性も会社を休んだり、出勤を遅らせて病院に連れていけます。それが制度だけではなく、風土として全体に浸透しています。

山田:全くその通りで家族に何かあると「早く帰ってあげて」と周りも温かく送り出してくれます。それとキャリアアップもしやすいですね。私の場合、最初、子育てをしながらパートとして働いていたのですが、下の子が中学に入ったのを機に時間に余裕ができ、それを社長に話したら「ぜひ正社員になってください」と言われ、とても有り難かったのを覚えています。

3.働きがいの土台となるのが働きやすさ

山元崇誠:御社は男性も女性も関係なく、安心して働ける制度や風土があるのですね。そういう環境の中、働きがい、やりがいを感じるのはどのような時ですか?

林: はい。私は今、国土交通省の災害対策用の車両をメインに担当しており、整備士と一緒に点検・整備の現場にも行っています。そうやって働くうちに特殊車両についての専門知識も増え、国土交通省さんとのやりとりも任せてもらえるようになりました。

先ほど能登の災害のお話がありましたけど、実は私が担当する車両もあの時、お役に立つことができました。台風などで水が増えた時に使う排水ポンプ車、夜間照明に使う車、災害が起きた時に対策本部を設置する車両など、実際に稼働するのは年に一度くらいしかなくても、整備士たちは一台一台しっかり点検し、メンテナンスを怠りません。そんな整備士の姿に感動しますし、私自身、この会社で働いていることに誇りを感じます。

山田:私は特殊車両ではなく、普通の自動車の車検や修理を担当しており、お客様も一般の方です。お客様が運転中にバッテリーが上がってしまった時などに当社の整備士がかけつけて対応した際、「本当に困っており、とても助かりました」などと感謝してもらえると嬉しいですし、人のお役に立てたことにやりがいを感じます。

4.経営者と従業員が支え合い、感謝し合う関係

伊藤七海:これまでのお話で働きやすさ、働きがいの両方ある会社であることが伝わってきました。そのような会社を経営される中で木村社長の一番の役割は何でしょうか?

木村社長:実は私は点検・整備の仕事はできません。だから、職員が元気に安心して働けるようにすることが私の仕事です。特に家庭や健康の事情などで離職をしてしまうということだけは避けたいですし、健康経営や制度面も含め、職員をバックアップすることが私の最大の役割です。

山元崇誠:私たち学生からすると、会社の経営者は雲の上の人というか、なんでもできる完璧な人というイメージを持ちがちですが、実際は一人の人間なのでそんなはずはありませんよね。木村社長は、自分は整備の仕事はできない、だからこそ職員を支えるんだという、その経営者と従業員の関係性がとてもいいと感じました。それが会社の雰囲気が明るく、のびのびしている原因ではないでしょうか。

木村社長:ありがとうございます。点検・整備ができない方が逆に良かったのかもしれませんね。自分ができていたら「何やってんだ!」とつい口に出してしまっていたかも(笑)。点検・整備はできない私は、職員に食べさせてもらっているとも言えますし、今の生活ができるのは本当に職員のお陰なんですよ。

.熊倉:いやいや、「職場」は「場」です。その場をどうプロデュースするかが経営者の大きな役割ですし、木村社長はその役割を見事に果たしています。

長戸未久:木村社長は、従業員の家庭や健康のことをしっかり考え、安心できる「場」を作っているということですね。

木村社長:それこそが私の責任です。それと、私は昭和の時代に社会人になったので、仕事があってこそ家族を養い、趣味を楽しめるという考えでした。でも、今は人生の中で家庭や趣味などと仕事が同列にあるべきだと感じています。職場は一日の中で長い時間を過ごしますから、人生においても大事な場所。ですから、ただ仕事をするだけでなく、できるだけ楽しく、気持ちよくいられる場所になってほしいと考えています。

5.インターン生の会社選びの軸に変化が生まれる

熊倉:じゃあ、最後に3人から今日のインタビューの感想を言おうか。

山元崇誠:学べるのは大学までと思っていましたが、御社では入社後も自分を高め、成長させられる環境があり、とても素晴らしいと感じました。

長戸未久:私は今、自分の将来のことを考える時期に入っているのですが、今回のインタビューで経営者の生の声を聞け、普段、学生には知ることのできないことも知れて本当に貴重な体験ができました。

伊藤七海:IKIGAI WORKSのインターン生となり、マイプロジェクト(※3)にも取り組み、自分が本当にやりたいことやそれを実現できる仕事について考えてきました。今回、木村社長のお話を通じて、それをさらに深められましたし、私自身の中で会社を選ぶ軸も変わってきています。

木村社長:少しはお役に立てたかな? 実はこういう話って普段、当社の職員にもしたことがありません。今日は林、山田の二人にも同席してもらい、聞いてもらえたのでそういう意味でもいい機会になりました。

熊倉:今回のインタビューを通じて3人のインターン生は、仕事や会社を選ぶ時のやりがいポイントは何かといったことを学べました。さらに、このインタビューの様子を私たちのほうで記事にさせていただき、「こんなにも人を大切にし、仕事に働きがいを持てる会社があるんだ」ということを広く、大勢の人に伝えていきたいと考えています。本日はありがとうございました。

【取材後記】

前に乗り出すように木村社長の言葉に耳を傾け、自分達が聞きたいと思っていることをぶつけたインターン生たち。たくさんの驚き、発見、学びがあったようです。「仕事とはお金を稼ぐ手段」「会社を選ぶ基準は知名度や待遇面」といった固定概念にとらわれず、自分自身を見つめる絶好の機会になったようですし、近々の就活はもちろん、働くということ、生きるということを考えていくための貴重な経験になったことでしょう。

(※1)株式会社IKIGAI WORKSによるインターンシップでは、昨今、インターンシップが就活の入り口となっている風潮の中、それとは違った視点から「働くとはどういうことか?」「働きがいとは?」を学生たちが学び、体験。自分が本当にやりがいを感じることは何か? そして、それを実現できる仕事や会社はどういうものなのかを探求していきます。

(※2)IKIGAI企業とは、一人ひとりが働きがい、生きがいを探求、実践することで、働くことを通して社会とのつながりや幸せ(社会的健康)を感じ、身体的・心理的に健康で、結果的に生産性や創造性の高い働き方を実現している企業のこと。

(※3)マイプロジェクトとは、自分自身の心と対話し、自分が本当にしたいこと、感じていることを知った上で「私のプロジェクト」を創り出していく手法。マイプロシートを使って行い、マイプロシートは「マイプロMe編」と「Project編」に分かれており、マイプロMe編では自分の人生を振り返りながら、どんな体験をし、それが自分の中でどういう価値観を醸成していったのか。Project編はこれから自分がどんなことをしていきたいかということを書き込んでいく。

<企業データ>

会社名:株式会社キムラ

事業内容:特殊車両・特装車両・特殊機械の点検・整備など

賃貸所在地:〒400-0043 山梨県甲府市国母5-10-17

資本金:1,000万円

社員数:40人(2024年6月現在)

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