【シリーズ:健康×マーケティング ピッチコンペティション2023】④ 学生が探る! 初めての企業インタビューで発見した理想の職場〔オカモトヤ〕

「健康×マーケティング ピッチコンペティション2023」(社会的健康戦略研究所主催)のIKIGAI WORKS部門にエントリーしてくれた専修大学・大崎ゼミの学生たち。ピッチコンペに向けて、オカモトヤさんにインタビューを行いました。東京都虎ノ門に本社を置く老舗文具店にして、オフィス空間構築事業を行うオカモトヤさん。「『働くひと』のミカタ」とうたうIKIGAI企業に、就活をスタートさせたばかりの大学3年生は「理想の職場」を見出しました。

〔株式会社オカモトヤ〕

小笠原正寿(ワークプレイス事業部 ワークプレイス第1営業部 部門長)

野上柚香(マネージメント事業部 管理部 総務G)

〔専修大学 大崎ゼミ〕
新井優有 大田真央 小坂田真衣 芝田実優

1.創業110年以上。老舗企業の健康経営 

新井:私たちは、専修大学大崎ゼミの仲間で、今度、「健康×マーケティング ピッチコンペティション2023」に出場します。ピッチコンペでは、IKIGAI WORKSさんの部門に参加するのですが、その課題が「学生とIKIGAI企業で創る 新しい就活のカタチ IKIGAI企業の採用ブランディング戦略」です。

IKIGAI企業とは、代表の熊倉さんがつくった造語で、「働きやすさと働きがいを大切にし、地域や社会と深いつながりを持っているホワイト企業」のこと。そこで本日は、ブライト500を3年連続取得された、IKIGAI企業のオカモトヤさんにインタビューさせていただきたいとやってきました。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

小笠原さん 野上さん:よろしくお願いします。

芝田さん:それでは早速、インタビューを始めさせてください。まず、オカモトヤさんの事業内容から教えていただけますか?

小笠原さん:オカモトヤは創業が1912年。東京の虎ノ門で110年以上続く企業になります。もともと文具店からスタートし、印刷業、OA機器やオフィス家具の仕入れ・販売など、事業を拡大してきました。現在は、オフィス空間づくりを行うワークプレイス事業も行っています。

芝田さん:オカモトヤさんはブライト500を3年連続で取得されていますが、健康経営を始められたきっかけはありますか? また、企業にとって、健康経営はなぜ必要なのでしょうか。

小笠原さん:きっかけといえるほどの出来事はありませんが、「健康経営を始めよう」と社長が社員に向けて提案したのが始まりです。といって、ブライト500をすぐに取得できたわけではなく、時間をかけ、計画を立て、1つ1つみんなで進めてきました。健康経営宣言をしたのが2018年で、ブライト500を初めて取得できたのが2021年です。

ではなぜ、健康経営が必要なのか。壮大な話ではなく、当然のこととして、私たち人間にとって最も大切なのは健康だからです。健康でないと、やりたいことができません。ですが、健康であれば、さまざまなチャレンジができます。仕事においても、やはりいちばん大切なのは、健康だと思っています。

芝田さん:健康経営を始めて、経営上の成果や社員さんの意識の変化はありましたか?

小笠原さん:健康経営の成果かどうかはわかりませんが、売上は伸びてきていますね。

社員の健康意識もだいぶ上がってきているように感じています。

新井さん:具体的には、どのような方法で社員さんの健康意識を高めていますか。

小笠原さん:そうですね。まず、社内で安全衛生委員会を立ち上げ、各部署からメンバーを集めています。委員会で話しあったことは、各部署に持ち帰って伝えてもらっています。年に2回、オンラインで健康セミナーも開催しています。

また、のちほどオフィスをご覧いただきますが、壁にストレッチの方法を貼ったり、目の体操ができるグッズを置いたり、健康情報をポスターで伝えたりしています。こうした健康情報が、仕事をしながら自然と目に入ってくるしかけをオフィスの随所に設けています。

