データヘルス見本市2019 主催者セミナー:日本健康会議~健康なまち・職場づくり宣言2020~達成状況の報告

2019年11月に東京で開催された「データヘルス・予防サービス見本市2019」では、主催者セミナーとして日本健康会議事務局の山越裕さんが登壇し、「日本健康会議~健康なまち・職場づくり宣言2020~達成状況の報告」をテーマに講演しました。設定された8つの宣言には、ターゲットイヤーの2020年を待たずに達成された目標も少なくありません。

1.「健康なまち・職場づくり宣言2020」で8つの数値目標を掲げる

日本健康会議は、健康寿命延伸及び医療の適正化を図るため、地域や職場での健康作りを全国に広げていくべく、日本商工会議所の三村明夫会頭や、日本医師会の横倉義武会長などの方々を発起人として2015年7月に発足いたしました。

実行委員として、経済界、医療界、自治体、保険者団体の日本を代表する各界のステークフォルダーの方々と有識者、学識経験者の先生方にお集まりいただき、活動しております。

毎年、これらを実行委員の皆様や保険者、医療関係者、ヘルスケア事業者の方々にお集まりいただき、日本健康会議を開催しております。2019年は4年目となり、8月23日「日本健康会議2019」を開催し、多くの関係の皆様と健康なまち・職場づくりを通じての健康寿命の延伸の更なる延伸に向けて議論を進めてまいりました。

今回の目的は多くの皆さまと健康なまち・職場づくりを推進し、国民一人一人の健康寿命の延伸と適正な医療を実現することです。また今回は民間主導ではありますが、厚生労働省、経済産業省と行政の方々の強力なご支援をいただきながら進めてきております。

日本健康会議の活動は、2016年6月に閣議決定されました「日本一億総活躍プラン」の中の元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取ろ組みの主要部分に位置付けられております。

2018年6月に決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる骨太の方針と言われているものです。日本健康会議の活動をさらに都道府県レベルまで開催し、地域の皆さまと協力して目標実現のため、予防健康づくりを進めるとしております。

こうした方針の下、日本健康会議では都道府県、各地の地元医師会、経済団体、保険者団体の多くの皆さまと地域版日本健康会議を開催してまいりました。

日本健康会議は、2015年7月の発足時に、今回の目標を達成すべく、具体的な8つの数値目標を採択いたしました。これが「健康なまち・職場づくり宣言2020」です。私たちの主な活動はこの「健康なまち・職場づくり宣言2020」の達成状況を毎年調査確認し、その結果をもとに関係の皆様と、これらの宣言の達成に向けて活動を進めているところであります。

2.達成要件は専門家によるワーキンググループで定義

2019年の達成状況を説明いたします。これらの達成要件は、厚生労働省、経済産業省に設置されたワーキンググループにおいて、それぞれの専門分野に深い知見を有する有識者の方々に論議を重ねていただき、定義していただきました。

日本健康会議は、宣言を達成するために、いくつかの活動を行っていますが、活動のキーワードは三つあります。一つはデータヘルスの推進です。二つ目がコラボレートの強化とその推進です。三つ目が好事例、優良事例の横展開です。

第一のデータヘルスですが、この宣言達成の状況を把握し、次の施策につなげていくため、大規模な調査を行い、データに基づいた施策の推進を重視していこうということです。

それが2016年度から毎年実施している保険者データヘルス全数調査です。厚生労働省と協同で三千数百に上る全保険者の皆様を対象として2019年で4回目。その結果を基に本日皆さまにご報告させていただいているところであります。

2019年度の本調査への回答は、到達点の6月現在3438の保険者がおられました。そのうち、3360の保険者の皆様からご回答いただき、全体の回答率は97.7%と大変高い回答率になっております。

本年度の達成状況について以下、宣言順に概要をご説明いたします。宣言全体の達成状況は、保険者さんをはじめ、自治体のご関係の皆様など多数の皆様のご努力で、ターゲットイヤーの2020年を待たず、目標数値を達成している宣言もあります。

3.特に力を入れた生活習慣病の重症化予防対策の取り組み

まず「宣言1」は、予防・健康づくりについて一般住民を対象としたインセンティブを推進する自治体を800市町村以上にするというものです。2019年度の達成は823市町村です。

