ヘルスケアIT セミナー12選:④ICTを活用したリアルとバーチャルの融合したウェルネスプログラム

全ての人にウェルネスを届け、想像できない社会を実現する

このミッションをどう体現しているのか。具体的な事例と共に、運動の大切さを感じ、多くの人が運動に対してどう思っているのか。という現状を認識して頂けたらと思います。

日本としての課題から世界的な課題へ

心身の健康があってこそ仕事に情熱を注げプライベートでも安息できる。

従業員の皆様がそんな状態であったらモチベーション高く仕事に臨み、社内コミュニケーションも活性化されおのずと創造的で生産性のある組織になっていき、個人の健康が組織の健康につながり、さらにその先に社会の健康があります。
この個人の健康から生まれるより大きなベネフィットこそが私たちにとってのウェルネスですウェルネスをお客様と共に作ることで活力あるサステイナブルな社会を創造していきます。

社会保障費の肥大増大の一途を辿っている、社会保障費という日本国最大の課題で、今後、労働者の平均年齢は上がり、それと共に生活習慣病の発症のリスク、または重症化するリスクが同時に高まっていくことが予想され、我々は、この数字に対するソリューションを見出していきたいという想いがあります。

具体的には、労働者の高齢化に伴う生活習慣病の発症重症化の健康リスクの上昇、それに伴う労働生産性の低下による収支の悪化、高齢者の人口構造による社会保障費の増大構造など、生産性の低下企業収支の悪化による税収の提言が収入の低下につながり社会保障費の増加生活習慣病発症リスクの増加がコストの増加につながるという、日本が直面する最大の課題があり、国を上げて社会保障費の増加を食い止めようとしているがこれまでにブレイクスルーとなるソリューションは出ておりません。

さらに世界的にも社会保障費増大は大きな課題となっており、生活習慣病の提言は世界的な課題として注目されています。

特に運動離れが進んでおり、昨今世界はいかに人々に運動を習慣化してもらうか頭を悩ませているのが現状です。

生活習慣病が医療費に占める割合30%以下
生活習慣病が原因の死亡割合50%以下
生活習慣病が原因で介護が必要になった場合30%以下
死亡に対する危険因子の中身体活動が不足の順位、OECD調査結果第4位

Harvard Medical School教授&石&米国内科学会最高栄誉会員、サンジブ、チョプラ氏が提唱されている事になりますが

運動は体力と気分を改善する奇跡の薬

定期的な運動は認知機能を高め、加齢による認知機能低下リスクを低減

昨今の研究で特に心血管疾患や糖尿病等多くの症状を予防軽減する効果が大きいことは反論の余地がない事実

適度な運動がストレスレベルを半分以下に低減

症状の程度にもよるかと思いますが、運動は薬物と同じくらいうつ病に有効とおっしゃっている。
この様に、運動を処方される方が増えてきている。

この様な背景を踏まえ、継続可能という事が一番必要であると捉え、どんな所で、皆様がつまずくのか、どういった所が楽しいのかというデータを収集するスキームを描いて、その上で、受講者が望む形で、プログラムの開発、オンライン・オフラインで提供する。という事を行っております。

保険者としての仕事とは

数年前までは、保険者の立場として私たちがやらなければならない事は、特定保健指導、適用(資格確認)、給付(支払い)、庶務・会計(管理運用)など守りの役割がメインになっていました。

お一人ずつお持ちの保険証の発給に関しての資格確認であるとか、保険料の運用管理、健康診断を行い、引っかかった方の特定保健指導をする等であったが、この1、2年で保保健者の役割として求められる事が大きく変化しましたし、いわゆる、攻めの健康経営、上半分が求められるようになってきました。

監督官庁は、厚労省ですが、ここ最近は経産省が関係し、健康保険組合と会社が一緒になって、従業員、そして、その家族に関して、どうアプローチしていくか。そこをしっかり考えなさいよ。という事が求められるようになってきています。

保険のお金がどのように使われてきたか。というグラフですが、ほぼ半分が、入院、治療、薬代、出産、そして、健康保険組合のほとんどが赤字経営ですけれども、その所以が、国が高齢者の医療負担が出来ないので、現役世代の方々から保険料として納めている納付金。その中で、私たちが手を入れられるのが、保険給付の約1/3を占める生活習慣病関連を未然に防ぐことによって、治療費を抑制できるでしょうし、逆に言えば、ここくらいしか、手の入れようがないと思うのです。

本来であれば、保健者の醍醐味は、保険事業費をいかに使って運用していくかという所なのですが、なかなか、保健事業費が出せる状態になれていないのが現状です。

この保険給付の1/3を占める生活習慣病関連のお金を、どう削減していくのか。これが保健者に課せられた1つのテーマであります。
それを、どういう風に、いつまでに、何を、どこまでやり、どんな結果を出すのかというのが、データヘルス計画になり、全ての健康保険組合が取り組んでいる事になります。

