【座談会:ホワイト企業】トップランナーたちが健康経営の今と未来を大いに語る 

ブライト500企業による座談会が2022年11月24日に開かれました。企業ごとの取り組みや工夫、今後の展開などについて活発な意見や情報の交換がなされ、健康経営の今と未来が見えてくる座談会となりました。

〔ブライド500企業〕

石川啓夫(東京すずらん 代表取締役)

池ノ谷幸枝(東京すずらん 総務部部長)

石川格子(東陽電気工事 代表取締役社長)

西沢頼母(エーオーエーアオバ 専務取締役 健康経営推進 室長)

菊地公信(NSK 執行役員 本部長)

坂本武治(NSK 企画・総務部 人事担当)

〔司会進行〕

熊倉利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役) 

1.それぞれの工夫を凝らした健康施策

熊倉:本日はブライト500認定企業の皆さんにお集まりいただきました。まずは自社の事業や健康経営の取り組みについて簡単に教えてください。

西沢:はい。エーオーエーアオバは、サプリの販売など健康に関連する事業をおこなっています。社長が83歳で今も現役。自分の健康に気をつけているのですが、従業員の健康づくりについてもとても力を入れており、タバコを吸わないことも当社の採用の条件になっています。そういった取り組みがブライト500などの認定にも繋がったのだと思います。

坂本:NSKは電気・通信や内装設備などの企画・設計・施工を手掛ける会社。営業所が全国に12ヶ所あります。当社の健康経営の一つの特徴は、外部の力を積極的に借りながら取り組んでいるところ。例えば、アプリ会社さんにご協力いただき、ウォーキングの歩数であったり、お酒を飲まなかったらポイントがもらえるといったことをしております。アプリ会社さんも当社の要望を快く受け入れ、一緒になってあれこれやり方を考えてくれています。

池ノ谷:東京すずらんは、おしぼりのレンタルをしている会社です。以前は、おしぼりと聞くと、どこか水商売のようなイメージを持たれる方もいらっしゃいました。そういうイメージを払拭して、健全な会社なんだということを知っていただきたいというのも健康経営に取り組むきっかけの一つになりました。当社の健康経営の特徴としては、お金をあまりかけずに効果をあげていくことです。

石川(格):東陽電気工事は、福島県で電気・通信・消防設備工事をおこなっています。仕事柄、腰痛などに気をつける必要がありますし、年齢が高めの従業員はメタボにもなりがち。それで6年前から「野菜を食べよう」「運動しよう」と健康に気を配るようになりました。

当社もトレーニングジムや食品会社さんなど外部のサービスを使ってみたのですが、池ノ谷さんがおっしゃるようにお金のかかるものは案外、続かないんですね。そこで、大塚製薬さんのカロリーメイトなどの自販機を置いてみました。これは無料というより、むしろ自販機を設置することでお金をもらえますし、従業員がコンビニに行く回数が減るなど副次的な効果も出ています。

2.従業員をいかにして巻き込むか

熊倉:長く健康施策に取り組んでくるとネタが尽きたり、飽きたりする場合もあります。どんな工夫をして従業員を巻き込んでいますか?

石川(啓):東京すずらんでは、人とのコミュニケーションがあまり得意でない人にスポットを当て、その人が好きなことをみんなでするということを20年前から取り組んでいます。例えば、メイドカフェに行ったり、トレッキングなど自分の好きなことならコミュニケーションが苦手な人も積極的に参加してくれますし、他の人も新しい経験をすることができます。新しいことにも好奇心を持って取り組む人は、仕事でも積極的に新しいことに挑戦してくれますので、社員の性格の見極めにもなります。

菊地:それはいいですね。当社でもコロナ前までは一緒に野球観戦をしたり、旅行をするなどしていました。また、社員のお子さんに文房具をプレゼントするということもしていました。

石川(格):当社は忘年会やバーベキュー大会などで従業員の家族を巻き込むようになりました。それと月に一回、社内報を発行しているのですが、一番読んでほしいのは従業員のご家族です。会社のことを知ってほしいですし、ご家族の会話の中で当社や仕事のことを話題にしてほしいという願いを込めて作成しています。

池ノ谷:(社内報を触りながら)紙もツルツルで品質がいいですね。

石川(格):紙は通信販売で購入し、編集はパワーポイントを使い、私がおこなっているので費用もあまりかかっていません。

西沢:エーオーエーアオバでは、岡山大学のドクターが開発した体内年齢や体型崩壊指数を算出できるシステムを使い、個々にあった健康づくりに取り組んでいます。それと食事では一口食べたら一旦箸を置くということをしてもらっています。よく30回噛めと言われますが、箸を一旦置くだけでも、自然と食べる量が減ります。それらの成果が出て、3人いた保健指導の対象者を1人に減らすことができました。