さらに、社員が自由に使える血圧計や、野菜ジュースをストックした冷蔵庫、タバコの煙を吸収する装置のあるガラス張りの喫煙所なども設置しています。

2.仕事とプライベートを両立しやすい職場環境

小坂田さん:ピッチコンペのIKIGAI WORKS部門では、学生がそれぞれ「自分はどんなことに働きがいを感じるか」ということを基準にマイモノサシをつくり、そのモノサシを使ってIKIGAI企業さんにインタビューをしています。私は、「挑戦が正しく評価されるか」をマイモノサシの1つにあげました。自分が正しく評価されてこそ、モチベーションを高く保って仕事ができると考えるからです。オカモトヤさんでは、社員の方々をどのように評価されていますか。

小笠原さん: 会社規定による評価項目があり、それに添って評価を行っていきます。ただ、その評価が偏ったものになってはいけないですよね。そこで当社の場合、1人の上司だけが部下を評価するのではなく、管理職が全員集まって、上司の評価が本当に正当か、話し合うことにしています。これによって、個人的な好き嫌いやイメージで評価されるリスクを排除しています。

小坂田さん:上司1人ではなく、管理職みなさんで評価してくれるとあれば、公平性が保たれますね。安心してがんばることができそうです。

芝田さん:私のマイモノサシは「仕事と休暇のメリハリ」「自己成長できる環境」です。新たなチャレンジをしつつ、自分の時間も大切にしたい。そして長く働き続けたいという気持ちがあります。そのためには、子育てしやすい職場環境も大切になってきますが、オカモトヤさんでは育児休暇100%とホームページで見て驚きました。

野上さん:実は、社長本人も2人の子どもがいて、2回とも自ら進んで育児休業を取って、復職しているんですよ。最近も、ちょうど育休から復帰したばかりの女性社員がいますし、現在、1人が育休中です。男性の育休も推奨しています。

復職してからも、子育てしながら働きやすい環境は整っています。まず、週2回のテレワークと、時差出勤が可能になっています。

時差出勤は3つパターンがあり、8時から4時半まで、9時から5時半まで、10時から6時半までという勤務時間です。たとえば、朝はだんなさんに保育園に送ってもらって、自分は4時半に仕事を終え、余裕を持って迎えに行く、ということができます。

時差出勤は子育て中の社員だけでなく、全員が自分の働き方にあわせて決めてよいことになっています。私も「今日はスポーツクラブに行く」と決めたら定時に上がります。ちなみに、当社では福利厚生の一環としてスポーツクラブを利用できます。

全体の残業時間も月13・5時間です。月20日で単純計算して1日40分ほど。ここだけを見ても、ワークライフバランスが大切されている会社と理解いただけると思います。

芝田さん:すごいですね。女性の産休育休だけでなく、男性も育休が取れ、しかも、子育てしながら働きやすい環境が整えられているなんて、未来がとても明るく見えました。では、私のもう1つのマイモノサシである「自己成長できる環境」はどうでしょうか。ホームページで資格取得補助の制度があると読みました。

野上さん:毎年全員に「私は、こういう資格に挑戦します」と申告してもらい、受験をして合格したら費用が補助されます。会社が「これを受けなさい」というのではなく、チャレンジしたい資格を自主的に選んで受験し、それに補助が出るという仕組みです。

芝田さん:社会人になっても、自らやりたい勉強ができ、それを会社が応援してくれるなんて、本当に理想的です。

3.就活生憧れの職場環境とは?

新井:私のマイモノサシの1つは、「働きやすい環境」です。私は1つのことを長く続け、やり遂げることが好きなのですが、環境によってモチベーションに差が出てしまうと自己分析しています。オカモトヤさんは、オフィスがとても素敵で、こんな職場で働きたいと心から感じます。とくに、フリーアドレス制には憧れます。

小笠原さん:当社がフリーアドレス制を導入したのは5年ほど前で、やはり若い社員から「やってみたい」という声が上がったことがきっかけでした。また、当社がオフィス構築を仕事にしていることもあり、導入してこそ実感を持ってお客様に提案できる、という理由もありました。

実際、フリーアドレス制にしたことで、好きな場所で仕事ができて日々気分転換ができますし、部署を超えて社員どうしの会話が増えました。

一方、お客様からは「自分の席があるほうが、モチベーションが上がる」という声も聞きますし、新入社員の中には「どこに座っていいかわからない」という人もいる。こうした理由で、フリーアドレス制の導入を見合わせている会社さんがあるのも事実なんですよ。

