【シリーズ:健康経営優良法人インタビュー】〔食育編〕社員の健康改善に向けて、食育セミナーを開催(株式会社松原組)

総合建設会社である松原組では、「社員の健康を守る」という社長の強い思いのもと、健康経営の一環として食育にも力を入れています。体の芯から健康を築いていくためのセミナーも、講師を招いて開催。なぜ、健康増進には食育が必要か、そして食育の実践によって社員の健康がどう変わったのかを取材しました。(インタビュアー:健康経営の広場 編集長/IKIGAI WORKS代表 熊倉利和)

〔株式会社松原組〕

松原宏林さん(代表取締役)

井上浩芳さん(総務部)

1.健康経営の一環として、食育セミナーを開く

――松原組さんでは、健康経営の一環として食育にも力を入れているとお聞きしました。昨年は、講師を招いて食育セミナーを開催されたそうですね。そこには、松原社長のどのような思いがあったのですか。

松原:今年の私の抱負は、「社員の健康を守る」です。そのために欠かせないのが食。私のそばで働く社員たちには、正しい食事の重要性をたびたび伝えてきました。どうすればよいか悩んでいるときに、分子整合医学美容食育協会の理事である石井順子さんのことを知り、講師としてお招きしました。

――なるほど。石井さんは私もよく知っている方です。食育の活動を熱心にされていますね。

松原:大変に興味深い話ばかりで、60分間の講義時間があっという間でした。とくに食品添加物などの化学合成品をできる限り取り込まず、自分の細胞を喜ばせる食事とはどういうものか、わかりやすく教えてくれました。

――日々忙しくしている人や単身者などは、コンビニ弁当やカップラーメンをつい手にとってしまう気持ちもわかりますが、ここを改善しない限り、健康を守ることは難しくなります。

松原:そうなんです。便利さが重宝される現代社会では、食事が心身に与える影響が軽視されがちです。そこで食育セミナーで、体を芯から健康にする食事法を教わったわけですが、体内にすでに蓄積した毒素をどうすると排出できるかの話もありました。そのためには、デトックス(毒出し)が必要になるとのことでした。サウナや運動などで汗をかくことでデトックスができますが、もっとも効率よく行うには、ファスティング(※)がよいとのことでした。(※)健康増進や病気の治療を目的とした「断食」「絶食」のこと。

――松原社長も、ファスティングを実践されたのですか?

松原:実は、私は以前からファスティングに関心があって、1年以上前から1日16時間は何も食べないプチファスティングを毎日続けています。体調がよくなり、体重も10キロほど減りました。体内にとり込まれた毒素は脂肪のなかにたまりやすいため、体重を適正値まで減らしていくことも、デトックスになるそうです。

ファスティングというと、「自分には無理」と考えてしまう人も多いと思います。でも、朝食を抜けばプチファスティングが成立します。前日の夕食を夜8時に食べたとして、翌日の昼食まで16時間の「食べない時間」ができるからです。私自身、体調が本当によくなったこともあり、ずっと継続していこうと考えています。

2.食生活を改善し、血圧も血糖値も安定

――「朝食抜き」は健康に悪いというイメージがありますが、反対に、午前中は排泄に重要な時間であるため、朝食はとらないほうがいい、という意見もありますね。

松原:そうなんです。規則正しい食事とは、「1日3食とること」と私たちは考えますが、日本人はもともと1日2食でした。1日3食になったのは、諸説ありますが江戸時代中期からといわれます。それも江戸に住む人に限ったことでした。そう考えると、日本人の体に適した規則正しい食事とは、1日2回で朝食抜きともいえるわけです。

ただ、朝食が健康維持に大切と考えている人は、朝食抜きがデトックスに効果的と聞いてもなかなか実践しようと思えないようです。とくに松原組は建設業で、体力勝負の仕事です。朝食を抜いたりすると、体力が持たないのではないか、と心配する人もいます。そこで酵素ドリンクを60本購入し、朝食の代わりに適量飲んでもらうことにしました。

――60本とはすごい! 酵素ドリンクを朝食に置き換えるわけですね。

松原:そうです。もともと断食とは、修行者が行う宗教的な行為でしたが、私たちがファスティングする目的は、健康増進のためのデトックスにあります。石井さんいわく、デトックス目的のファスティングでは、完全に何も摂らないのではなく、酵素ドリンクを飲んだほうが効果的だそうです。酵素ドリンクのミネラルやビタミンは発酵の作用で低分子化されていて、胃腸に負担をかけることなく速やかに吸収されます。また、食をいっさい絶つ断食をしてしまうと、体がエネルギー不足となってしまいますが、酵素ドリンクにはカロリーがあります。これを摂ることで、朝食抜きでふらふらになる心配もなくなります。朝はコーヒーとパンだけなど適当な食事をしている人も、酵素ドリンクに置き換えれば、効率よく健康を増進していけるというわけです。

――しかも、酵素ドリンクは発酵飲料ですから、腸活にもなりますね。

松原:まさにその通りです。酵素ドリンクは、野菜や果物などを自然発酵させてつくられています。私たちの腸にいる腸内細菌は、発酵食品をとることで活性化する性質を持ちます。腸内細菌の働きがよくなって、腸内環境が改善されると、デトックスの力も高まるうえ、免疫力も向上します。

