働き方改革、ホワイト企業の源流は?ワーク・ライフ・バランス史

働き方改革、ホワイト企業化など、労働環境の未来へ向けた新しい取り組みが注目されていますが、これらを成功させるためにも、これまでの労働環境を取り巻く状況や、改善へ向けた歩みを学んでおくことは重要です。ワーク・ライフ・バランス史は、自社の働き方を見直す重要なきっかけとなるでしょう。

働き方改革、ホワイト企業化の核となるワーク・ライフ・バランス

現在の日本は、インターネットなどの通信インフラの整備が充実し、家庭の在り方や男女の役割も変容しつつあります。こうした変化を受け、時短勤務やテレワークなど、働き方は以前にも増してその多様化が進んでいます。

生活や働き方が多様化する現代において、人生を豊かにするための取り組みのひとつとして、仕事と家庭をバランス良く調和させる「ワーク・ライフ・バランス」の考え方が注目されています。

日本のワーク・ライフ・バランスの歴史を振り返ることは、ワーク・ライフ・バランスのあり方を考えるきっかけになります。次項からワーク・ライフ・バランスの歩みを振り返っていきましょう。

ワーク・ライフ・バランスはどのようにして生まれたか

そもそもワーク・ライフ・バランスという考えが生まれたのは、1980年代の米国企業からでした。

米国企業が今日のワーク・ライフ・バランスにつながる取組を始めたのは1980年代後半であり、他の諸国と比べ早かったとされる。最先進国である米国においては当時、高くなった生活水準の維持に必要な収入を得るために子育て中の女性の職場進出が進み、一方で、急速な技術革新がもたらした産業構造の変化に対応するため企業は優秀な人材を求めていた。

ここに労働者(ワーキング・マザー)側と企業側のニーズが一致し、企業は、子育て中だが優秀な女性を雇用できるような施策を行うようになった。すなわち、ワーキング・マザーが仕事と家庭責任とを両立することを支援する施策である。こうした施策は、その意図するところを反映して「ワーク・ファミリー・バランス」と呼ばれた。その内容は専ら「保育支援」であり、より具体的には「保育に関する情報の提供」が中心であった。

出典 http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa17/sensin/hokoku41.html

<引用>内閣府:平成17年度 少子化社会対策に関する先進的取組事例研究報告書:4 欧米諸国におけるワーク・ライフ・バランスへの取組

つまり、当初は女性の社会進出に伴って、仕事と子育ての両立を支援することが目的であったわけです。この通り、女性を対象とした取り組みとして始まったワーク・ライフ・バランスですが、独身の従業員、子どものいない従業員、男性従業員などの要望を受け、その対象は男女両方に広がっていきました。

日本のワーク・ライフ・バランスは「ホワイト企業化」に重き

次は、日本におけるワーク・ライフ・バランス導入の経緯をみていきましょう。

日本の労働環境が大きく変化したのは1990年代のバブル経済崩壊後といわれています。1980年代までは会社のために身を粉にして働くことがビジネスパーソンに重んじられる価値観でしたが、バブル経済崩壊以降、その価値観にも変化が現れました。

バブル崩壊以降、経済・社会環境の変化に伴って、雇用システムにも変化が現れ、雇用期間の短い非正規雇用者が増加し、長期に雇用される者の数が絞り込まれるとともに、正規雇用者の労働関係も集団主義的であったものが、次第に、個別化の方向へと進んでいる。

出典 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/07/dl/03-01.pdf

<引用>厚生労働省:平成19年版 労働経済の分析 第3章 変化する雇用システムと今後の課題

この「個別化」の具体的な背景としては、少子化、高齢化の進展、男女雇用機会均等法の浸透による共働きの増加、企業依存のライフスタイルが個人の価値観を重視する方向へ移行したことなどがあります。それぞれの状況に合わせて働き方も変化していったというわけです。

行政の支援は加速、しかし働き方改革はまだまだこれから

このような変化に対応するため、日本の行政もワーク・ライフ・バランスの支援を始めます。年表からも2000年以降さらに加速していることは明らかです。

1985年:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)
1991年:育児休業法
1997年:改正男女雇用機会均等法/ 改正労働基本法
1999年:改正育児・介護休業法 / 厚生労働省による「均等推進企業表彰」「ファミリー・フレンドリー企業表彰」始まる
2001年:「男女共同参画会議」設置
2003年:少子化対策基本法 / 次世代育成支援対策推進法
2005年:改正育児・介護休業法
2006年:改正男女雇用機会均等法
2007年:「骨太の方針2007(経済財政改革の基本方針))」により「ワーク・ライフ・バランス憲章」が策定される
2009年:改正育児・介護休業法
2008年:内閣府「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」がスタート
2016年:改正育児・介護休業法 / 改正男女雇用機会均等法 / 改正雇用保険法等

これらの取り組みはワーク・ライフ・バランスの促進に寄与すると期待されてきましたが、まだ日本での取り組みは始まったばかり。ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業が一般的になるのは、まだこれからと言えそうです。