食育活動の広がりを実感!「健康食育AWARD2018」

決戦プレゼンテーションで食育の持つ幅広い問題解決力を実感

去る2月、社団法人日本健康食育協会が主催し、健康にまつわる社会課題を解決することを明確な目的として活動している団体や個人を表彰する「健康食育AWARD2018」が開催されました。

決戦大会はまず、片岡総一岡山県総社市長の基調講演「これからの自治体は独創性と競争力」からスタート。続いて、ファイナリスト8組がプレゼンテーションを行いました。

新生堂薬局ニュートリションチームのテーマは「健康な暮らしのお手伝い~薬局が地域一番のヘルスケアステーションになるために~」。薬局・ドラッグストアに勤務する“薬局栄養士”としての活動について発表が行われました。

食品宅配サービス らでぃっしゅぼーや株式会社のテーマは「保育園における食育現場の課題に取り組む らでぃっしゅぼーやの保育事業者向け食材提供サービスについて」。として取り組んできた保育園用レシピ付き食材提供や専用ECサイトについて発表されました。

一般社団法人MOAインターナショナルのテーマは「日本食で健康づくり~食育を全国各地で~」。食育資格者の養成や、日本型食生活を広める地域でのボランティア活動について発表されました。

取り組んでいる活動内容はもちろん、業種や所属団体もまるで違う8組。それだけに、各組のプレゼンテーションを通じて、食育というテーマの幅広さをあらためて感じさせられることとなりました。

セミファイナリストとしてセルメスタ代表・熊倉利和も登壇

各組のプレゼンテーションに続いては、惜しくも決勝大会進出を逃したセミファイナリストが登壇し、それぞれの取り組みを紹介します。ここで、株式会社セルメスタ代表・熊倉利和も登壇し、自社の健康経営に関する取り組みについて発表。

健康食育シニアマスターの資格を持つ自身が講師になって、年数回食育に関する社内研修を行っていること、さらに社内有志を集め、約10日間みそ汁とごはんだけの食生活を送る「食べる断食プログラム」を実践していることや、その成果について紹介しました。

ユニークな取り組みが目立った受賞者のみなさん

この間にも審査は進み、いよいよ各賞が決定。「健康食育AWARD2018」の受賞者は次の5組となりました。

スポンサー賞

日本成人病予防協会「バナナうんちで元気な子!~生活リズムを整えよう~」。

食べるだけでなく消化吸収や排便にまで目を向けた児童教育への取り組み。クイズやダンスを取り入れた楽しい授業、自分で睡眠時間や朝食内容、便などを記録できるチェックシートの配布など、子どもの関心を捉えるユニークさが印象的です。

審査員特別賞

食アスリート協会「食アスだからできた連携サポート」

女子アスリートの海外遠征に帯同、主婦経験を生かし、国内のチームとも連携しながら食のサポートを行った食アスリートシニアインストラクターの鬼束そのみさん。競技を意識し「食べない」スタイルから、「食べる」ことで体を作るスタイルへ転換させた取り組みなどが注目されました。

銀賞

ミオ・ファティリティ・クリニック栄養管理部「ママになるなら『みおごはん』」

産婦人科クリニックとして女性の「食べた経験値」の不足に着目、妊娠や出産を機とした食生活の見直しを薦め、クリニック内でのランチ会や食材販売、院内食の和食化、レシピ紹介などを通じて食育活動を行なってきたことが高く評価されました。

金賞

キッチンの科学プロジェクト「科学を通じて食の大切さを伝えます」

食と科学を融合させた、子ども向け体験型食育活動「食育科学ワークショップ」。実験など科学への興味関心をきっかけに、食育に関心の薄い親子からも食育に関する意識を引き出す様子や、ワークショップ受講後の行動の変化などが注目されました。

大賞、オーディエンス賞

アグリマス株式会社「日本一、食にこだわるデイサービス」

審査員による大賞と、観客投票によるオーディエンス賞のダブル受賞となったアグリマス株式会社は、食べること:介護予防と、動くこと:生活習慣にこだわるユニークなデイサービス「東京マルシェ」の活動について発表。認知症の早期発見と重症化予防という、今後ますます重要になるテーマへの取り組みが高く評価されました。

「これからも……」希望あふれる受賞者のひとこと

最後に、受賞者の方に語っていただいた「これまでの取り組みとこれからの展望」をご紹介しましょう。

大賞、オーディエンス賞 アグリマス株式会社

代表取締役 小瀧 歩さん

「この10年間、介護施設を経営する中で、運動と食事を組み合わせるために試行錯誤してきたんですが、インターネットTV「健幸TV」を立ち上げたことで、地方や過疎が進んでいてリハビリスタッフやインストラクターがいないようなところの高齢者でも、毎日運動ができるような仕組みを作れた。さらに、食事の大切さ、食と運動のバランスをいかに取っていくかも伝えられるようになったかと思います。

我々は介護事業者ですが、今後間違いなく介護保険は頼れなくなると考えています。ですから、営利企業として、保険外の新規事業をビジネスモデルとして作り、継続していきたい。そして個人的には、認知症の早期発見と重症化予防、これを医師会も巻き込んでやっていく。この2つをどこまでやれるかが目標ですね」。

金賞 キッチンの科学プロジェクト

代表・講師 金子浩子さん

「ワークショップを受けて終わるのではなく、子どもさんが自ら毎日、出汁から取ってお味噌汁を作るようになってくれたり、親御さんがそれを喜んでSNSで紹介してくれたり、という形でその後も広がっているのはうれしいですね。

今後は、食育科学を誰でも広めやすい形、パッケージにしたいですね。大学生が主催で運営できるように整えたり、企業とも連携しながら、CSRとして食育を手掛ける第一歩をお手伝いしたり。
身近なところでは、『光るところてん』を作りたいんです(笑)。子どもたちはところてんが何からできているか知らないので、天草から見ていって、ところてんを突いて。それを酢醤油や黒蜜で食べる、食文化の体験も兼ねて。食育を知識だけで終わらせるのではなくて、実践につなげられるようにしたいですね」。

審査員特別賞 食アスリート協会

食アスリートシニアインストラクター 鬼束そのみさん

「食事制限でなく“食べられる”ことによって、アスリートもパフォーマンスが上がります。すぐには出ないものの、続けていくことでまず気持ちが変わり、表情が変わってくる。それから体が変わってくる。数値では出ないものですが、そこが一番、見ていて嬉しいところです。

今後はトップアスリートだけでなく、ジュニアや中高生選手の食事を作っている親御さんたちなど、もっと身近な方たちもサポートしていきたいですね」。

受賞を喜ぶばかりでなく、継続的な取り組みや将来の展望などもしっかりと見据えていた受賞者の皆さん。これからのご活躍も楽しみな言葉をいただきました。

「子どもを対象とした取り組みである」というイメージを持たれがちな食育。しかし「健康食育AWARD2018」では、さまざまな年代やライフスタイルを持つ人々の抱えている問題が、食育によって解決され、また解決に向かっていると知ることができました。それぞれの取り組みが今後さらに広がり、人々の食育への意識が高まるのに期待したいところです。