芝田さん:そちらの理由も、ちょっとわかる気がします。実際に、フリーアドレス制なのに、「この人はいつもこの席にいるな」ということもあるんですか。

小笠原さん:ルール上はNGになっています。でも、初めはありました。そこで、社長から「基本的に、みんな違うところに座るように」と話があり、現在は流動的になっています。

なお、当社では「改善ボード」を設置しています。「この席は座りにくい」「ここは暗くて仕事をしにくい」など社内環境で気づいたことは、改善ボードに書き込めるようになっています。

小坂田さん:社員の声が反映されやすいのですね。

小笠原さん:はい。毎年1回は面談も行い、仕事やプライベートのことなど相談したいことはなんでも相談できる機会もつくっています。その意見は、社内環境の改善に活かされます。

芝田さん:面談は、上司の方とするのですか?

小笠原さん:直属の上司には話にくいこともあると思いますので、違う部署の役員と面談できるようにしています。

芝田さん:なるほど。オカモトヤさんは、社員方々の働きやすさに、細部にわたって配慮されているのですね。就活をしていると、どこに自分の軸を置いて会社さんを探すとよいか迷うときがあります。野上さんは、なぜオカモトヤさんに就職を決めたのですか。

野上さん:まずは事務職に就きたいという大きな軸がありました。次に、週5日間通勤することになるので、駅から近いこともポイントでした。この2つを軸に就活をしていたとき、「誠実・和・開拓精神。」を社是にしているオカモトヤという会社があることを知りました。お客様との関係、社員同士の関係を大切にし、開拓精神を持って仕事をする会社だということに惹かれて就職を決めました。

実際、とてもアットホームな会社で、人間関係に困ることもありません。社員が100人ちょっとだからこそ、全社員の顔と名前を覚えられ、誰とでもざっくばらんに話ができます。社長や役員も優しく話しかけてくれますし、こちらからも話しかけやすい雰囲気をつくってくれています。

小坂田さん:素敵ですね。みんなで協力しあいながら仕事のできるアットホームな環境は、とても憧れます。

芝田さん:最後の質問をさせてください。お二人の仕事の働きがいを教えていただけますか。

小笠原さん:単純なことですが、お客様にお礼を言ってもらったときには、達成感がありますね。当社は、オフィスをつくるのが仕事です。会社にとって、オフィスの改装はビッグイベントです。そのオフィスが完成した際に、「ありがとう」と喜んでもらえると、がんばってよかったと思えます。また、私は営業の仕事をしていますから、新しい取引が決まったり、素晴らしい案件を受注できたりしたときには、モチベーションが上がりますね。

野上さん:私は総務部なので、社外の人とかかわることがほぼありません。どちらかというと、総務は「社員がお客さん」です。社員が営業活動に専念できる、内勤の社員が何事もなく毎日仕事に従事できるなど、職場環境の「当たり前」を支えることが、私の働きがいです。

新井さん:本日はお忙しい中、たくさんお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。実際にIKIGAI企業さんにインタビューできたことで、新たなマイモノサシもできました。ピッチコンペもがんばります!

【取材後記】

学生にとって、初めての企業インタビュー。ドキドキという鼓動が聞こえてきそうなほどの緊張感の中、インタビューは始まりました。ですが、オカモトヤさんのお二人が優しく丁寧に答えてくれたおかげで、学生たちも自分たちのマイモノサシを頼りに、質問をぶつけていくことができました。だからこそ、学生が何をポイントに就活を考えているのかが鮮明に表れた、リアルなインタビューになったと思います。また、社員さんがリラックスして仕事に集中できるよう、細部にわたって配慮された素晴らしいオフィス。さすが、オフィス構築を事業にされているブライト500企業と感動しきり。学生たちも、オカモトヤさんのような企業が理想的な働き方を実現させてくれると、身を持って体感しました。

〈企業データ〉

会社名:株式会社オカモトヤ

事業内容:文具・事務用品・OA機器・オフィス家具の仕入や販売、コピー機・加算機の修理、印刷物の販売

所在地:〒105-5509 東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー9F

URL:https://www.okamotoya.com/

資本金:7,000万円

従業員数:133名

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