――食育セミナー後、食事の改善に取り組んだ社員さんはいますか。

松原:今回の食育セミナーの対象者は、主に幹部および事業者で、参加人数は十数人でした。そのうち、4~5人ほどがセミナーで教わったことを実践しています。ここにいる井上もその1人です。

井上:はい。私もセミナーで教わった健康によい食事を意識して続けています。軽いファスティングにも挑戦してみました。

――実際にどのくらいのファスティングにチャレンジされたのですか。

井上:3日間程度のゆるいものです。もともと朝食抜きの生活をしていましたから、空腹には慣れているだろうと思ったのですが、やはりお腹はとても空きました。ただ、酵素ドリンクは飲めるので、「絶対に無理」というほどではなかったです。

講師の石井さんのお話では、お腹がグーッと鳴ると、健康を増進するスイッチが入るとのことでした。私の場合、お腹が鳴ると体中がカーッと熱くなりました。これこそスイッチが入った表れかと、効果を実感できたのは励みになりました。

――健康状態に変化はありましたか?

井上:私は高血圧症で、以前は「最高血圧が150mmHg、最低血圧が100mmHg前後」もありました(正常値:最高血圧が140以下、最低血圧90以下)。それを降圧剤を飲むことで、「最高血圧125前後、最低血圧80台」に抑えているような状態でした。

ところが、ファスティング中は、薬を飲まなくても「最高血圧が110台、最低血圧が80台」に維持されたのです。ファスティング以降も、食育セミナーで習ったような食事を続けていることもあり、薬を飲まなくても血圧が安定しています。血圧は毎日計っていますが、現在のところ「最高血圧が130台、最低血圧が85~95」に落ち着いています。

――断薬に成功されたとはすごいですね。

井上:そうなんです。実のところ、私は血糖値も高いんです。そのため、血糖値も自宅で毎日測定しています。通常、甘いものを飲むと、血糖値が急激に上昇し、急激に下降する「血糖値スパイク」が起こります。血糖値スパイクは、血管に与える負担が大きく、糖尿病や高血圧症を悪化させる最悪のリスクファクターともいわれています。ところが、私の場合、酵素ドリンクを飲んでも血糖値スパイクは起こりませんでした。

――一般に、甘いジュースには果糖ブドウ糖液糖など人工的に製造された甘味料が含まれていて、この果糖が血管を劣化させる原因になっているといわれています。しかし、松原組で使っている酵素ドリンクは天然の甘さだけで、果糖ブドウ糖液糖などの人工甘味料は添加されていないことがよかったのでしょうか。

井上:私もそうではないかと感じています。血糖値が高い人間からしたら、血糖値スパイクを起こさない甘い飲み物はありがたいものですから、最近は酵素ドリンクを水で薄めて水筒に入れ、持ち歩くようにしています。ちょっと一息つきたいときに、血糖値スパイクを気にせず甘いドリンクを飲めるのは、リラックス効果もあっていいですね。

あとは、食生活を改善したことで、食べものの味がよくわかるようになりました。かつての好物を「こんなに濃い味を、おいしいと食べていたんだ」と感じるほどです。味覚がよみがえったのですね。それと、周りからは、肌つやがよくなったといわれています。

――松原社長、すごいですね。食育セミナー、大成功ではありませんか。社員全体がいっきに変わるのは難しくても、井上さんのように実践した人の健康状態が変わり、それを目の当たりにした社員が「じゃあ、自分もやってみよう」とジワジワと広がっていけば、食育セミナーを開催した甲斐がありますね。

松原:そうなってくれたらいいですね。今回のセミナーで終わらず、2回目、3回目も開催し、参加者のすそのを広げていこうと考えています。

――今後は、セミナーの他にどのような食育を行われていく予定ですか?

松原:今度、わが社では無農薬で米づくりを始める予定です。健康増進には、口に入れるものがとにかく大事。農家の人に協力をお願いして、土地の改良から始めていく予定です。ただ、社員が約260人いると、家族まで含めれば1000人になる。1000人分の米作りをどうやればいいのか検討もつきませんが、楽しみながらやっていこうと、あれこれ思案しているところです。

【取材後記】

現代的な生活では、意図せずに化学物質が体内に入ってくる機会が多くなっています。そのことが、健康を害する一因にもなり得ることを松原社長は重く見て、社員の食育に力を入れておられました。「社員の健康を守るにはどうしたらよいのか」と答えを求めて熱心に情報収集され、「これはすごい」と感じたことは積極的に健康経営に組み込まれていく社長の姿に頭が下がりました。社長の興味の広がりが社員の学びとなり、会社の発展につながっていく様を見て、健康経営の可能性は無限にあると、私自身も学びの多い取材となりました。

<企業データ>

会社名:株式会社 松原組

事業内容:総合建設事業・製鉄関連事業・スラグ関連事業

所在地:〒721-0942 広島県福山市引野町5218番地

資本金:48,000,000円

社員数:約260名

参照URL:https://matsubara-gumi.co.jp/company/

担当者の課題や手間をファンマーケティングで支援!