この宣言は、国民一人一人がより積極的に予防・健康づくりに取り組むため、動機付けを行い、その効果の検証を推進するために作成されました。代表的な事例には、特定健診受診や市町村が行う予防・健康づくりイベントへの参加。予防・健康づくりに役立つウォーキングマイレージなどをポイント化。ポイントを利用した商品やサービスを提供するといった事業の推進があります。

この宣言の達成要件のポイントは、事業主は当然ですが、実施した事業が加入者の行動変容につながったかという効果検証を行っているかということです。本宣言は、2017年度は563市町村でいたので、2019年度に初めて800市町村を超え、目標を達成いたしました。

「宣言2」は、かかりつけ医と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を1500市町村、広域連合を47団体にするというものです。その際、糖尿病対策推進会議等の活用を図るようになっています。いわゆる生活習慣病の重症化予防対策の取り組みです。

この宣言は日本健康会議の活動の中でも、特に力を入れている宣言です。生活習慣病の中でも糖尿病性腎症に焦点を当て、対象者を明確に抽出。医療者との連携を深めた取り組みを行い、その効果や成果を継承するという非常に質の高い取り組みを広げていくことを目標として掲げています。

2019年度の達成状況は、1180市町村、32広域連合になっています。これまでの目標は800市町村、24広域連合でしたので、その目標は達成しております。ただ、大変重要視している宣言でもありますので、さらに対策を推進するため、「宣言2」のワーキンググループで論議していただき、目標を1500市町村、47広域連合に上方修正いたしました。

続いて「宣言3」は、全国にある保険者協議会の役割機能を強化推進していくための宣言です。保険者協議会は国民健康保険、健保組合、協会健保等、保険者種別を問わず各保険者が連携強化することで効率的な保健事業を実施することを目的に、各都道府県が中心となって組織されています。

この地域と職域が連携した取り組みですが、5つの大きな取り組み項目があり、それぞれ複数の小項目が設定されています。当初は4つの大項目でしたが、さらなる取り組み項目として小項目が追加されました。

2019年度の達成状況は、当初の基本項目については、すべての保険者協議会が達成。さらなる取り組みを含めて達成された保険者協議会は37になっています。各保険者の枠を超え、地域、職域が協力して特定健診、保健指導の実施率向上など、多様な課題に取り組んでいただいております。

4.大企業、中小企業ともに健康経営優良法人認定企業が増加

「宣言4」と「宣言5」は、健康経営に関する宣言でコラボヘルスの推進の一環と位置付けられます。「宣言4」はいわゆるホワイト500と呼ばれている健康経営優良法人認定制度で、大企業などの大規模法人を対象としたものです。

2019年度は818法人と大幅に増加し、昨年に引き続き目標を大幅にクリアしました。この健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が制度設計し、日本健康会議が認定しているものです。多くの企業法人の皆様が従業員の予防・健康づくりに取り組まれ、認定を取得しています。

社員、従業員への健康増進の取り組みが、結果として企業の成長に寄与する、そういった取り組みが急速に浸透し、評価されていると理解しております。

「宣言5」は、中小企業や中小法人における健康経営への取り組みです。健康宣言というものをしていただいているのですけれど、それがどのぐらい広がっているか、ということを可視化するする宣言です。

大規模法人だけでなく、協会健保に所属される多くの中小法人で取り組みが強化され、目標数値を達成しております。「宣言5」は当初の目標が1万社になっていました。2018年度に3万社に上方修正しましたが、2019年度はその3万社も超え、3万5000社を超える会社や中小法人が健康な職場づくりに取り組んでおり、目標を達成しております。

全国的にも健保組合や協会健保の保険者の皆様とともに、企業経営者の皆様に健康経営に関する取り組みが広がっていることを裏付ける結果となっていと考えております。

この「宣言5」は、もともと協会健保の支部の取り組みを全国に広めようと始まったものですが、推進する協会健保の皆様の尽力によるところが大きく、2502社が健康経営優良法人の中小法人部門に認定されています。

5.健康医療情報の適切な提供やヘルスケア事業者の質と量の強化

「宣言6」は、加入者本人への健康医療情報の適切な提供に関する項目です。目標は全保険者となっています。加入者に対してわかりやすい健康診断や健康に関する情報提供を行う。すべての保険者にやっていただこうという目標であります。

検診結果など加入者が知るべき重要で必要な情報について、各数値でどのようなことが分かるかを解説したり、経年変化や全体との比較などをグラフなどで示したり、本人の健康状態の今、あるいは変化などを分かりやすく理解していただく努力を全保険者の皆様に実施していただこうという宣言であります。

