【シリーズ:健康経営と大学連携】自分軸を探求するためのダイアログ〔念治明美 編〕
かちぞうゼミ(※)の一環として実施されている健康経営の広場と関西学院大学の松本ゼミ生とのPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。今回は、ゼミ生が「子供の頃から熱中していたことは?」「どんな社会人になりたいか?」「ホワイト企業をインタビューして何を思ったか?」という質問に答えながら、自分が本当にやりたいこと、仕事に求めるものは何かを考えていきます。
〔講師〕
熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)
〔受講者〕
念治明美(関西学院大学 商学部 3年生)
目次
茶道や音楽で自分を高めていく
熊倉:明美が子供の頃から熱中してきたことって何?
念治明美:大きく言えば、二つあります。一つは花道、茶道、書道などの日本の伝統文化に関するもの。もう一つは、フルート、ピアノ、歌といった音楽。二つとも子供の頃から続けてきたものですが、むしろ今のほうが楽しく、熱心に取り組んでいるかもしれません。
熊倉:子供の頃より今のほうが熱中できている理由は?
念治明美:茶道のお稽古は、先生と一対一で教えてもらうことが多いのですが、今は高校の茶道部の後輩に教えたりと、みんなと一緒にできるところが楽しいからだと思います。
熊倉:茶道やフルートに共通する楽しさはある?
念治明美:そうですね。どちらも文化・芸術分野なので、水泳や陸上などのスポーツのように数字で結果は出ません。でも、自分のペースで地道に取り組めます。技を極めるプロもいれば、楽しみながら趣味として続けることもできます。そういった意味では、懐が深く、その時の気持ちや状態によって向き合い方を変えられるところもいいですね。
熊倉:なるほど。明美自身はどこを目指しているの?
念治明美:フルートに関しては、高校の頃、プロになりたいと思った時期もありましたが、なりたい人はたくさんいますし、実際は難しい。趣味として長く続けたいですね。茶道に関しては、習えば習うほど新しい世界が広がっていきます。位も上がり、上の段階のことを学ぶことができますから、茶道も続けていきたいと考えています。
熊倉:茶道も音楽もそれだけ自分にとってプラスになるものがあるんだね。高校の茶道部の後輩に教えることと、自分自身を高めていくことでは、どちらが楽しい?
念治明美:茶道に関しては自分が上にいくほうですね。フルートも練習すること自体が楽しいです。
熊倉:そうなると明美のワクワクの源泉としては、自分の道を極めていくというのが一つあるね。音楽にしろ、茶道にしろ、自分が目立ちたいということがワクワクの源泉になる人もいる。仮に「自分のワクワクの源泉は何か?」という問の答がすぐには出なくても焦る必要はない。人生の中でずっと探し続けるものだからね。
人に寄り添って一緒に解決策を探していく
熊倉:どんな社会人になりたいと思っている?
念治明美:そうですね。小さな問題にもすぐに気づけ、解決しようとする人になりたい。茶道にしても、一つ一つの所作を先生の姿を見て学びます。そういった意味でも、私は小さなことに気づくことが得意なのかもしれません。人に寄り添って話を聞き、一緒になって解決策を探していける社会人になりたいと思います。
熊倉:自分が働くことになる会社や組織に期待することは?
念治明美:役職や立場に関係なく、一人一人に寄り添い、親身になってくれる組織がいいです。営業でしたら外回りなど、自分がお客様と身近に触れられる仕事に就きたいですね。そして、上から言われた通りにするのではなく、自分で考え、自分が主体となって問題も解決していける風土の会社や組織がいいですね。
生きがいを持って働けることの素晴らしさ
熊倉:健康経営に取り組むなど、社員の健康や働きがいを大切にするホワイト企業にインタビューしてみて思ったことはある?
念治明美:はい。私は東京すずらんさんにインタビューをさせていただきました。普段使っているおしぼりが、こういうふうに作られているのかと興味深かったですし、障がいのある方やご高齢の方を雇用し、生きがいを持って働けるようにされているところが素晴らしいと感じました。
熊倉:おしぼりは単純な構成の商品だけど、石川社長はとてもこだわりを持ってお客様に届けている。その過程で障がいのある方、ご高齢の方にもご活躍いただき、社会参加の後押しをしている。一つのおしぼりに様々な想いを込めているよね。それって茶道にも通じるところがあるのでは?
念治明美:そうですね。細部にまで気を配るという点は似ているかもしれません。そういう経営者の想いを知ると、おしぼりの見方も変わってきますね。
熊倉:明美は、いわゆる有名大学に通っている。一流企業と呼ばれる会社に就職できるかもしれない。安定性や給与が高いことは確かに魅力。その中で、就活では、自分がやりたいことを優先するのか、大手企業などの条件の良さを優先するのか?
念治明美:そうですね。周りは大企業や有名企業を選んでいる人が多いので、自分だけがやりがいのみを求めて就職先を選ぶという勇気はないかもしれません。どの企業に入社するにしろ、入ってから自分のやりがいを追求していきたいと考えています。
【振り返り】
ホワイト企業へのインタビューや座談会を通じて、健康経営や社員の働きがい、生きがいを大切にする企業の施策や想いについて学んでいる松本ゼミ生たち。今回の熊倉とのダイアログは、自分自身が本当にやりたいこと、大切にしている価値観を探求していくものです。何をすることが生きがいになるのかというのは、子供の頃から熱中してきたこととリンクしており、そこを掘り下げることで、自分が本当にやりたい仕事、働きたい会社も自ずと見えてきます。規模や知名度、安定性で選ぶというこれまでの価値観だけでなく、本当にワクワクした気持ちになれるかどうかという自分軸で選ぶ就職観の醸成もダイアログの目的です。
(※)産学連携かちぞうzemiは、一般社団法人そばくりラボ主催の「かちぞう企画」の一つで、産学連携で価値創造にチャレンジする実践的なPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。より良い社会の構築を目指して価値創造するための実践的な調査研究活動に、学生がチーム単位で半年間かけて取り組む。