3.健康経営を事業化して利益を出す

熊倉:今後、力を入れていきたいことなどがあれば教えてください。

坂本:当社では20代から70歳近くまでと幅広い年齢層の人が働いていますが、採用も意識し、若い世代に興味を持ってもらえる施策を始めています。メタバースの導入もその一つ。テレワークでヴァーチャルオフィスをやってみました。最初はみんな不慣れなので「声が聞こえないよ」「これどうやって操作するの?」など四苦八苦するのですが、それも含めて楽しい。当社は営業所が12ヶ所ありますが、ヴァーチャルオフィスならみんな集まることができます。

菊地:そうですね。Web会議などだと変に改まってしまうところがありますが、ヴァーチャルオフィスですとフランクなやり取りができますね。

熊倉:バーチャルオフィスは以前から?

菊地:はい。NSKの本社は千代田区九段南にあり、場所的に東京オリンピック期間中は出社が難しいだろうと想定していました。その対応策としてバーチャルオフィスの準備をしていたのですが、その後、コロナ禍となり、テレワークでたまたまバーチャルオフィスが役立ちました。

池ノ谷:何事も継続が大事ですよね。後継者の育成も大事。健康経営についても若い世代が引きついでくれるようにしていきたい。

菊地:ブライト500認定についても、申請する企業数は年々増えていますが、認定を受けられる500社という枠は変わらないので、これまで以上にしっかり取り組む必要がありますね。

石川(格):福島県では健康経営に取り組む企業がまだ少ないので広めていく役割も果たしたいと思っています。健康経営ゲームを主催し、10社くらいに参加いただきましたが、来年はさらに本格的に運用していきたいと考えています。

石川(啓):それは利益が出るのですか?

石川(格):はい。月2回ほど有料で開催しています。

西沢:健康経営を事業化していってほしいとよく言われますよね。

池ノ谷:そうですね。東京すずらんでは今、他社さんへの指導を無料で行っていますが、今後、有料化できるといいですね。

石川(格):今はインスタなどで紹介したり、SDGsのイベントに参加したりしてますが、小学生向けのイベントを開くと保護者の方々にも来てもらえますし、当社の取り組みを知っていただくきっかけにもなります。

熊倉:地域や取引先企業を巻き込むと、自社も刺激を受けて好影響が出ます。そのためにも広報活動が重要になりますね。1社ではできないことも数社が集まれば新規事業も展開できるのではないでしょうか。今回のみなさんのお話を伺い、新たな可能性をとても感じました。

【取材後記】

さすがブライト500認定企業だけあり、それぞれ工夫を凝らした健康経営に取り組んでいることに感心させられました。また、バーチャルオフィスなど先進的な取り組みや、他社を巻き込みながら健康経営ゲームを開催する企業まで登場。自社従業員の生産性、創造性を高めるだけでなく、健康経営の普及や収益化など今後を見据えた活動をしていることにも驚かされました。これらの企業が協力し合うことで相乗効果をもたらし、新たな価値やビジネスを生み出していってくれることでしょう。

<企業データ>

会社名:株式会社東京すずらん

事業内容:レンタルおしぼり/業務用雑貨販売

所在地:〒335-0005 埼玉県蕨市錦町2-3-1

資本金:5,000万円

社員数:60名

会社名:東陽電気工事株式会社

事業内容:電気・通信・消防設備工事

所在地:〒961-8055 福島県西白河郡西郷村字道南西85番地

資本金:2,500万円

社員数:8名

会社名:株式会社エーオーエーアオバ

事業内容:健康食品、自然食品の販売/環境浄化機器システムの開発及び販売/医薬品、医療機器、化粧品の輸入販売/企業経営コンサルタント業 他

所在地:〒112-0015 東京都文京区目白台3−4−11 ジーエフビル

資本金:1億円

社員数:12名

会社名:NSK株式会社

事業内容:電気・通信設備、内装設備、その他設備全般の企画・設計・施工/ネットワークの企画・設計・構築・保守・監視業務/カメラシステム、入退室管理システムの企画・設計・構築/オフィス移転・新設に伴うレイアウト設計、デザイン

所在地:〒102-0074 東京都千代田区九段南2-3-1 青葉第一ビル

資本金:1億円

社員数:249名(2023/01/01現在)

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