【シリーズ:健康経営と大学連携】自分軸を探求するためのダイアログ〔追矢裕子 編〕
かちぞうゼミ(※)の一環として実施されている健康経営の広場と関西学院大学の松本ゼミ生とのPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。今回は、ゼミ生が「子供の頃から熱中していたことは?」「どんな社会人になりたいか?」「ホワイト企業をインタビューして何を思ったか?」という質問に答えながら、自分が本当にやりたいこと、仕事に求めるものは何かを考えていきます。
〔講師〕
熊倉 利和(健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表取締役)
〔受講者〕
追矢裕子(関西学院大学 商学部 3年生)
目次
吹奏楽のみんなと音楽を奏でる喜び
熊倉:裕子が子供の頃から熱中してきたことは何?
追矢裕子:音楽です。ピアノは幼稚園の頃から始めて高校3年までやっていましたし、中学生から大学2年までは吹奏楽部でフルートを担当していました。
正直、ピアノは先生に怒られないように義務的な気持ちでやっていた部分もありましたが、一方、吹奏楽部ではメンバーと一緒に音楽に取り組みます。良いものをつくりあげるためには、自分も頑張らないといけないという気持ちになりますし、そこに魅力を感じてフルートを続けてこられたのだと思います。
熊倉:同じ楽器を演奏するにしても、何に魅力を感じるかはそれぞれの人で違ってくるよね。吹奏楽部での裕子の立ち位置はどんな感じだったの?
追矢裕子:私はみんなと話し合って進めていくタイプ。例えば、高校で学年が上になってくるとフルートのパートリーダーを務めるようになりました。その時、最初の頃はどうすればいいかわからず、「練習、練習」とガミガミ言ってしまっていました。でも、自分はもともとそういう性格ではありません。周りの人からも「急にどうしちゃったの?」と言われたり、うまくリーダーの役割を果たせませんでした。
それでやり方を変えようと思い、後輩にも「どうしたらいいと思う?」と意見を求めるようになりました。年齢やポジションに関係なく、みんなで意見を出し合いながら進めていくやり方が自分には合っていましたし、5年連続で逃していた県大会にも出場できたりと結果もついていきました。
熊倉:みんなが意見を言える雰囲気づくりや信頼関係を大切にしてきたんだね。
追矢裕子:はい。私自身、自分が思ったことが言えない環境がとても嫌なんです。良い部分はどんどん言うべきだし、悪い部分も言い方に配慮して伝えるべきと考えています。そのためには根本的なところでの信頼関係が欠かせないと考えています。
人のやりがいや楽しさのサポートをしたい
熊倉:どんな社会人になりたいと思っているのか? また、働くことになる企業や組織に期待することは?
追矢裕子:一人でも多くの人に、人生のやりがいや楽しさを感じてもらえるような仕事がいいですね。組織に求めることとしては、自分は真面目なタイプなので、真面目さを否定しない人と仕事ができたらいい。また、他の人が頑張っていることを応援できるタイプの人たちと仕事がしたいですね。
熊倉:それはいいね。これまでは吹奏楽部でも自分で雰囲気づくりなどをすることができた。就職すると、今度はすでにできあがっている組織の中に入っていく。自分の思う通りにできないことも増えてくるかもしれないけど、どうやって折り合いをつけていく?
追矢裕子:確かに、どの会社でも、年功序列のようなものは多かれ少なかれあるのではないでしょうか。そうすると、雰囲気や風土をすぐに変えることは難しいかもしれませんが、同期など身近な人に「これについて私はこう思うんだけど、あなたはどう?」という話をするだけでも雰囲気は違ってくると思います。キャリアが浅くても、組織全体のことは自分に関係ないと諦めるのではなく、自分のできる範囲のことをやっていきたいですね。
自分自身、会社選びの新たな軸ができた
熊倉:健康経営に取り組むホワイト企業をインタビューしてみて感じたことは?
追矢裕子:私は大橋運輸さんにインタビューさせていただきました。自社に合った健康経営をされていて、社員の健康が仕事にも良い影響が出ているところが素晴らしいと感じました。
例えば、管理栄養士さんを社員として雇用することで、社員の皆さんが日常的に健康づくりに取り組める環境があったり、定年後も再雇用などで長く働くことができる制度を用意されています。通常、企業は売上や利益にばかり目が行きがちですが、従業員一人一人の健康ややりがいを大切にされているところに感銘を受けましたし、私自身の就活でも、大橋運輸さんのような企業を探していきたいと思いました。
熊倉:裕子の就活の軸が増えたことがとても嬉しい。今回は自分自身がこのインタビュー(ダイアログ)を受けてくれたけど何か感じたことはある?
追矢裕子:はい。今までの就活では、選ばれるという意識が強かったのですが、今回こうして熊さんとお話をし、自分の軸に合った会社を自分で選ぶのだという意識が出てきました。
熊倉:確か裕子は将来的に起業したいという夢を持っていたね。経理や財務を覚えようと思っても大企業だとその一部しかできないかもしれない。事業計画は作れるようになっても、キャッシュフローはわからないかもしれない。その点、中小企業は幅広く多くのことを学べるし、一つの選択肢になるかもしれないね。
【振り返り】
ホワイト企業へのインタビューや座談会を通じて、健康経営や社員の働きがい、生きがいを大切にする企業の施策や想いについて学んでいる松本ゼミ生たち。今回の熊倉とのダイアログは、自分自身が本当にやりたいこと、大切にしている価値観を探求していくものです。何をすることが生きがいになるのかというのは、子供の頃から熱中してきたこととリンクしており、そこを掘り下げることで、自分が本当にやりたい仕事、働きたい会社も自ずと見えてきます。規模や知名度、安定性で選ぶというこれまでの価値観だけでなく、本当にワクワクした気持ちになれるかどうかという自分軸で選ぶ就職観の醸成もダイアログの目的です。
(※)産学連携かちぞうzemiは、一般社団法人そばくりラボ主催の「かちぞう企画」の一つで、産学連携で価値創造にチャレンジする実践的なPBL活動(PBL:Problem Based Learning)。より良い社会の構築を目指して価値創造するための実践的な調査研究活動に、学生がチーム単位で半年間かけて取り組む。