データヘルス計画の核

データヘルス計画とは

医療費データや検診情報等のデータ分析に基づいてPDCAサイクルで効率的効果的な保健事業を実践するものであり、全ての健康保険組合は平成27年度からの実施を国から求められているもの。
その目的は平成25年6月に政府が閣議決定した日本再興戦略の中国民の健康寿命の延伸を実現させることであり、健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる時間のことを言い、健康寿命を延伸することで健康寿命と平均寿命の差日常生活に制限のある健康でない期間を縮めることを指しています。

このデータヘルス計画を回していく上で外せないのが、40歳以上の※1特定検診、※2特定保健指導であり、たくさん医療費がかかる前に手を打っていく必要があり、保健者の大きな役割の1つでもあり、将来の医療費に直結していく重要なポイントになります。

※1特定検診とは、死亡原因の約六割を占める生活習慣病の予防のため40歳から74歳までの方を対象にメタボリックシンドロームに着目した検診。

※2特定保健指導とは特定検診の結果から生活習慣病の発症リスクが高く生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して専門スタッフ保健師管理栄養士などが生活習慣を見直すサポートもします。

特定検診特定保健指導の流れ

国の制度としての健康診断を受けたとします。
その検査数値などの基準に引っかかった場合に、軽症であれば、動機付け。少し重い場合には、積極的支援という特定保健指導というのが、国の施策によって決められているので、これをこなしていかなければなりません。

具体的には、動機づけ支援は、検診に引っかかったのち、約3か月。積極的支援というのが6か月になります。

この積極的支援は、1人4万円くらいの費用がかかり、期間も6か月なのですが、そもそも6か月も必要なのか、3か月ではだめなのか。というエビデンスが足りていない状況があり、厚労省がモデル事業としてデータを集めてみませんかという公募をした時に手を上げ、以下の課題に対して参加して取り組んでいる状態になります。

運動系の特定保健指導に絞った理由

平成20年から特定保健指導の制度が始まり、国はその実施率を上げるべく、強いプレッシャーをかけてきたのですが、数年間経って足元を見てみると、メタボ率がほとんど改善していない現実があったのです。

1人、4万円と6か月をかけて一生懸命取り組んでいるのに変わってない事実。実施率を上げる意味があるのか、疑問を感じていました。

その様な中、メタボを減らすために何が必要なのか、色々なデータを取って取り組もう。という事で平成24年に実施率を追う事を止めて、2つの施策を行いました。
1つは、もう関わらないで欲しい、と辞退届を出させる事。もう1つは、手の差し伸べ方を変え、対面保健指導からWeb面談に切り替えたところ、不思議な事にグラフの様に数字が下がっていったのです。

また、国の施策では、国は40歳からとなっていますが、それでは遅いのではないか、と感じたのです。私たちのデータでも、30代前半から40代前半にかけてが、最もウエストも体重も増えてくる時期という事が明確なので、駆け出しメタボの時期から対策を打たなければと感じたのです。

私たちの会社は、3200名クラスの製薬会社で、男性が役8割、そのうちの6割近くがMRと言われる営業職になります。どこの企業でも同じだと思いますが、営業職は最も健康課題の多い職種であり、営業職の健康課題を改善していかない限り、会社全体としての健康課題の改善もない。と考え取り組んでいきました。

コードブックとの取り組み

やる事は非常にシンプルで、メタボに引っ掛かりました。あなたには、食生活、運動系が大切ですよ。本来6か月必要ですが、3か月取り組んで、ウエスト2センチ、体重2キロ痩せたら、その段階で終了です。これをパーソナルで遠隔な指導を行う。ここをコードブックさんにお願いしている。

6割を占める営業職にとっては、最も効率的で素直に従えるという結論。

意外な点としては、パーソナルな相談が多くて、指導するというよりも、お悩み相談的な事が多いのが実情になる。

絵や文字で伝えるよりも、動画で伝えた方が分かりやすいのでは。という事で、動画作成も行った。なぜやらなければならないのか。目的は何なのかという事をしっかりと説明し、リテラシーを高めて頂き、エクササイズのポイントを説明し、必要な回数分、一緒に動画を見ながらやって頂く。という流れになっています。

なので、動画を見終わった段階では、エクササイズが終了しているという構成になっている。

具体的には
ウェブ面談を取り入れたトレーナーによるパーソナルなカラダサポート
対象者特定保健指導四十歳以上積極的動機付け
六項目三十問診で自分の弱い部分をチャートで視覚的に確認
三ヶ月のプログラム提供スキーム詳細

・クラウドサービスを活用し受講者様がいつでもどこでも簡単にプログラムを受講できるよう設計
・導線対象者抽出受講予約セッショントレーニング測定アンケート
・トレーナーによるWebカウンセリング
・Web面談でトレーナーによる変革運動指導
・エクササイズ
・自分に合ったエクササイズ(マイトレ)を選ぶ

