自閉スペクトラム症とは メンタルヘルス・発達障害の用語集

自閉スペクトラム症とは メンタルヘルス・発達障害の用語集

自閉スペクトラム症は、自閉症、アスペルガー症候群、そのほか広汎性発達障害を含んだ総称です。発達障害のサインは幼児期から現れますが、知的障害がない場合は成人になってから本人が病院に訪れて診断を受けることもあります。周囲の理解とサポートで、本来の力がじゅうぶん発揮されるようになります。


自閉スペクトラム症(ASD)は、病気とは異なるもの

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自閉スペクトラム症(ASD)とは、自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれた総称です。症状の強さによって、いくつかの診断名に分類されます。

自閉スペクトラム症は生まれつき脳の一部に機能障害が起こっているのであり、いわゆる病気とは異なります。親のしつけや教育が原因で後天的に発症するものではありません。発達障害の人々の状態像は多様で、同じ診断名がある者同士でもまったく違うように見える場合もあります。

典型的には、下記の3つの特徴が現れます。
・ 相互的な対人関係の障害
・ コミュニケーションの障害
・ 興味や行動の偏り(こだわり)

幼児のうちから症状が現れ、成長するにつれて人との違いや、不得手なことに気づき本人も生きにくさを感じることがあります。しかし、障害の特性を周囲がよく理解し、状況に応じたフォロー・工夫をすることによって、本来の力がじゅうぶんに発揮されるようになります。

<発達障害の特徴>

<引用>理解する ~発達障害って何だろう?~ | 政府広報オンライン

自閉スペクトラム症と広汎性発達障害の違いは?

自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害(PDD)は、ほぼ同じ障害群を指しており、自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害を含みます。

名称の違いは、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が作っている「DSM」(精神障害の診断と統計マニュアル)によります。広汎性発達障害(PDD)はDSM-4(第4版)、また、自閉スペクトラム症(ASD)はDSM-5(第5版)で示された診断カテゴリです。

2013年に最新版であるDSM-5が出版されたことで、広汎性発達障害(PDD)という診断名はいずれ自閉スペクトラム症(ASD)へ統一されるものと考えられます。

ちなみに、論文や記事では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害などの表記がみられますが、DSM-5においてはどちらも正表記です。

自閉スペクトラム症(ASD)のサイン・多様な症状

自閉スペクトラム症の典型的なサインは1歳台、遅くとも3歳までに現れます。人の目を見ることが少ない(視線回避)、指差しをしない、ほかの子どもに関心がないなどの様子がみられます。成長するにつれて、会話がつながりにくい、好きなことや興味のあることには非常に熱中・執着する、初めての物事や予定の変更が極端に苦手であるなど、症状が変化・多様化します。

さらに思春期・青年期からは、自分と他人との違いに気づいたり、対人関係の不安などからうつ症状を合併したりすることもあります。知的な遅れ・障害がないケース(高機能自閉症、アスペルガー症候群)、もしくはごく軽度であったりする場合には、就職してから周囲との隔たりを感じて、自ら「障害かもしれない」と病院を訪れる人もいます。

自閉スペクトラム症(ASD)の治療・対処について

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幼児期に自閉スペクトラム症と診断された場合、以前は治療が可能であると誤認されていたことから「早く治す」ことが目標とされていましたが、最近は「早く発見して、療育を始める」方向に変わってきています。
療育には時間も手間もかかりますし、専門施設の数もまだ少ないものの、療育を受けることによって、適応力を伸ばすことが期待できます。

診断を受けた成人が、対人関係の問題の対処法を身につけるために、対人技能訓練や認知リハビリテーションを行う施設を訪れるのも有効です。

幼児期から成人期を通して、親や配偶者など、身近な人々が本人の特性を理解していることがとても重要です。そのことにより、本人が過ごしやすい環境が整い、周囲の支援も促すことになるでしょう。

<監修医師>

菊池祐二郎 医師
山王メディカルセンター 血管病センターにて診療に従事。
東京医科大学病院在籍中は主に心臓手術・血管外科を担当し、さらにその関連施設では人工透析管理に従事。心臓や血管に疾患のある患者様に元気な日常生活を送っていただけるよう、患者様お一人おひとりにもっとも適した治療法を考え、行っている。

専門:血管外科
経歴:東京医科大学卒、医学博士/前東京医科大学心臓外科医長
学会活動:日本外科学会認定外科専門医・認定医/日本循環器学会認定循環器専門医/日本脈管学会認定脈管専門医/日本抗加齢医学会認定抗加齢医学専門医

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