2019年を達成状況は、1228市町村国保、32広域連合と707健保組合などになっております。多くの保険者の皆様が、すでに取り組んでいただいているところですが、ICTの活用についてはまだまだ伸びる余地があると言えます。今後は取り組みの拡大とともに、その質の向上に向けさまざまな支援をしていく必要があると考えております。

「宣言7」は、ヘルスケア事業者の質と量の強化に関する宣言です。この「宣言7」については、保険者が行う事業の環境整備といえる宣言です。保険者の支援を行うヘルスケア事業者の質、量を向上するために設けました。

2019年の達成状況は、123社であります。2016年度が88社、2017年度が98社、2018年度が102社と、堅調にその数を増やしております。これらのヘルスケア事業者は、各保険者より推薦を受けた事業者です。今後、データヘルスの取り組みに、質の高い保健事業の実施に、外部委託事業者のリソースがますます重要になり、また必要になると考えております。

日本健康会議では、「宣言7」に選定されましたヘルスケア事業者の方々の中で、その会社のプロファイルや事業概要など追加の情報をご提供いただいた事業者について、「健康なまち・職場づくり事業者要覧2018」としてまとめてホームページに掲載しております

最後の「宣言8」は、いわゆるジェネリック薬品の利用促進です。今年度の達成状況は、440の市町村国保、21広域連合、242健保組合等々となっております。

この宣言は、後発医薬品、ジェネリック医薬品の使用割合を全保険者で高めていこうというものです。医療費の適正化を目指していく視点において、後発医薬品の使用割合を高めていくことは喫緊の課題です。

まず各保険者様で使用割合を高める取り組みを実施していただき、適切な対象者に必要な使用促進を行い、その結果を効果検証していくことが重要になります。国の目標として2017年の骨太の方針では、2020年9月までに後発医薬品の使用割合を80%とすることが定められていますが、2018年9月の段階で72.6%でした。

6.地域版日本健康会議で発表された好事例もホームページで発信

日本健康会議では、この間、宣言達成のために様々な活動を行ってまいりました。次にいくつかご紹介したいと思います。

先ほど活動のキーワードとして、コラボヘルスの推進を挙げましたが、コラボヘルスの一つの取り組みが、2018年度から始めた健康スコアリングレポートです。国には膨大なレセプトデータ等がデータベースの形で蓄積されております。

厚生労働省、経済産業省などのご協力で、これらのデータを有効に活用、保険者単位で社員従業員の肥満、血圧、血糖値などの健康項目5項目、喫煙、運動、睡眠など生活習慣の5項目、そして現状の医療費等の状況を分析し、健康スコアリングレポートとして保険者のみならず、企業トップに通知しているところがミソであります。

企業経営者にも課題を共有していただき、一体で従業員、社員の健康づくりに取り組んで欲しいとの願いから始めたものです。2019年も9月中旬に第2回目の健康スコアリングレポートをお送りしたところです。

これらのコラボヘルスの強化は、主に被用者保険の皆様に関わることで、健康なまち・職場づくりの中でも健康な職場づくりの活動です。ではもう一つの健康なまちの実現ですが、それが地域での取り組みの強化です。

日本健康会議では、毎年夏に行われている年次大会に、地域の予防・健康づくりに積極的に取り組んでおられる都道府県の知事や市長の皆様をお招きし、地域の事情や特性に応じた取り組み事例のご報告、ご講演をお願いしています。そしてそれらを日本健康会議のホームページで全国に発信しております。

また、こちらから出向いて地域の皆様と協力連携して展開している活動が、地域版日本健康会議です。2018年2月以降すでに11の都道府県及び地域医師会などのご関係の皆様と協力して開催してまいりました。

2019年11月にも長崎県で「健康長寿日本一長崎県民会議総会~日本健康会議inながさき」という名称でイベントを開催し、多くの関係の方々が参加し、活発な議論がなされました。この地域版日本健康会議を展開する上でのキーワードが、好事例、優良事例の横展開です。

地域ではこれまで長い間、自治体や国民健康保険の保険者、また協会健保の地域支部の皆様が中心となり、地域や職域の皆様の予防・健康づくりに取り組まれております。そして大きな成果を上げている例が数多くあります。

そこで地域版日本健康会議を開催し、そこで議論、報告される地域の実情に即した皆様の取り組みを、日本健康会議の場やホームページ等で全国に発信することで、他の多くの地域の皆様の取り組みが強化されるということにつながると確信しています。