また、メタボ診断を受けていない方々にもプログラムを周知させていく為に、社内フィットネスイベントも開催した。

キュレーションアプローチとして社内に運動の文化を根付かせるためのお手伝いとして、フィットネスのリアルイベントも開催

データから見る施策の効果

10月から本プログラムスタート
積極的支援200名以上現段階で約50名実施アンケート有効回答数28

ただ、メタボ改善をするだけでは、せっかくのプログラムが勿体ない。という事で、悩みを聞いていったところ、96%の方が体の悩みをお持ちであり、うち60%の方が国民病とも言われる肩こりに悩まされている方が圧倒的に多かった。
現代社会のパソコン、スマホを使った、前傾姿勢になりやすい環境が大きな原因と考えられる

満足度に関しては、運動コンテンツのWebセッション、満足度はとても80%以上の方々が体や運動に対する関心が高まったと回答してくださり、82%の方々が体や運動に対する関心が高まったと回答。

行動変容というのが、このプログラムの中でも重要視していた部分
ウェブセッションが行動への意欲を向上させることに寄与

行動変容のプロセスにおいて、何をどうすることが必要かその理由はの正しい知識を習得し理解することが最も大切。今は色々な情報が溢れかえっている状態で、もはやどれが正しくて、どれが間違っているのかを選択する事が、一般の皆様にはなかなか難しいという事があるので、個々に違った体を持っていて、違った悩みを持っている中で、あなたには、この様な特徴があって、こんな解決策が良いですよという事をしっかりと伝えた上で、習慣化させることに成功した。

実際に、運動へのモチベーションは継続維持できたか。という質問に対しても、約40%の方が、週4回以上、約35%の方が週に2.3回できたと回答して下さっています。

最近、アスリートの中でも、exercise is medicineという言葉がとても浸透しています。運動が1つの薬の代わり、処方の1つになるという事が言われていて、女性陣糖尿病センター医師Harvard Medical Schoolリハビリテーション医学助教授エディフィリップス博士の言葉ですが

まず目指すべき運動の頻度
好きな運動を週3回、1回20分

というのがあり、好きな運動というのが、ご自身で、自分に合った運動を、ご自身で選んでいただく。という所に行動変容の1つのキーポイントがあると考えています。

これを踏まえると、なんで、継続できたのか、なぜ継続できなかったのか、という所が重要になってきますが、簡単であったかなという回答が最も多い回答でした。

出来たという方に関しては、運動をいつでもどこでも好きな時にできることという認識の普及が準備期から行動期へと行動を変容させる大きなファクターになるという考察で、具体的には

・いつでもどこでも簡単にできるプログラムだから
・自分に合った内容だから
・トレーナーのアドバイスで意識が高まったから
・健康意識が芽生えたから

などがあり、逆の出来なかった事に関しては

・お正月でサボってしまった
・年末は出来なかった
・ヘルニアのため
・業務が忙しい
・やる時間が無い

などがあり、多忙な社会人が運動を継続できない最大の要因ではないかと推察されます。

動画の効果・補助効果

受講者の75%が、動画が役に立っているとの回答を頂き、セッションで鍛えたメニューの振り返りや、その時々の気分に応じたプログラムの受講を楽しんでいただけた様子。バラエティに富んだ動画の一番人気は、肩こり撃退でした。

当初ほとんどの方が運動を好きな方ではないと予想していたが実際のアンケートから90%以上の方が運動を好きと回答し、運動に対する意欲はとても大きく、運動する意欲があっても行動に移せない環境であったり、時間がない、機会がない、といった事が健康への道に立ち塞がる大きな障壁となっている可能性が高い。

これまでのマニュアルな手法での予約やセッションに比べて、ほとんどの方が使い勝手を高評価、outlookにスケジュールを送付することで、予約を忘れる方は、ほぼ皆無。実際にコードブックを活用した予約サイトでの不満問い合わせは0で、Skypeのビデオオンオフの設定でトラブルが数件発生したのみ。

今後は、Skype設定確認に関する手順の整備が必要なので、マニュアルを作成し事前送付することで問題の解消を実現していく予定です。

結果

目標である体重マイナス2kg、腹囲マイナス2センチは達成できそうか

という問いに対し、約70%の方に目標を達成できたできそうと回答。
その内訳として、できたできそうと回答した方の平均運動は週4日、できなかった、できなさそうと回答した方の平均運動日数が週2日と、先ほどの環境の問題が、そのまま露呈している可能性がある。

というのも、約85%の方が定期的に受講したいと回答下さり、運動コンテンツのニーズの高さが伺える。

会社の本取り組みをどう思いますか
という問いに対しても、約70%の方が、会社のこのようなプログラムを評価すると回答してくださり、多忙な社会人に運動をする機会の提供は、企業側からの社員を大切に思っているというメッセージとなりロイヤリティや企業イメージの向上に大きく寄与する事に繋がっていく事も考えられる。
簡単なフィットネスをする機会を定期的に企業側が提供し、社員それぞれが自分に合ったプログラムを見つけることで自発的にやってみようという意識が芽生え、継続的に運動する習慣が身に付き、結果として社員が元気に働くことができる。この様なウェルネスプラットフォーム創造し、今後もバーチャルとリアルを融合させた誰もが自身のレベルに趣向にあったウェルネスを獲得できる世界の実現を目指していきたいと考えております。

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